《解 説》
一 X1は、貸金業者であるYから利息制限法所定の制限利率を上回る三九・八パーセントの利率で二〇〇万円を借り入れ、以後、相当額の分割金を支払ったが、その支払ができなくなった。X1は、Yに対して支払った金銭を利息制限法の制限利率に従って元本に充当すれば、既に全額の弁済が終わっている...
《解 説》
Xは、現在、大韓民国の国籍を有する者であるが、昭和一九年一二月下旬、国民徴用令に基づき、旧三菱重工業株式会社長崎造船所に連れて来られ、資材運搬等の業務に従事した。Xは、同二〇年八月九日、原爆に被爆し、自力で朝鮮半島に帰った。同社は、会社経理応急措置法に基づき、会社の事業の継続等...
《解 説》
一 本件は、不動産引渡命令の当否が問題となった事案である。本件競売建物一棟を競落したXは、右建物の一区画(以下「本件建物部分」という)を占有するYに対し、引渡命令の申立をしたところ、執行裁判所はこれを認めた。これを不服とするYは、執行抗告をし、次のような主張をした。すなわち、Y...
《解 説》
XらはそれぞれYから一〇階建マンションの五、六階を賃借していたが、平成七年一月一七日に発生した兵庫県南部地震により被災し、同年三月一〇日各室を明け渡した。Xらは明渡しの前にYの要求により室内を補修し、清掃することになり、業者にこれを委託した。XらはYに支払った賃料のうち震災後の...
《解 説》
本件は、最判平7・6・9民集四九巻六号一四九九頁(本誌八八三号九二頁、判時一五三七号三頁)の差戻審判決である。
X1は、昭和四九年一二月一一日に在胎三一週、出生体重一五〇八グラムの未熟児として出生し、Yの甲病院で看護保育を受けていたが、昭和四九年一二月二七日に同病院の担当眼科...
《解 説》
Xは都市計画法上の商業地域に指定された土地上に軽量鉄骨木造瓦葺二階建居宅を所有し、昭和四一年以降居住している者であるが、Y1が南側隣地上に一四階建共同住宅(本件マンション)の建築を計画し、Y2を工事施工者として建築確認を受けるため、本件マンションにより日照を阻害されると主張し、...
《解 説》
A市では、市当局が市職労の夏期要求を受け、平成元年八月末に市職員三千数百名が市の職員互助会からそれぞれ二万二〇〇〇円を借り受け(総額約七五〇〇万円)、これを四か月間の超過勤務手当ないし特殊勤務手当により返済することとなった。XはA市の住民であるが、市は職員らの借受債務を免責的に...
《解 説》
Y県立T高校において平成二年七月六日、登校しようとした女子生徒を教諭が校門を閉鎖したために圧死させた事故のあったことは記憶に新しい。T高校においては、同月二〇日、全体保護者会を開催し、保護者以外には非公開として会議の模様をテープに録音し、議事録を職員会議で配布した。生徒の保護者...
《解 説》
本件は、Aにマンションを売り渡した原告が、右売買契約はAの詐欺によるものであり、売買契約に際して原告には錯誤があったとして、錯誤無効と詐欺による取消を主張し、右マンションの登記簿上の所有名義人被告Y1(Aの従業員)に対し真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を求め、...
《解 説》
一 日本人女性であるYは、ニューヨーク在住中アメリカ人男性Xとの間に子Aをもうけたが(XとYは婚姻しておらず、また、AはXに認知されてもいない。)、その後、Aを連れて日本に帰国した。Xは、Yに対し、Aをアメリカに戻すこと等を求める裁判をニューヨーク州家裁に提起し、右訴えの審理開...
《解 説》
一 XはY1の所有する共同住宅の一室を賃借していたが、右建物及びその敷地等にY1の設定した抵当権が実行され、競売手続が開始された。ところが、現況調査に赴いた執行官が本件貸室にはXの占有及び賃借権はないものと判断しその旨の現況調査報告書を作成提出したことから、執行裁判所もこれをも...
《解 説》
本件は、タンクローリー車に乗務してカラーアスファルトの配送作業に従事していた被控訴人(附帯控訴人・被災労働者)が、カラーアスファルトを積載したタンクローリー車の上で、火気を使用して作業中、その火気がタンク内の可燃性ガスに引火して負傷し、後遺症を残したという労災事故について、被控...
《解 説》
本件は、暴力団同士の対立抗争の最中、対立する組の者と誤認されて射殺された者の両親であるXらから実行行為者の所属する暴力団組織の最高責任者である会長Y1及びその下位(二次)組織の最高責任者である総長Y2に対し、使用者責任、又は選択的に共同不法行為により損害賠償を求めた訴訟の控訴審...