《解 説》
Xは、株式会社Aの代表取締役であり、Aの発行株式総数一四万株を個人として有していたが、これをY弁護士に管理目的で信託した。XはYに対し、①Yが右株式のうち五万株をXに無断で別居中のXの妻Bに贈与したこと、②AのXに対する架空の債権に基づき九万株の引渡請求権を差し押さえさせ、競売...
《解 説》
有限会社Xは平成四年当時、三件の訴訟を抱えていたが、株式会社Kの代表者にY弁護士を紹介され、Yを訴訟代理人に選任した。そのうちの一件についてH市内の土地を代金一億円で売却する旨の訴訟上の和解が成立し、Yが代理人として右代金を受領した。Xは、その直後、Kとの間でXがKに一億円をM...
《解 説》
一 本件は、被告人の税務申告等の顧問を務める税理士の集金事務代行者が、税理士が顧問先から受け取る顧問料等の一括振込先を誤って被告人名義の銀行普通預金口座にしたため、本来右税理士が受けとるべき顧問料報酬金七五万円余が被告人名義の右銀行口座に振り込まれ、これを奇貨とした被告人がその...
《解 説》
一 X1は、長崎市内で「べっ甲製品」の販売を業としている者であるが、平成四年一〇月、長崎市内でべっ甲資材の販売を業とするX2と共同して、長崎市内の業者を介して、段ボール箱一九二個のべっ甲材料を一億円で購入し、そのうち一六〇箱をX1の倉庫に搬入し、同所でこれを保管していたところ、...
《解 説》
A社は、平成九年六月二日に手形不渡りを生じて倒産し、翌三日に自己破産を申し立て、同月一八日に破産宣告を受け、Xが破産管財人に選任された。A社には、Bに対する四五万四七五五円の請負代金債権と、Cに対する八六万三二〇九円の請負代金債権があったが、A社は、既に平成六年三月に、Yに対す...
《解 説》
一 Xは、Yの株主で、平成八年六月二七日に開催された定時株主総会に出席したところ、Yは、従業員株主と株主総会の議事進行についてリハーサルをし、議長と共謀して、議長の提案に対し、瞬時に「異議なし」「了解」「議事進行」などと大声を上げ、他の株主に質問する余裕を与えないで議事を進めた...
《解 説》
一 事案の概要
Xは、平成七年六月、持ち帰り弁当の販売に関するフランチャイズチェーンの事業本部であるYとの間でフランチャイズ契約(以下「本件契約」という。)を締結し、三重県津市において持ち帰り弁当販売の営業を開始したが、売上が伸びず経営に行き詰まり、平成八年一月閉店に追い込ま...
《解 説》
一 本件は、高等海難審判庁の裁決の取消しを求める訴訟であって、指定海難関係人に高等海難審判庁に対する第二審の請求権があるかどうかが争われた事件である。
Xが船主である漁船第二十五五郎竹丸は転覆、沈没し、乗組員一八名が全員死亡した。右事故について、高等海難審判庁理事官は、事故の...
《解 説》
本件は、衣料品店を京都市及び大津市(唐崎)の二か所で営むX1、その妻X2及び母X3が国税局調査官らの質問検査権の行為が違法であると主張し、国Yに対して総額二〇〇万円の損害賠償を求めた事案である。
第一審京都地判平7・3・27本誌八九八号二二一頁は、X1及びX3につきそれぞれ三...
《解 説》
一 本件は、XがYに対し、債務不履行に基づく損害賠償を請求した事案である。本判決が認定したところによると、本件におけるXY間の契約は売買契約であり、Yがカリフォルニア州で売りに出されたクラシックカー二台を購入し、さらに、右自動車が制作された当時の部品を調達によりオリジナルに近い...
《解 説》
本件は、中部電力株式会社が、芦浜原子力発電所建設のための海洋調査の実施に伴う補償金に充当することを前提として平成五年一二月一六日に三重県度会郡南島町の古和浦漁業協同組合に対して二億円を支出したことについて、被告らが同社の取締役としての善管注意義務ないし忠実義務に違反して同社に損...
《解 説》
一 Xらは、Y(コンピューターソフト会社)において、システムエンジニアとして稼働していたA(死亡時三三歳、男性)の相続人であるが、Aが脳出血により死亡したことにつき、右は本態性高血圧に基づく脳幹部出血であり、Y入社以来の過重な業務による精神的肉体的ストレスにより本態性高血圧が発...
《解 説》
一 平成五年二月八日午後六時頃、宇都宮市の歩車道の区別ある片側二車線の直線道路上で、右折して路外の駐車場に入ろうとした四輪乗用車(Y運転)が対向車線の右側通行帯を進行してきた自動二輪車(X1運転)と衝突した事故の損害賠償事件。X1及びその両親(父X2は後見人、母X3)からYへの...
《解 説》
本件は、Xが、Yから受注した建物工事請負契約についての変更工事契約に基づく増額分の請負工事代金請求権を被保全権利として、Yの不動産について仮差押決定を受けたのに対し、Yが保全異議を申し立てた事案である。本件の争点は、(一)本件請負契約において本件請負契約の監理者となっていたAが...
《解 説》
一 本件は、被告(港湾管理者の長)が県に対してした公有水面埋立免許処分が違法であるとして、当該埋立地の周辺に居住する住民、同埋立地内の海浜を利用している者、同埋立地周辺で漁業を営む者などの原告らがその取消しを求めた事案である。
二 本件の主たる争点は、原告らが前記埋立免許処分...