《解 説》
一 本件の事実関係の詳細は判文に譲るが、要約すると次のようになる。承継前原告Aが本件不動産を所有していたが、Aの息子であるX2がAに無断でその所有名義をXらに移し、これを譲渡担保として四億円を借り入れた。ところが、貸主から譲渡担保の実態は売買契約であるとして本件不動産の明渡しを...
《解 説》
Xらは第二次世界大戦中に朝鮮半島から女子勤労挺身隊員として募集され(X1・X2)、あるいは徴用により来日し(X3)、Yの工場において労働に従事し、昭和二〇年に帰国した。Xらは、賃金が未払いであると主張してYにその支払を求め、さらに劣悪な環境下で強制労働を命じられ、労働時間以外に...
《解 説》
一 Xは、平成三年一〇月当時、○○電鉄株式会社に勤務していた者であるが、同月三日夜、Xら一家がかつて居住していた県の居宅(以下「本件建物」という。)から火災が発生し、本件建物及び本件建物内の家財が全焼した。
そこで、Xは、本件建物及び本件建物内の家財を目的物として、火災保険等...
《解 説》
一 被告人は、覚せい剤使用の罪で懲役一年六月、三年間執行猶予に処せられ、その猶予期間中に再び同じ罪を犯して起訴されたが、第一審判決は、父親の通報で事件が発覚したことや父親において入院の手はずを整えていることなどを斟酌し、被告人を懲役一年、五年間執行猶予、付保護観察に処した。これ...
《解 説》
Xはホース等のプラスチック製部品を製造販売する会社としてA一族が出資して設立した会社であり、YもA一族がXの製造部門として出資して設立した四会社の一つであって、代表者はいずれもAが兼任していた。Aは、平成七年五月死亡したが、その子Bは同月、Xの常務取締役を辞任し、Yの代表取締役...
《解 説》
一 Yはゴルフ場経営及び建設を業とする会社であり、平成元年ころゴルフ場を建設することを決定し、オープン予定を平成五年秋として会員の募集を開始したが、予定時期にオープンすることができなかった。その後、平成七年六月二八日に工事完成検査を受け、予定より二年遅れの平成七年七月二一日にオ...
《解 説》
一 原告(仙台市の市民団体)が、宮城県の情報公開条例(以下「本件条例」という。)に基づき、平成五年四月から平成六年一一月までの県総務部財政課の食糧費支出に関する一切の資料の開示を請求したところ、被告(県知事)は、食糧費支出伺、支出負担行為兼支出命令決議書、請求書がこれに該当する...
《解 説》
本件は、都心の高度商業地域における土地賃貸借契約期間満了後の使用継続に対する異議について正当事由の存否が争われ、建物収去土地明渡しが求められた事案である。賃借人Yの先代Aは昭和三一年に右土地を賃借し、Aが同三九年に死亡したためYが賃借権を相続し、同五一年に契約期間を平成八年一月...
《解 説》
X(昭和三六年生)は、Y(昭和一〇年生)が離婚した夫との間にもうけた長男である。Yは、離婚後Xを引き取り本件不動産の場所に存在した借家で居住していたが、その立退補償金並びに住宅金融公庫及びYの兄弟からの借入金でマンションの一室及びその敷地権である本件不動産を購入した。なお、本件...
《解 説》
本件は、契約準備段階における信義則上の義務違反に基づく損害賠償責任の有無が問題となった事案である。
本判決で認定された事実関係の概要は次のとおりである。Xは、多額の借入金により保証金及び造作費用等を支払って店舗を賃借し寿司・割烹店を営業していたが、業績が悪化し借入金や賃料の支...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。吹田市西消防署(以下「西署」という。)副署長であった原告は、昭和六一年二月二四日、西署で倒れ病院で受診し、脳梗塞(右麻痺)(以下「本件疾病」という。)と診断されて入院治療を受け、同年三月二六日、「脳梗塞後遺症」と診断された。原告は、本件疾病...
《解 説》
Yテレビネット局は、運輸会社の社長Bが大蔵大臣等を歴任した大物政治家Aに現金一億円を交付したと供述していることを三回にわたり報道した。AはYに対し、名誉が毀損されたことを理由に五〇〇万円の損害賠償、全国紙四紙への謝罪広告の掲載及び放送番組における謝罪声明の放送を求めて提訴した。...
《解 説》
一 Xは、平成二年四月、筑波大学大学院経営・政策科学研究科に入学し、平成四年三月、「オプション組み入れポートフォリオの収益率分布評価システムの構築」を修士論文として、同大学院に提出し、同修士課程を終了した者であるが、同論文の中核である「オプション組み入れポートフォリオの収益率分...
《解 説》
一 Xは、旭川市内で洋品店を経営している者であるが、平成五年一二月、右洋品店が火災になり、店舗内の商品、什器類等が焼失、汚損されたので、店舗総合保険契約等を締結していたY保険会社に対し、三八八五万円余の保険金を請求した。
これに対し、Yは、右火災は、X又はXの関与のもとでその...
《解 説》
一 本件事案は、覚せい剤取締法違反(覚せい剤の営利目的所持)の被疑事実で勾留され、右事実について起訴された被告人が、第一審で有罪判決を受けて控訴し、控訴棄却の判決を受けたのでさらに上告したが、その間同一の勾留が継続していたところ、上告審に係属中に第一審裁判所に対して勾留理由開示...
《解 説》
本件は、現職の国会議員が破産宣告の申立てを受け、議員歳費まで差し押さえられたとして社会の耳目をひいた事件である。
当時衆議院議員で建設政務次官であったXが、Y1発行の「週刊新潮」「『破産・代議士』X氏のそれでも『政務次官』」との記事が名誉を毀損するとして提訴したところ、これを...
《解 説》
ここに紹介する二例は、いずれも変額保険の勧誘に際して説明が不十分であったこと等を理由として、主位的に変額保険契約、融資契約等の有効性が、予備的に保険会社及び銀行の共同不法行為責任の有無が争われた事件である。
①事件のXは、本件各契約締結当時六八歳の男性であり、農業に従事してい...