《解 説》
一 本件は、ワラント取引により損害を被った顧客Xが、証券会社Y1及び担当者Y2に対し無断売買、説明義務違反等を理由に損害賠償を請求した事案である。
Xは海産物の小売・加工販売商店を経営しており、過去約一〇年にわたり、Y2や他の証券会社との間で国債、株式の取引をし、株式の信用取...
《解 説》
Xは医師であり、昭和五八年八月ころ証券会社Yとの間で有価証券の売買取引の受託契約を締結し、取引が開始された。Xは、Yの社員がXに無断でXの資金により仮名口座二口を開設し、払戻金を着服したと主張し、受任者に対する受取物引渡請求権若しくは寄託物返還請求権又は使用者責任による損害賠償...
《解 説》
本件はダイヤルQ2サービスに関する情報料及びこれに伴う通話料(回線使用料)の債務不存在確認請求及び不当利得返還請求訴訟の控訴審である。第一審神戸地判平7・3・28本誌八八七号二三二頁は、Xらのうち一名につき、ダイヤルQ2サービスの利用事実を認め、Y(NTT)が情報料の請求権の主...
《解 説》
Xは東京都内にある本件建物(八階建てビル一階のうち合計床面積七八平方メートル)の賃貸人、Yらは賃借人であり、平成二年七月以降、右建物の賃料は月額四六万円(他に共用費月額六〇〇〇円)であった。Xは同八年七月以降の賃料を月額五二万円に増額するよう請求し、他方、Yらは月額三七万八〇八...
《解 説》
一 本件は、使用者(原告・破産会社)による破産申立、破産申立後破産宣告前になされた従業員の解雇及び破産申立後破産宣告前になされた団体交渉拒否等が、いずれも不当労働行為に該当するとしてなされた救済命令に対する取消訴訟である。
二 事案の概要
判決によると、本件事案の概要は次の...
《解 説》
一 原告が相続により取得した定期預金の払戻ないし名義書換の請求に対して被告が他の相続人の同意書等を求めて直ちに応じなかったことを理由に、第一次的には不法行為、第二次的には債務不履行に基づく損害賠償を求めた事案である。
被告は、(1)同意書の徴求は、①債権譲渡の対抗要件の具備、...
《解 説》
一 本件は、被告が、原告に対し、てんかんの治療のために入院してA養護学校の院内学級に在籍していた原告の子の甲が、「病弱者」(学校教育法七一条、七一条の二、同法施行令二二条の三)でなくなったとして、以降甲が就学すべき学校を一般校であるB中学校と指定する処分(同法施行令六条の二、六...
《解 説》
一 本件は、被告らのタクシー乗務員である原告らが年次休暇権を行使したところ、被告らが欠勤として取り扱い賃金及び一時金をカットしたため、原告らが被告らに対し、右カットは違法であると主張して、右カット分の支払を求めた事案である。
二 本件の詳細は次のとおりである。いわゆるバブル景...
《解 説》
一 事案の概要
A(昭和一六年一一月一日生)は、十代のころに遭った事故がもとで、てんかんの発作を起こすようになり、昭和五八年以降通院していた。Aは、昭和六〇年、てんかん及び神経症と診断され、投薬やカウンセリングの治療を受けていたが、昭和六三年一二月一九日、職場で二・五メートル...
《解 説》
一 X(JR東海)は、昭和六二年四月一日、日本国有鉄道改革法等により、国鉄の鉄道事業の一部を引き継いだ。国鉄は、長年にわたる赤字の累積のため経済的再建を迫られていたが、他方で、ヤミ慣行、現場協議における管理者の吊し上げ等の存在が指摘されており、職場規律の確立が求められていた。そ...
《解 説》
本件は、Xが有する自走式立体駐車場の特許権に基づき、イ号ないしヘ号物件(自走式立体駐車場)についてこれを発注し、完成後使用している者(イ号につきY1、ロ号につきY10、ハ号につきY5、ホ号につきY6、ヘ号につきY7)、建築業者(イ号につきY4、ハ号につきY8)、設計監理者(イ号...
《解 説》
一 X3(X1会社の取締役でX2会社の代表取締役)は、X1所有のベンツをY1会社が経営しY2会社が管理運営する駐車場(路外駐車場)に預けたところ、Y2の従業員Aが、第三者に本件自動車の鍵を渡してしまい、本件自動車が窃取された。この自動車は滋賀県下で発見されたため、X3が引き取っ...
《解 説》
一 A会社は、平成七年一一月二二日破産宣告を受け、Bは、平成七年一一月二四日破産宣告を受けた。ゴルフ会員権の名義はBとされており、Yは本件会員権を担保(譲渡担保及び質権)として会員権証書を占有している。本件は、このゴルフ会員権が、X(Aの破産管財人)・Y間、X・Z(Bの破産管財...
《解 説》
一 事案の概要
Xは、大学在学中に、出生時の股関節脱臼の治療として股関節形成手術を受け、右発症当時、約三センチメートルの脚長差、股関節可動域に制限があった上、腰椎前弯も増強していた(基礎疾患の存在)。Xは、平成元年四月から、本件養護学校に教諭として勤務し、他の教諭と共に軽度か...
《解 説》
一 本件は、関税法一〇九条一項の禁制品輸入罪の既遂が成立するか否かが問題になった事案である。本決定が前提とする原判決の認定によれば、被告人らは、フィリピン共和国から大麻を隠匿した航空貨物を被告人が経営する東京都内の居酒屋あてに発送したものであり、右貨物が新東京国際空港に到着した...
《解 説》
一 Xらは、Aの非嫡出子であるが、Aの嫡出子で包括受遺者であるY1及びその母でAの妻であったY2に対して、遺留分減殺請求権を行使した上で、各財産に共有持分を有することを確認を求めるとともに、遺留分割合に応じた持分一部移転登記手続及び金員を求めた。本件は、Xらの母とAとは事実上の...