《解 説》
一 訴外Aは、教科書出版等を業とするX1会社を経営していた者であるが、平成四年五月二九日の深夜、X1の本店のある東京都港区所在の赤羽橋ビルの外壁に設置されていた非常階段の六階と七階の間の踊り場から地面に転落し、頭蓋内損傷により死亡した。
そこで、X1とAの遺族X2~X4、その...
《解 説》
本件は、不動産会社の社長である被告人甲が、従業員乙と共謀して会社の銀行預金に対する差押えを免れるため、会社の預金を隠匿したという強制執行妨害、及び、従業員丙と共謀して系列会社に対する支配権を確保するため、その株式についていわゆる見せ金による無効な増資を行って、虚偽の登記手続を行...
《解 説》
Xは昭和四七年五月三〇日に出願し、同五一年一一月三〇日公告され、同五二年六月三〇日登録された特許番号第八六八六八五号の特許権を有している。その特許請求の範囲は、当初、「(イ)電子供与性呈色性有機化合物と(ロ)フェノール性水酸基を有する化合物と(ハ)アルコール性水酸基を有する化合...
《解 説》
一 Y1はXから一八〇万円を借り受け、Y1が右借受金の返済を怠ったときは、弁済に代えて、Y1がAほか二名に対して有する債権全額をあらかじめXに譲渡することを約した。しかし、Y1がXに対して約した右債権については、債務者が特定されているのみで、それ以外には、契約上の債権であるか不...
《解 説》
一 Y社所有の未登記船舶(本件船舶)の艤装工事をしたX社が、Y社が工事代金を支払わないとして、商法八四二条八号所定の船舶先取特権に基づき、船舶競売の開始決定を求めた。
船舶の艤装に伴う先取特権は、商法八四七条二項により船舶の「発航」によって消滅するものとされているが、本件船舶...
《解 説》
本件は、Xに対し一〇〇〇万円弱の保証債務を負担していたY2の夫Y1が、支払を求められている最中にY1の唯一の財産である本件不動産を妻であるY2に贈与し、所有権移転登記を経由したため、XがY2に対して、右贈与が詐害行為に当たるとして、その取消と所有権移転登記の抹消登記手続を請求し...
《解 説》
一 本件は、医師の癌告知のあり方が争われた事例で、原審は秋田地判平8・3・22判時一五九五号一二三頁である。
訴外A(七七歳、男性)は、平成三年春までY病院に通院して胸痛等の治療を受けていたものである。同年三月の段階では癌が肺に転移しており、末期癌の状態であったが、Y病院で担...
《解 説》
一 広島県知事は訴外会社に対し森林法一〇条の二に基づいて林地開発行為の許可処分及び都市計画法二九条に基づいて開発行為の許可処分をした。一審原告ら(三一四名)は訴外会社が右許可処分に基づいてなすゴルフ場建設を内容とする開発行為によって、水利権もしくは安全な飲料水を安定的に確保する...
《解 説》
一 訴外Aは、平成二年一二月にY1と婚姻し、平成五年二月にY2を出産したので、Y2をAとY1の子として届出し、戸籍上Y2はY1とAの子として記載されたが、Xは、Y1とY2との間には父子関係は存在しないと主張し、Y1とY2との間に父子関係が存在しないことの確認を求めて本訴を提起し...
《解 説》
一 本件は、店舗を目的とする建物賃貸借契約において、借主であるY1が、賃料の一部不払、無断改築工事等の債務不履行行為を行ったため、貸主であるXとの間の信頼関係が破壊されるに至ったと主張するXが、Y1及びY1の事業を承継したY2に対し、賃貸借契約解除に基づき、店舗の明渡を求めると...
《解 説》
一 本件は、宗教法人とその代表者との間で寺院建物についての占有訴権が問題になった事案である。事実関係の概要は、以下のとおりである。
1 宗教法人日蓮正宗の被包括宗教法人Yの住職であったXは、住職の立場で寺院建物である本件建物と右建物内にある動産類の管理、所持をしていたが、昭和...
《解 説》
Yは、日蓮正宗を包括団体とする宗教法人であるが、寺院の移転新築を計画し、平成元年一〇月ころから寺院新築のための寄附金を募るようになり、当時の住職Aは新寺院は平成三年ないし同年度中には完成すると説明していた。Xら信徒はそれぞれYに対し、三〇〇〇円から一〇〇万円を寄附した。しかし、...
《解 説》
一 本件は、X(当時一八歳)が道路交通法違反(共同危険行為等の禁止違反)の被疑事実で逮捕され、取調べを受けていたところ、取調べに当たった警察官であるY1から腹部を手拳で四、五回殴打され、そのはずみで取調室内の壁で額を強打し、その結果、腹部打撲傷、左右前額部の表皮剥離及び皮下出血...
《解 説》
民法一〇四〇条一項は、遺留分減殺請求の対象となるべき贈与につき遺留分権利者が同請求権を行使するよりも前に贈与の目的が譲渡された場合に、受贈者は原則として遺留分権利者に対して価額弁償すべきことを定めており、判例上右規定は遺贈に類推適用すべきものとされている。本判決は、右類推適用に...
《解 説》
Xは、Yからゴルフ場の開発に関して用地買収の取りまとめ等の業務の委託を受けたが、事業が途中で中止になった。XはYに対し、主位的には委任契約がXの責に帰すべからざる事由により履行途中に終了したとして、本件契約及び民法六四八条三項により履行の割合に応じた報酬として三億円の支払いを求...
《解 説》
一 X1は、昭和五九年二月、長岡市所在の大手通りのアーケード街を自転車を引いて歩行していた際、突然倒れ、嘔吐したため、Yの経営する病院に赴き診察を受けたところ、風邪からくる胃腸炎と診断されたため、自宅で療養し風邪薬の服用を続けてきた。
しかし、その後も頭痛、嘔吐が続いたため、...