《解 説》
民法一〇四〇条一項は、遺留分減殺請求の対象となるべき贈与につき遺留分権利者が同請求権を行使するよりも前に贈与の目的が譲渡された場合に、受贈者は原則として遺留分権利者に対して価額弁償すべきことを定めており、判例上右規定は遺贈に類推適用すべきものとされている。本判決は、右類推適用に...
《解 説》
Xは、Yからゴルフ場の開発に関して用地買収の取りまとめ等の業務の委託を受けたが、事業が途中で中止になった。XはYに対し、主位的には委任契約がXの責に帰すべからざる事由により履行途中に終了したとして、本件契約及び民法六四八条三項により履行の割合に応じた報酬として三億円の支払いを求...
《解 説》
一 X1は、昭和五九年二月、長岡市所在の大手通りのアーケード街を自転車を引いて歩行していた際、突然倒れ、嘔吐したため、Yの経営する病院に赴き診察を受けたところ、風邪からくる胃腸炎と診断されたため、自宅で療養し風邪薬の服用を続けてきた。
しかし、その後も頭痛、嘔吐が続いたため、...
《解 説》
一 X(昭和二二年生)は、昭和六三年三月、野菜、果物等の仲卸売業を営むY1会社にアルバイトとして入社し、平成元年五月より正社員として勤務し、売上、仕入等の経理関係のコンピューター入力と社員の売上管理表の作成業務に従事していたが、会社の営業時間内に、営業所内において、同社の専務ら...
《解 説》
一 私人による現行犯逮捕の際に被逮捕者との間で抗争が生じ、被逮捕者が違法な抵抗をして逮捕者に傷害を負わせたなどとして起訴されたり、逆に逮捕者が違法な実力を行使して被逮捕者に傷害を負わせたなどとして起訴されることがある。本件は、後者の場合につき、逮捕者の行為が現行犯逮捕に伴う適法...
《解 説》
本件は、原告が、被告に対し、大阪府公文書公開等条例(以下「本件条例」という。)に基づき、南大阪湾岸埋立工事、阪南丘陵土砂採取工事の指名競争入札に関する内申書(以下「本件内申書」という。)、予定価格調書(以下「本件予定価格調書」という。)及び入札参加資格者審査調書(以下「本件審査...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、重度の聴覚障害及び言語を習得しなかったことによる二次的精神遅滞により精神的能力及び意思疎通能力に重い障害を負っている被告人について、刑訴法三一四条一項にいう「心神喪失の状態」にあったかどうか、すなわち、訴訟能力の有無が争われた事件である。
一審は、訴...
《解 説》
一 本件は癌の誤診とその告知が問題となった事例である。
原告Xは、平成三年八月、嘔吐を伴う心窩部痛でY1病院を受診して、Y3医師の診断の下で治療を受け、平成四年六月からはY3医師の転勤先であるY2病院でも治療を受けた。Y3の診断は、Xの肝臓には腫瘍があるが、これは悪性の肝性癌...
《解 説》
一 X1(昭和五四年三月生れ)は、平成七年一二月当時、松任市立光野中学校の三年生であったが、同月一二日、同中学校に設置されたプールにおいて、正課である体育授業中に、水泳の練習として飛び込み台から飛び込みをした際、プールの底部に頭部を激突させ、頚髄損傷等の重傷を負った。
そこで...
《解 説》
本判決は、公正証書遺言における遺言者の署名押印及びこれへの証人の立会いの意義を明らかにした新判断である。
一 本件は、死亡した者の法定相続人と包括受遺者との間において、遺贈の原因となった遺言公正証書の有効性が問題とされた事案であり、事実経過の概要は、次のとおりである。被相続人...
《解 説》
一 本件は、「高知東急」の芸名を使用して平成五年一月ころから芸能活動を行っている被告に対し、原告東京急行電鉄株式会社が、「東急」の表示は、原告及び原告を中核とする東急グループの周知の営業表示であるとして、不正競争防止法二条一項一号に基づき、芸名の使用の差止めを請求し、右請求が認...
《解 説》
本件は、不動産五筆の所有権移転登記を求めた訴訟の被告代理人に選任された弁護士Xが被告(承継人)Yに対して弁護士報酬の支払を求めた事案であり、相当な報酬額がいくらであるかが争われた。なお、右訴訟は、Y側の全面勝訴となり、控訴されたが、Xは控訴審に関与せず、控訴棄却により原判決が確...
《解 説》
一 Xは栃木県の住民であるが、栃木県知事の昭和六〇年度の交際費についての関連文書の開示(閲覧及び写しの交付)を請求したところ、これに対し、実施機関Yがその一部分を公開し、現金出納簿(以下「本件文書」という。)については栃木県公文書の開示に関する条例(昭和六一年栃木県条例第一号)...