《解 説》
一 本件は、通称マル共事件の取扱い(二重開始で、先行事件は無剰余だが、無剰余にならない後行事件があるときは、先行事件を取り消さないでそのまま進行させる取扱い)が、民事執行法一八八条、六三条に規定する無剰余執行禁止に違反するか否かが問題となった事案である。事案の概略は次のとおりで...
《解 説》
一 事案の概要
Xは、Yに対し、京都市公文書の公開に関する条例(本件条例)に基づき、「平成四年分普通田畑適用所得標準の所得金額の算出根拠が分かるもの」との公文書の公開を請求した。これに対し、Yは、公開請求に係る公文書を特定したが、これらが本件条例八条四号、七号に該当するとして...
《解 説》
本件の事実関係の概要は、損害保険業務を目的とする保険会社である控訴人(原告)が甲との間で甲所有の自動車を被保険車両として自家用自動車総合保険契約を締結していたところ、甲運転の右自動車と被控訴人(被告)運転の自動車とが衝突する交通事故が発生した。これにより甲所有自動車が損壊し、甲...
《解 説》
一 本件は、SMクラブの従業員であったA及びB(双子の兄弟)が同クラブの経営者と店長を殺害してこれを乗っ取ることを企て、ほか一名の従業員と共謀の上、経営者及び店長を殺害して現金等を強取し(「罪となるべき事実」第一、強盗殺人)、A及びBが二人の死体を遺棄することを企て、ほか五名と...
《解 説》
一 事案と判示内容の概要
1 本件は、地域居住者で構成される自治会で権利能力なき社団である原告が、同地域に隣接する山地を宅地開発しようと共同で計画した団体(Y2)と企業(Y3)及びその設計監理を担当する予定の企業(Y4)と、原告を代表するものとして被告企業らとの間で右宅地開発...
《解 説》
一 本件は、「事案の概要」にも記載がある通り、Yの車に同乗していたXが衝突事故によって傷害を負ったことにつき、運転者・保有者のYに損害賠償を求めた事案であるが、本件の特徴は、その後の経緯がかなり長い中で「心的外傷後ストレス障害」が争われたことである。
Xは一八歳であった昭和六...
《解 説》
一 本件判決は、覚せい剤所持について、単独又は他と共謀して所持したと認定することは許されないものとしたものである。許される場合があるとする判例(東京高判平4・10・14高刑四五巻三号六六頁)があり、また、近時、択一的認定に関する研究(包括的なものに大澤裕「刑事訴訟における「択一...
《解 説》
一 いわゆる麻薬特例法八条は、規制薬物(麻薬、向精神薬、大麻、あへん、覚せい剤)の輸入、輸出、製造、譲渡、譲受等の行為を業として行うことを「業として行う不法輸入等」の罪と定め、その刑を無期又は五年以上の懲役及び一千万円以下の罰金と定めている。この刑は、それまで最も重かったヘロイ...
《解 説》
一 本件は、書籍販売会社の営業部次長として、中学生用学習教材の訪問販売に携わっていた被災者が、営業部員の販売活動に同行しての営業指導中、脳内出血を発症したとして、労働者災害補償保険法に基づき休業補償給付の支給を請求したところ、業務外と認定する処分(不支給処分)を受け、これに対す...
《解 説》
一 本件は、Xらが、三重県情報公開条例(以下「本条例」という。)に基づいて、過去の入札の予定価格調書の開示を求めたところ、Y(三重県知事)が、予定価格調書に記載された設計金額・予定価格・制限価格等は、本条例八条五号にいう「検査、監査、取締り、入札、試験、交渉、渉外、争訟等の事務...
《解 説》
一 本件は、宅地建物取引業法(以下「法」と省略する。)上の弁済業務保証金(法六四条の七~)による弁済の対象債権が問題となったものであり、①宅地建物取引業保証協会(法第五章の二。以下「協会」と省略する。)の社員との間の宅地建物の取引に係る契約における損害賠償額の予定又は違約金に関...
《解 説》
一 平成五年一一月一〇日に死亡したAには、実子であるXらと平成五年三月一一日に養子縁組の届出をした養子Yとがあった。Aは、昭和六三年七月二〇日付け公正証書遺言をもって、本件不動産を含む全財産をYに遺贈していた。Xらは、各六分の一の遺留分を有する。
遺留分減殺請求権については、...
《解 説》
一 本件は、オウム真理教の信徒であった被告人が、①サリンを生成・発散させて不特定多数の者を殺害する目的で、教団代表者ら教団所属の多数の者と共謀の上、サリン生成化学プラント(いわゆる第七サティアン)を建設し、化学薬品を調達して右プラントに投入して作動させ、サリンの生成を企てたとい...