《解 説》
一 事案の概要
甲県の住民であるXらは、Y1が甲県から指名競争入札により水道管理所施設工事二件を受注したのはYら業者の談合の結果であり、甲県は、Yらに対し、談合がなければ形成されたであろう価格と落札価格との差額相当額等の損害賠償請求権を有しているところ、その行使を違法に怠って...
《解 説》
XとYは東京都区内の土地の地上げを共同で行い、XからYに多額の金銭が交付されたが、その後XとYの業務提携は解消され、XはYに交付した金額と主張する一二億五〇〇〇万円の返還を求めて提訴した。その法律構成は、X・Y間の土地売買契約の解除に基づく原状回復請求、業務提携契約の解除に基づ...
《解 説》
一 本件は、一橋出版社が平成五年度の発行を予定した高等学校公民科現代社会の教科書「新高校現代社会」に対する教科書検定において、文部大臣から通知された検定意見の違憲性、違法性が争われたいわゆる横浜教科書訴訟の一審判決である。
原告は、右教科書のテーマ学習用の独立した記述である「...
《解 説》
本件は、火災保険金請求について、主として故意又は重過失による保険会社の免責が認められるか否かが争われた事案である。
X所有の建物は、平成四年七月二〇日焼失した。XはYら二社に保険金を請求したが、Y1との間の保険契約は、同年三月一八日に締結され、保険金額を五〇〇〇万円とするもの...
《解 説》
一 Xは、新興宗教の信者であったが、同じく信者でありXに入信を勧めたY1及び宗教団体であるY2に対して、損害賠償請求をした。責任原因は、Yらの組織的な欺罔脅迫行為など社会的相当性を逸脱する行為により献金をさせられ、Y1が献金を立て替えたとしてXに返還を迫り、金銭支払いを余儀なく...
《解 説》
一 死刑選択の基準については、いわゆる永山事件に関する最二小判昭58・7・8刑集三七巻六号六〇九頁、本誌五〇六号七三頁が、「犯行の罪質、動機、態様ことに殺害の手段方法の執拗性、残虐性、結果の重大性ことに殺害された被害者の数、遺族の被害感情、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等各般の...
《解 説》
一 株式会社Y1社の発行する週刊誌(週刊文春)の編集人Y2は平成八年夏から秋へかけて「パチンコ三〇兆円産業の暗部」という一三週にわたる連載をフリーの記者Y3に執筆させた。
その第八回「パチンコ台メーカーA社のB会長は日本一の大金持」で、二部上場のパチンコ台メーカーA社の会長B...
《解 説》
一 訴外Aは、平成七年一〇月五日、小樽市銭函の路上を軽四輪自動車(本件自動車)を運転して走行中、道路に設置されていた暴走行為防止対策用コンクリートブロック(本件ブロック)に衝突する自損事故を起こして死亡し、本件自動車は大破した。
そこで、Aの相続人であるXらは、自動車総合保険...
《解 説》
Xは徳島県内にある宗教法人であるが、昭和三三年以降、神奈川県川崎市内に公園墓地春秋苑を経営している。Xの代表者であったAは、商品取引市場における売買等を業とするY社の社員の勧誘を受け、平成元年三月、自己名義で粗糖を買い建て、商品先物取引を開始した。Aは、同年一一月、Xの責任役員...
《解 説》
一 本件は、Aの相続人である原告らが、被告に対し、被告の設置するB病院に勤務していたC医師が、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(以下「MRSA」という。)感染症を発症していたAに対し、適切な処置を行わずに冠状動脈バイパス手術及び左心室瘤除去手術(以下「本件手術」という。)をなし、ま...
《解 説》
YはAに対する債権担保のため、Aの所有する共同住宅に設定された根抵当権及び抵当権の物上代位として賃料債権及び駐車場使用料債権を差し押えた。Xは、右担保権の行使を許さないとする第三者異議の訴えを提起した。その理由は、Xが賃貸人の地位を差押前にAから取得し、改めてXが賃貸人として賃...
《解 説》
一 事案の概要
原告は、訴外会社を債務者、被告を第三債務者として、債権仮差押えの申立てを行った。これに対し、陳述催告を受けた被告が、仮差押えに係る債権の存在を認め、その全額を弁済する旨の陳述書を提出した。このため、原告は、債権差押えの申立てを行うとともに、訴外会社の不動産に対...
《解 説》
一 本件は、虚偽の事実を内容とする脅迫文言によって財物を交付させた点について恐喝罪の成否が(判示事項一)、また、妻の死体を遺棄したとの公訴事実につき、妻の死を悼む愛情の気持ちにより当該行為を行った旨被告人が供述していること(判示事項二)に関して死体遺棄罪の成否が(判示事項二)、...
《解 説》
一 本件は、Xが、Yの先代から買い受けた農地(本登記未了・仮登記経由)につき、売買から二〇年以上経過した後に、YがXのために経由されていた仮登記を抹消した上で第三者に売却したとして、Yに対し、債務不履行(履行不能)による損害賠償を求め、Yが消滅時効を主張して争っている事案である...
《解 説》
一 Yの先代AはB銀行から金員を借受け、Xがこれを連帯保証し、代位弁済した。Aは死亡し、Yが相続したが、Yは相続を放棄した。Xは、Yが相続放棄の申述受理の前に、Aの経営していたC会社の取締役に選任されるなど法定単純相続に当たる事実があるとして、Yに対して求償金を請求したのが本件...
《解 説》
一 本件は、損害賠償請求事件について、Yらから新民訴法一七条〔遅滞を避ける等のための移送〕による移送が申立てられた事件である。
本案事件は、旧銭亀澤村がY2(函館市)との合併に伴い、本件土地(函館市に所在)を、Y3(漁業協同組合)に売却したが、条件としてY3はX2及びX1の先...