《解 説》
一 事案の概要
病院に入院中のAが、B、Cを証人として、財産全部をYに遺贈する旨の公正証書遺言をしたが、その際、公証人は、氏名を知り面識がある証人Cによって、嘱託人の人違いでないことの確認をした。Aは、BとCの立会いのもとに、遺言の内容を公証人に口授し、公証人は、これを筆記し...
《解 説》
Y1銀行はY2に対する一億八〇〇〇万円の貸金の譲渡担保として、時価二億六八五二万円相当の株券を取得したが、同株券はXの所有であり、他人に窃取されたものであった。Xは、所有権ないし株主権に基づき、Y1に対して株券の引渡しと引渡しの遅滞による損害賠償を、予備的に所有権侵害行為に対す...
《解 説》
本件は、覚せい剤の自己使用の事案であるが、被告人の尿から覚せい剤成分が検出され、被告人も、自宅を掃除中に覚せい剤のような結晶一個を見つけてなめてみたら、思ったとおり覚せい剤であったが、口に入れた後だったので水で飲み込んだ旨の自白をしたものの、他方、被告人方から注射器が発見され、...
《解 説》
一 本件は、いわゆるリクルート事件労働省ルートにおいて贈賄の共犯として起訴された被告人に対する控訴審判決である。リクルート事件は、リクルート社の社長であったAが同社の関連会社であるリクルートコスモス社の株式を店頭公開するに当たって、政界、官界の有力者らに対して同社の未公開株を譲...
《解 説》
一 本件は、被告人が、被害者の腹部を足で三、四回強く踏みつけるなどの暴行を加えて外傷性小腸穿孔等の傷害を負わせ、その二日後に被害者が救急搬送された病院において右傷害に基因する汎発性腹膜炎で死亡したという事案である。弁護人は、被害者の死亡は、その治療に当たった医師が、被害者の腹腔...
《解 説》
一 事案の概要
千葉県の宅地開発事業等の基準に関する条例(以下「本件条例」という。)は、五条一項で一〇ヘクタール以上のゴルフ場等の開発事業を行おうとする者は、その計画についてあらかじめ知事に協議し、同意を得なければならないと定めており、同条四項で、協議を申し出ようとする者は、...
《解 説》
Xらの子Aは、Y県立高校二年生であり、陸上競技部に所属していたが、平成四年五月、校庭で短距離走スタートダッシュ練習の順番待ちをしていたところ、ハンマー投げの練習をしていたBの投げたハンマー(重さ五・四五キログラム)に左後頭部を直撃され、翌日頭蓋骨陥没骨折、脳挫傷により死亡した。...
《解 説》
一 本件はステロイド常用状態にあった気管支喘息患者の治療方法の当否が争われたもので、原審は神戸地判平3・11・29判時一四四六号一二一頁である。
かねて気管支喘息を患っていたA(当時二四歳)は、昭和六一年五月二八日深夜、その発作の治療のため、被告Yが運営する病院を受診し、翌二...
《解 説》
一 本件は、ワラントを購入した顧客Xが、証券会社Yの社員Aにより違法な勧誘行為等(断定的判断の提供、虚偽または誤解を生ずる表示、仕切り拒否など)があったと主張して、Yに対し、損害賠償を求めたところ、Yは、X主張の違法行為を否認し、また、Xの職業、証券投資歴などを根拠に勧誘行為と...
《解 説》
一 本件の事案の概要は次のとおりである。所轄署の警察官が、訴外人から、債権回収のためにXを訪問した際、Xからネクタイを引っ張られる等の暴行を加えられて全治一〇日を要する頸部挫傷の傷害を負った旨の被害を申告されたため、傷害被疑事件としてXに対する逮捕状を請求し、Xはこれに基づく逮...
《解 説》
一 Xは、平成四年六月、Y1連合滋賀県連合会を退職したものであるが、平成五年一月、Xの退職はY1らの差別的行為によるものであることを理由に、Y1と事務局長Y2、副事務局長らを相手取り、大津簡裁に対して損害賠償を求める調停を申し立てた。
これに対し、Y1は、その機関紙である「連...
《解 説》
一1 Y有限会社は、A所有の本件土地を賃借し、右土地上に車庫(本件建物)を建築所有して、運送業を営んでいた。
2 Yは、代表取締役であるB及びその家族が持分全部を保有し、役員もBの親族によって占められる同族会社であったが、Bらは、Yの持分全部をCに譲渡し、役員も全員交代して、...
《解 説》
訴外Aは、平成四年八月当時、北海道大学大学院工学部応用物性学研究科で応用物理学を専攻し、同大工学部応用物性学第一講座に所属していた者であるが、同月一〇日、右大学の低温実験室内で右講座の助手とともに倒れていたのを発見され、まもなく低酸素血症により死亡した。
Aの遺族である原告ら...
《解 説》
主婦Yは証券会社Xを通じて株の信用取引を行い、委託保証金に代えて株券を預託していたが、株式相場の低下により証券取引所所定の預託率二割を割り込んだため、Xは追証を求めた。Yがこれに応じなかったため、XはYの計算において株式を売却し、なお損金が二三七六万円残ったとして、Yに対し右残...
《解 説》
一 本件は、天皇制廃止を主旨とする団体の構成員ないしこの主旨に賛同する者であったA、X1ないしX4が、平成元年から同二年にかけて数回にわたり東京都渋谷区の代々木公園周辺において天皇制反対を表明するビラ配布、演説寸劇等のパフォーマンス、音楽活動、横断幕掲示等の活動を行っていた際、...
《解 説》
T市(市長Y1及び同市長個人Y2)においては市内にある呉羽丘陵について健康とゆとりの森整備事業基本計画を策定し、同事業を実施したところ、X及びZ(共同訴訟参加人ら四名)は、右事業が違法であると主張して市長に対し工事等の差止め及び丘陵に対する適正な財産管理を怠ることの確認を求める...
《解 説》
一 宅地建物取引業法(以下「法」という。)は、消費者保護の制度として、二五条において、宅地建物取引業者は、営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託しなければならない(一項)、その額は政令で定めるとし(二項)、六四条の八において、宅地建物取引業保証協会の社員と宅地建物取引業...