《解 説》
一 事案の概要
博物館を経営する社団法人が、銀行から融資を受け、博物館の建設、運営を目的とする株式会社の取締役らが、融資の連帯保証人になっていたが、博物館の経営が行き詰まり、博物館及び株式会社経営の中心であった連帯保証人甲が弁済した後、甲の相続人が、株式会社の取締役であった連...
《解 説》
本件は、普通地方公共団体である岡山県山陽町が、山陽自動車道建設用地を地権者から先行取得するに際し、売買契約の締結に先立ち、同町長において地権者に対し、将来、同町が日本道路公団に右土地を転売するときには、右土地に関する購入価格と転売価格との差額を地権者に支払う(ただし、同町が右土...
《解 説》
本件は、コンテナ船の船員であった被告人三名が、密航ブローカーから報酬を受け取った上、営利の目的で、フィリピン人密航者四名を大韓民国釜山港から同船に乗せて一室にかくまい本邦に密入国させたという事案である。「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」(平成九年法律第四二号)によ...
《解 説》
一 本件は、国鉄の分割民営化によって昭和六二年四月一日に設立された原告の直営病院で視能訓練士として勤務し、国労の病院分会の執行委員長であるAが、平成元年四月一日付けで病歴管理業務に従事するよう命じられたことについて、被告補助参加人らが右配転命令は不当労働行為に当たるとして、東京...
《解 説》
本件は、嘉手納飛行場から離発着する米軍機の騒音による被害を理由に周辺住民らが訴えた差止め及び損害賠償請求訴訟の控訴審判決である。
一 Xら飛行場周辺住民九〇七名は、飛行場を米軍に提供している国Yに対し、米軍をして毎日午後七時から翌日午前七時までの間の一切の離着陸及びエンジン作...
《解 説》
本件は著名な酒造会社間の不正競争防止法に基づく差止及び損害賠償請求事件の控訴審判決である。
Xは、「One CUP」及び「ワンカップ」について商標権を有しているところ、Yは、「サケカップ」の商品名を採用し、「SAKE」「CUP」と記載されたラベルを貼っていわゆるカップものの酒...
《解 説》
YはA社の株主として平成五年八月九日、Xら四名を含むA社の元取締役及び監査役合計二九名を被告として善管注意義務違反及び忠実義務違反の責任を追及する総額一五二〇億円の株主代表訴訟を提起した。その請求原因九個のうちの一つに、Aは返済を受ける当てがないのにNに合計九〇億円を貸し付け、...
《解 説》
一 宗教法人X寺は、六八六年創建され、源頼朝、足利尊氏、豊臣秀吉など歴代の為政者から寺領が寄進される歴史を持った天台宗寺門派の本山である。本件は、Xとかつて本山と塔頭寺院の関係にあった寺院及び建物占有者Yらとの間の紛争である。Yらは本件各土地建物につき、所有権、賃借権、使用借権...
《解 説》
一 Xは、ビデオレンタル等を業とする会社であり、岡山県和気町でビデオレンタル店を経営していたが、平成五年二月一日深夜、右店舗から出火し、その中に在置していた設備・什器・商品等を焼失した。
そこで、Xは、平成四年一〇月に店舗総合保険契約を締結していたY(保険会社)に対し、右火災...
《解 説》
本件は公職選挙法(以下「公選法」という)二一一条一項に基づくいわゆる連座訴訟であるが、現職の衆議院議員に対して当選無効を申し立てるものとして訴訟提起の段階から注目され(訴訟提起時点で現職であったが、その後辞職した例はある。)、検察官の請求を認容し当選無効を言い渡したことから、政...
《解 説》
一 本件は、被告人が、外国人を含む共犯者と共謀の上、(一)滋賀県内の金融業者方に押し入り、同人の大腿部等を包丁等で突き刺して殺害した上、現金合計約一四〇〇万円及び腕時計等四点(時価合計一五五〇万円相当)ほかを強取し、(二)その約一か月半後、東京都内の金融業を営む会社の事務所に押...
《解 説》
一 本件は、X(消費生活協同組合、いわゆる生協)の酒類販売業免許申請に対し、Y(税務署長)がした拒否処分の取消訴訟である。事案の内容等は一審判決の本誌コメント(九五三号一四六頁)を参照されたいが、要するに、酒税法一〇条一号ないし一二号は、一定の事由に該当する場合には酒類販売業免...
《解 説》
一 Xの夫である訴外A(五三歳)は、平成元年四月当時、芦別市建設部の技師として勤務していたが、同月一九日、時間外勤務を終え、自家用自動車を運転して帰宅する途中、他の自動車と衝突し、死亡した。
そこで、Xは、Yに対し、Aの死亡が通勤災害であるとして、通勤災害の認定を申請したが、...
《解 説》
一 本件は、出入国管理及び難民認定法上のいわゆる永住者ないし日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法上の特別永住者(以下「永住者等」という)等である原告らが、被告国に対し、平成四年の外国人登録法の一部改正(以下、同法を単に「法」といい、同年改...
《解 説》
一 本件は、生活保護を受給していたXが、保護の実施機関であるYから、保護開始の直後に書面でなされた自動車の所有及び借用等を禁止した指示に違反したことを理由に保護廃止の処分を受けたのに対し、右処分は違法であるとしてその取消しを求めた事案である。
Xは、四人の未成年子を抱えて平成...
《解 説》
本件は、オウム真理教の「治療省大臣」であった被告人が、多数の教団幹部らと共謀の上、①大量の注射用チオペンタールナトリウムを無許可で製造したという薬事法違反の事実、②教団信者である元女優の長女を教団施設等に監禁したという事実、③教団信者であるピアニストを教団施設に監禁したという事...
《解 説》
本判決は、講学上「三者関係の給付不当利得」又は「三角関係の給付不当利得」の問題と呼ばれているものについて、最高裁として初めて立ち入った判断を示したものである。
一 本件の事案の概要は、次のとおりである。本件の被告甲は、平成三年三月一五日、本件の原告であり貸金業者である乙から、...