《解 説》
一 本件は、店舗を目的とする建物賃貸借契約において、借主であるY1が、賃料の一部不払、無断改築工事等の債務不履行行為を行ったため、貸主であるXとの間の信頼関係が破壊されるに至ったと主張するXが、Y1及びY1の事業を承継したY2に対し、賃貸借契約解除に基づき、店舗の明渡を求めると...
《解 説》
一 本件は、宗教法人とその代表者との間で寺院建物についての占有訴権が問題になった事案である。事実関係の概要は、以下のとおりである。
1 宗教法人日蓮正宗の被包括宗教法人Yの住職であったXは、住職の立場で寺院建物である本件建物と右建物内にある動産類の管理、所持をしていたが、昭和...
《解 説》
Yは、日蓮正宗を包括団体とする宗教法人であるが、寺院の移転新築を計画し、平成元年一〇月ころから寺院新築のための寄附金を募るようになり、当時の住職Aは新寺院は平成三年ないし同年度中には完成すると説明していた。Xら信徒はそれぞれYに対し、三〇〇〇円から一〇〇万円を寄附した。しかし、...
《解 説》
一 本件は、X(当時一八歳)が道路交通法違反(共同危険行為等の禁止違反)の被疑事実で逮捕され、取調べを受けていたところ、取調べに当たった警察官であるY1から腹部を手拳で四、五回殴打され、そのはずみで取調室内の壁で額を強打し、その結果、腹部打撲傷、左右前額部の表皮剥離及び皮下出血...
《解 説》
民法一〇四〇条一項は、遺留分減殺請求の対象となるべき贈与につき遺留分権利者が同請求権を行使するよりも前に贈与の目的が譲渡された場合に、受贈者は原則として遺留分権利者に対して価額弁償すべきことを定めており、判例上右規定は遺贈に類推適用すべきものとされている。本判決は、右類推適用に...
《解 説》
Xは、Yからゴルフ場の開発に関して用地買収の取りまとめ等の業務の委託を受けたが、事業が途中で中止になった。XはYに対し、主位的には委任契約がXの責に帰すべからざる事由により履行途中に終了したとして、本件契約及び民法六四八条三項により履行の割合に応じた報酬として三億円の支払いを求...
《解 説》
一 X1は、昭和五九年二月、長岡市所在の大手通りのアーケード街を自転車を引いて歩行していた際、突然倒れ、嘔吐したため、Yの経営する病院に赴き診察を受けたところ、風邪からくる胃腸炎と診断されたため、自宅で療養し風邪薬の服用を続けてきた。
しかし、その後も頭痛、嘔吐が続いたため、...
《解 説》
一 X(昭和二二年生)は、昭和六三年三月、野菜、果物等の仲卸売業を営むY1会社にアルバイトとして入社し、平成元年五月より正社員として勤務し、売上、仕入等の経理関係のコンピューター入力と社員の売上管理表の作成業務に従事していたが、会社の営業時間内に、営業所内において、同社の専務ら...
《解 説》
一 私人による現行犯逮捕の際に被逮捕者との間で抗争が生じ、被逮捕者が違法な抵抗をして逮捕者に傷害を負わせたなどとして起訴されたり、逆に逮捕者が違法な実力を行使して被逮捕者に傷害を負わせたなどとして起訴されることがある。本件は、後者の場合につき、逮捕者の行為が現行犯逮捕に伴う適法...
《解 説》
本件は、原告が、被告に対し、大阪府公文書公開等条例(以下「本件条例」という。)に基づき、南大阪湾岸埋立工事、阪南丘陵土砂採取工事の指名競争入札に関する内申書(以下「本件内申書」という。)、予定価格調書(以下「本件予定価格調書」という。)及び入札参加資格者審査調書(以下「本件審査...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、重度の聴覚障害及び言語を習得しなかったことによる二次的精神遅滞により精神的能力及び意思疎通能力に重い障害を負っている被告人について、刑訴法三一四条一項にいう「心神喪失の状態」にあったかどうか、すなわち、訴訟能力の有無が争われた事件である。
一審は、訴...
《解 説》
一 本件は癌の誤診とその告知が問題となった事例である。
原告Xは、平成三年八月、嘔吐を伴う心窩部痛でY1病院を受診して、Y3医師の診断の下で治療を受け、平成四年六月からはY3医師の転勤先であるY2病院でも治療を受けた。Y3の診断は、Xの肝臓には腫瘍があるが、これは悪性の肝性癌...
《解 説》
一 X1(昭和五四年三月生れ)は、平成七年一二月当時、松任市立光野中学校の三年生であったが、同月一二日、同中学校に設置されたプールにおいて、正課である体育授業中に、水泳の練習として飛び込み台から飛び込みをした際、プールの底部に頭部を激突させ、頚髄損傷等の重傷を負った。
そこで...
《解 説》
本判決は、公正証書遺言における遺言者の署名押印及びこれへの証人の立会いの意義を明らかにした新判断である。
一 本件は、死亡した者の法定相続人と包括受遺者との間において、遺贈の原因となった遺言公正証書の有効性が問題とされた事案であり、事実経過の概要は、次のとおりである。被相続人...