《解 説》
一 被控訴人(以下「X」という。)は、東京都の区域内に住所を有する者であるが、東京都公文書の開示等に関する条例(昭和五九年東京都条例第一〇九号。以下「本件条例」という。)に基づき、控訴人都知事(以下「Y」という。)に対し、都の執行機関が開催した都議会議員との会議の際の飲食費関係...
《解 説》
一 本件は、昭和六二年に近鉄東大阪線生駒トンネル内において発生した火災により、同トンネル内を通過中の電車の乗客らが有毒ガスを吸引するなどして、死者一名及び重軽傷者四二名を出したいわゆる近鉄生駒トンネル火災事故に関する控訴審判決である。原審である大阪地判平7・10・6本誌八九三号...
《解 説》
一 Xは、平成五年一〇月六日に死亡した訴外A(大正六年生)の戸籍上の配偶者であるが、Aが旧厚生年金法に基づく「老齢年金受給者」であったため、同年一二月、Yに対し、遺族厚生年金の裁定を請求したところ、平成七年一月、遺族厚生年金を支給しない旨の処分をしたため、審査請求及び再審査請求...
《解 説》
一 Xの夫である訴外Aは、昭和五九年一月に建設会社に雇用され、同日から、長野県南佐久郡南牧村所在の導水路巻替工事現場において抗夫として就労し、道水路用既設トンネルのコンクリート斫り作業等に従事していたが、同月三一日、抗内の斫り作業用仮設ステージのズリ落とし用開口部から約六〇セン...
《解 説》
一 大麻取締法には、大麻の輸入、所持、譲渡などの罪を「営利の目的」で犯した者に対して、その目的がなかった者よりも刑を加重する旨の規定が置かれている(二四条二項など。覚せい剤取締法、麻薬及び向精神薬取締法、あへん法にも同様の規定がある。)。
覚せい剤取締法に関する最高裁判例によ...
《解 説》
一 Yは訴外A1を債務者として本件建物につき占有移転禁止の仮処分命令を得た。右仮処分執行後、Yは、A1及び本件建物のうち住居部分(「本件住居」)をA1と共同占有していた訴外A2の両者を相手取って、本件建物明渡請求訴訟(「先行訴訟」)を提起し、勝訴した。ところが、先行訴訟の提起後...
《解 説》
保険契約者Aは、Yと生命保険契約を締結し、保険金受取人を「保険事故発生時の被保険者の法定相続人」と約定した。Aはその後、秘密証書遺言により保険金受取人を遺言執行者であるXに変更し、死亡保険金の分配を別に定める遺言執行合意書に従ってXにゆだねるものとした。Aがその後死亡したので、...
《解 説》
本件は証券会社員の顧客に対する不法行為について証券会社が使用者責任を負うか否かが争われた事案である。
Xら三名は、証券会社Yの社員Aから損失補填として入金すると月一割の配当が付くなどといって金銭を騙し取られたが、Aの行為は外形的に見てAの職務の範囲内に属するものであるから、Y...
《解 説》
一 Xは、不動産の売買、仲介、貸付等を業とする株式会社Y2に事務員として雇用されていた者であり、Y1は同社の代表取締役である。Xは、勤務時間内にY1からスカートの中に手を入れられたり、キスを求められるなどされ、さらに、勤務終了後、Y1と他の従業員と共に食事に行き、Y1に車で送っ...
《解 説》
一 判示認定の事実によれば、Xは、Y1を元請、A会社を下請、Y2を再下請(孫請)として施工されたマンション建築工事(以下「本件工事」という。)において、Y2の依頼でB会社から本件工事現場に派遣された一輪車で正土を運ぶ作業に従事していたところ、Y2の従業員CがXの動静に十分注意を...
《解 説》
一 X1は、精神科、神経科等を診療科目とする複数の病院を運営する医療法人(当時)であり、その代表者(当時)が、X2である。Yは、個人病院を経営する医師である。
本件は、Yが、X1の経営する病院(以下「本件病院」という。)から患者甲の搬送を受けた際、本件病院の紹介状に記載のない...
《解 説》
YはF県知事の許可を得てK町内に産業廃棄物の安定型最終処分場を建設して使用し、操業する計画を立てたが、本件処分場予定地周辺に居住する住民Xらが本件処分場の建設等により処分場から有害物質が流れ出て飲料水が汚染されるおそれがあるなどの理由により人格権、水利権、土地所有権に基づき、本...
《解 説》
一 本件は、六名の原告が、いわゆるマインド・コントロールによる違法な勧誘、教化行為により被告に入教して約一年ないし六年間にわたり貴重な青春を奪われ、霊感商法や偽装募金などの違法行為への従事、無償の労働、献金、物品購入などの出捐をそれぞれ強制されたとして、棄教した後、被告に対し、...
《解 説》
本件は、住友商事の銅地金取引の責任者であった被告人が会社に無断で銅の先物取引を行い、巨額の損失を発生させたとして社会的関心を惹いた事件である。本件で被告人が起訴された事案は複雑であるが、あえて要約すれば、取引先の銅の先物取引業者から赤字の簿外取引に関する確認のため、また融資を受...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、原告が、酒税法(以下「法」という。)九条一項に基づき、酒類販売業の免許を申請したところ、税務署長から、法一〇条一〇号の規定に該当する事由(経営基礎の薄弱)があるとして申請を拒否する本件処分を受けたため、その取消しを求める事案である。
原告は、法九条一...
《解 説》
一 本件の事案は、第一小法廷により本判決と同日に判決が言い渡された平成八年(オ)第九八三号事件と同一であり、要するに、(一) 一般債権者(被告・被上告人)が債務者所有の建物についての賃料債権を差し押さえたが、(二) これに遅れて右建物に抵当権設定登記がされ、抵当権者(原告・上告...