《解 説》
本件は、茅ヶ崎市の住民であるXらが、市に代位して、市長個人Yに対して損害賠償の請求をした住民訴訟事件である。Xらの主張によれば、市は、国鉄から転売禁止特約付きで買い受けた土地を特約に違反して転売したため、国鉄を承継した国鉄清算事業団から、右土地の売買契約を解除された上、解除によ...
《解 説》
一 商法は、新株発行無効の訴えを創設している(二八〇条ノ一五以下)が、新株発行不存在確認の訴えについては何ら規定するところがない。ところが、多くの学説はこの訴えを認めており、実務上も無効の訴えによらずに不存在確認の訴えを提起する例が散見される(その実際上の理由は、無効の訴えにつ...
《解 説》
一 本判決は、別掲の五年(オ)第三一六号事件(本誌本号一七九頁)と同一の原判決のうち昭和六三年の新株発行に関するものである(別掲コメントの二項を参照)。A社の昭和六三年の二四〇〇株の新株発行のうち九〇〇株をXが引き受け、Yの引受けはなかった。その結果、Xが一二七〇株、Yが八〇〇...
《解 説》
一 Xは、平成三年三月二九日、Yの経営する病院において胃ガンと診断され、同年五月九日、同病院のA医師の執刀により、胃の四分の三を切除する胃亜全摘手術(以下「本件手術」という。)を受けたが、同月三一日になって突然大量の吐血・下血をして倒れ、同年六月二二日には再度大量吐血したため、...
《解 説》
Xら三名はそれぞれYから建物を賃借し、保証金一二〇万円ないし二〇〇万円を差し入れていたところ、平成七年一月一七日発生した阪神淡路大震災により賃借建物が破損した。Xらは、主位的にはYの修繕義務違反による賃貸借契約の解除を、予備的には建物の滅失による賃貸借契約の終了を理由に保証金全...
《解 説》
一 被告人は、ブラジル空港から日航機に搭乗するに際し、コカインを隠匿したスーツケースを機内預託手荷物として運送委託し、新東京国際空港に到着後偽造旅券で入国しようとしたところを入管職員に発見された。税関検査に際して、被告人は、税関職員の質問に対し携帯品はなく、税関に申告すべきもの...
《解 説》
一 東つ日が流る外そと三郡誌という、ふりがながなければ読めぬ奇妙な名前の大部の文書が青森県の旧家和田家に伝えられ、各種伝承の外、従来の日本史に知られぬ古代東北文化が記されているとして活字化されたが、間もなく現当主であるY(被告・被控訴人・被上告人)が先祖の筆跡と称して偽作したに...
《解 説》
1 XとYの実父亡Aは、三筆の土地と三棟の建物をいずれも各持分二分の一の割合で共有していた。Aが死亡してYが相続によりAの持分を取得した結果、XとYが本件各不動産をその持分各二分の一の割合で共有することになった。
本件三筆の土地の位置関係は本判決別紙分割目録の実測図のとおりで...
《解 説》
X1ら八名は、JRに勤務する職員で構成されるX9労働組合の組合員であり、いずれも動力車の乗務員であった。X1らは旧国鉄が分割民営化される直前の昭和六二年三月一〇日、駅直営売店等での営業係の兼務を命じられ、そのままJRに移行した。しかし、同六三年四月五日にはYから乗務員兼務を解職...
《解 説》
XはYに対し、養鰻池を賃貸したと主張し、その明渡しを求める訴えを提起した。第一審判決は、Xが賃貸したのは旧借家法の適用を受ける養鰻ハウスであるとしてXの請求を棄却した。
Xは同判決に対して控訴し、XのYに対する賃貸の中心は養鰻池であり、ハウスはその付属物にすぎないこと、ハウス...
《解 説》
本件は、交通事故により死亡した被害者Aの相続人であるXらが、加害車両の保有者であるYに対して、自賠法三条に基づく損害賠償請求をした事案であるが、Xらが、Aが本件交通事故により死亡したことにより相続税額が増加したとして、右増加分の賠償を求めた点に特色がある。
建物の相続税評価額...
《解 説》
一 本件は、道路交通法一二〇条一項一一号の呼気検査拒否罪の規定が憲法三八条一項に違反するかどうかが問題となった事案である。被告人は、酒気帯び運転一件、無免許かつ酒気帯び運転二件のほか、その三件目の運転をした際に、警察官から道路交通法六七条二項の規定による呼気の検査に応ずるよう求...
《解 説》
X及びYらは、A・B夫婦の相続人(代襲相続人を含む)であるところ、XはYらに対し、土地、建物、借地権、出資金、株式等につきAないしBの相続財産であることの確認並びに土地、土地及び建物の使用借権につきAないしBのみなし相続財産であることの確認を求めて提訴した。
本判決は、これら...
《解 説》
M県にある某池(直径約一キロメートルの火山湖)のほとりでX1は貸しボート業及び遊覧船業、X2とX3は食堂及び土産物販売店を営んでいるものであるが、平成五年六月から九月にかけての集中豪雨の結果池が氾濫し、建物に浸水するなどの被害を受けた。Xらは、池から取水する用水路及びその水門の...
《解 説》
一 本件の事実関係はやや複雑であり、争点も多岐にわたるが、判示事項に関係する限度で、判決の事実認定に基づいて事実関係を摘示すると、次のとおりである。
Y1はXから飲食店営業のためビルの一室を賃借していたが、右ビルの管理状態は悪く、賃借直後から右店舗の使用に一部支障を来たす状況...
《解 説》
Xら三名は、旧国鉄の民営化に反対し、動労水戸を結成してその役員の地位にあった者である。Xらは、旧国鉄からJRに採用されたが、その配置状況は概略次のとおりであり、いずれも三か所転勤した。すなわち、X1は、電車運転手であったが、水戸の人活センターからJR発足後に平駅営業係兼務を命じ...
《解 説》
一 平成五年六月、X所有の旭川市末広所在の木造二階建居宅から出火し、右建物と家財が焼失したが、Xは、Y1保険会社とY2保険会社との間で、住宅総合火災保険等の保険契約を締結していたので、Y1に対して一三〇〇万円の保険金を、Y2に対しては一五〇〇万円の保険金を請求した。
これに対...