《解 説》
一 遺産分割審判がされて確定し、控訴人らは不動産を取得するものとされたが、その土地は既に相続人全員の合意で徳島県に売却し、法定相続分に応じて代金も取得済であった。控訴人らは民法九一一条、五六三条三項により、売却代金額を基本にして被控訴人らに損害賠償を求めた。一審大阪地裁は民法五...
《解 説》
被相続人Aは、その子であるXらに対し、Aの所有する土地(本件土地)の持分二分の一ずつを、Aの死亡を始期として死因贈与(本件死因贈与)し、その旨の始期付所有権移転仮登記(本件仮登記)を経由していた。Aが死亡し、相続が開始し、本件仮登記に基づく本登記手続がされた後、Xらは、Aの相続...
《解 説》
Xは、保険会社Y1の外務員であるA(Xの妻の妹)らから変額保険は相続対策として有効であるとして勧誘を受け、平成二年三月、自己及び妻をそれぞれ被保険者とする二口の変額保険に加入し、保険料一億七五九六万円余は飛込みにより銀行Y2から保証会社Y3の保証のもとに融資を受けて支払い、自己...
《解 説》
一 Xは、Y会社の商業登記簿に取締役として登載されている者(但し、任期終了後後任者が選任されていない状態。)であるが、Y会社に対し、賃料、貸金等請求の訴訟を提起して、一審で一部勝訴した。Y会社は、控訴審に至って、取締役と資本の額が一億円以下の株式会社との間の訴訟であるから商法特...
《解 説》
Xは昭和五五年八月にY医療法人に採用された准看護婦であり、以来福岡県田川市内の三交代制の病院で勤務していたところ、平成七年六月、Yの福岡市における二交代制の病院での勤務を命じられた。Xは、Yにより田川市内の病院での勤務に限定して採用されたものであり、Xの同意なく他市の病院への配...
《解 説》
Xは自転車に乗っていたところ、Yの自動車が後方から追突し、Xは救急車で病院に搬送され、入院日数合計八〇日等を要する顔面挫創、鼻骨骨折、右膝裂創、上下肢擦過傷、上歯列骨折、頭部外傷、頚椎捻挫等の傷害を負った。XはYに対し、不法行為及び運行供用者責任に基づき、総額二三六〇万円余の損...
《解 説》
一 Xらは、中部電力株式会社の株主であるが、中部電力が平成五年一二月、芦浜原子力発電所建設に関し地元漁業協同組合に対し二億円を違法に支出したことにより同会社に損害を与えたなどと主張し、中部電力の取締役Yらを相手どり、損害賠償を追及して代表訴訟を提起した。
右代表訴訟において、...
《解 説》
A社を吸収合併したX社は、A社がその代表取締役であったBに対し貸金債権九億八一九六万円余を有し、また、BがA社を貸主として返済見込みのない会社に貸付を行い、又は返済能力のない会社の債務に連帯保証させるなどしてA社に四〇二億円相当の損害を負わせたところ、BはAを害することを知って...
《解 説》
一 本件は、預託金会員制ゴルフクラブの会員権が二重譲渡された事案であり、会員権の譲渡を第三者に対抗するための対抗要件は何かが問題となった事件である。
二 本件の事実関係の概要は、次のようなものである。
Aは、N会社の経営する預託金会員制ゴルフクラブであるNゴルフクラブの自己...
《解 説》
Xは、宅地建物取引業者Yの仲介でAから土地を購入し売買代金をすべて支払ったが、右売買契約と残代金支払との間に、当該土地にAを債務者、第三者Bを債権者とする根抵当権設定登記が経由されていたことが後日判明した。そこで、Xは、Yが登記簿等の調査義務を尽くし、Xに右根抵当権設定登記の存...
《解 説》
一 中華人民共和国(以下「中国」という。)の国籍を有する外国人である上告人(控訴人・原告)は、平成元年九月、中国福建省からベトナム難民を装う難民船に乗船して、有効な旅券を所持せずに、本邦に上陸し、同年一二月に退去強制令書の発付を受けた。上告人は、デモ行進等に参加したため、身の安...
《解 説》
一 借地法一二条二項は、賃料増額紛争について、同条一項の賃料増額請求により請求時に当然に適正額に増額されたことになることを前提として、借地権者は、増額を正当とする判決の確定までは「相当ト認ムル」賃料を払えば足りる(支払額が結果的に適正額に不足していたとしても債務不履行にならない...
《解 説》
一 昭和四〇年代後半から多数の水害訴訟が提起されたが、ダムの操作等の人為的要因が問題となるものを除けば、本件は最高裁における一連の水害訴訟の締めくくりに当たる事件である。本件水害の発生時期は、多摩川水害と同年の昭和四九年である(大東水害は同四七年、長良川水害は同五一年)。本件は...
《解 説》
本件は、物上保証人に対する抵当権の実行によって被担保債権の消滅時効の中断効の生ずる時点についての解釈が争われた事件である。
本件土地の所有者であるAとX1は、昭和五四年一二月四日、その所有する本件土地上に債務者をBとし、Yを権利者とする極度額一九〇〇万円の本件根抵当権を設定し...