《解 説》
本件は、借地権付建物の売却許可決定に対する執行抗告事件である。売却を申し立てたXは、本件建物の最低売却価額の基となった評価人の評価について、①抵当権設定後に本件建物に隣接して新築された件外建物の敷地を二割とし、本件建物の借地権の及ぶ範囲を借地の八割に縮減したこと、②路線価図上、...
《解 説》
一 事案の概要は次のとおりである。乙は司法書士法一四条に基づいて設立された法人であり、甲らはいずれも乙の会員たる司法書士である。
乙は、平成七年二月二五日に開催された臨時総会において、阪神大震災により被災した兵庫県の司法書士会・司法書士の復興を支援するため、阪神大震災救援司法...
《解 説》
一 本件は、年間売上が三〇〇〇万円を下回り消費税免税事業者であった依頼者X(旧ビルを運用していた)が、会計・税務上の顧問契約を締結していた税理士(公認会計士)Yに対し、旧ビルを新ビルに建て替えるに際し多額の建築費用を支払いその仕入れ税額も多額になったことから、新ビル建築の前年度...
《解 説》
一 本件は、傷害罪につき過剰防衛を認定した原判決を、控訴審が事実誤認を理由に破棄し、正当防衛を認定したものである。
本判決の認定するところによれば、事案の概要は次のとおりである。
被告人は将棋を指していたところ、観戦中のTと口論になり、その顔面を殴打するなどしてつかみ合うよ...
《解 説》
Xの常務取締役Mは運送会社Yに対し、Xの社長Iに今まで運送を頼んでいたHを使うなと言われたが、いきなり止める訳にいかないので、Yの方にHの請求書を上げさせるから、Xに請求してくれと持ちかけた。これによりXからYに継続的に運送が委託され、YからHに下請運送が委託された。HのYに対...
《解 説》
日本共産党員のXは、昭和五九年一一月七日午後一一時二〇分ころ、軽四輪貨物自動車を運転していたところ、警察官Aらから停止を求められ、一時停止違反等の事実について簡単な質問を受けた後、派出所に任意同行を求められた。Xは、同所においてAらから同党や日本民主青年同盟に関する情報の提供者...
《解 説》
X1及びX2は、株式会社Y2の株式各八〇〇株を有することの確認を求める訴えを、これを争う祖父であるY1(Y2の代表者)に対して提起した。また、右Xらのほか、Y1の子であるX3、Y1の妻であるX4は、平成四年一月に開催されたY2の臨時株主総会の決議(定款変更及び取締役選任)の取消...
《解 説》
平成二年九月二〇日、Xを買主、Yらを売主として、両者間にYらが本件土地約三四八〇平方メートルを造成してXに引き渡し、Xは代金としてYらに一六億三〇六〇万円を支払う、引渡期限は同三年五月三一日とする旨の契約が締結され、XはYらに手付金一億六〇〇〇万円を交付した。Xは、同年五月二八...
《解 説》
一 X1は一歳のとき、Y2病院のY1医師による脊髄の検査中に麻酔薬の過剰投与により呼吸停止に陥り、蘇生措置により生命は取り留めたものの、低酸素脳症により意識が戻らず、自立的な運動のない重篤な後遺障害を持つに至った。そこで、X1及び両親であるX2X3は、Y1医師に対しては民法七〇...
《解 説》
一 Xは、建設機械の製造販売を業とするものであるが、平成七年九月六日までに、全油圧式パワーショベルHD五一二型(以下「本件物件一」という。)を、同月七日までに同パワーショベルHD五一〇型(以下「本件物件二」という。)を、それぞれ製作してその所有権を取得したうえ、所有権留保の特約...
《解 説》
一 本件は、証券会社である債務者会社が営業社員らの賃金を削減したのに対し、従業員である債権者らが、債務者会社の右措置は労働契約に違反し無効・違法であるとして、労働契約に基づく差額賃金の仮払い等を求める賃金等仮払仮処分申立事件である。
二 本決定によれば、本件の事実関係は以下の...
《解 説》
一 本件は、いわゆる撚糸工連事件の差戻後の控訴審判決である。撚糸工連事件は、昭和六〇年九月から六一年五月にかけて、撚糸の生産業者を組合員とする商工組合の連合会である日本撚糸工業組合連合会(いわゆる撚糸工連)の経理課長の使い込み事件に端を発し、同連合会の不正経理の発覚、同連合会幹...