《解 説》
本件は、現住建造物等放火未遂被告事件につき、同罪の実行の着手を認めた一事例である。
上記のような法律問題もさることながら、本件は、事実認定も非常に複雑な事案だったようであり(興味のある向きは併せて検討されたい。)、本判決は、犯行直後の現場の状況や現場に残された物証、さらには被...
《解 説》
一 訴外Aは、平成二年八月当時、山口鋼業株式会社に勤務していたものであるが、同月一七日、同会社で就労中、金属プレス機のローラーに両手をはさまれて両手に圧挫傷の傷害を負ったため、救急車で岐阜大学附属病院に搬送され、直ちに同病院に入院した。
そして、Aは、同日、同病院において、右...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、京都市民である原告が、京都市公文書の公開に関する条例(以下「本件条例」という。)に基づいて、弁護士の報酬に関する公文書の公開請求をしたのに対して、被告がこれを非公開とする決定をしたので、その取消しを求めた抗告訴訟である。原告は、被告に対して「『ポンポン...
《解 説》
一 X1は、昭和五八年一二月、第二子Aを出産するため、Y1の経営する診察所に入院し、分娩誘発剤ないし陣痛促進剤の投与を受けて、Aを出産したが、仮死状態で出生したため、低酸素性虚血性脳症に罹患し、平成四年一月、植物人間の状態のまま、肺炎により死亡するに至った。
そこでX1とAの...
《解 説》
一 Xは、「①野鳥を中心とする自然環境の保護、②野鳥保護思想の普及教育、③野鳥に関する調査研究」を目的として設立された財団法人であるが、月刊誌「宝石」の昭和六三年三月号に掲載された「自然保護の美名の下でおしすすめる『日本野鳥の会』のあこぎな金集め」と題する記事によって名誉を毀損...
《解 説》
一 Xは、平成二年三月、訴外A会社が、土地を買収し同地上の旧建物を取り壊したうえ、建物を建築し、パチンコ店経営等を行う事業計画をたて、右実現のための資金の融資を依頼してきたので、同土地等に抵当権を設定することとしたうえ一〇億円を融資することにした。
そして、その際、A会社は、...
《解 説》
一 Xは、昭和五四年一月、Yに対し、東京都新宿区所在の三階建ビルの一階店舗を賃貸したが、平成元年七月に賃貸借契約の更新を拒絶し、平成二年九月に解約の申入れをするとともに、右ビルは老朽化が甚だしく、取り壊して中層のビルを建築する準備を進めているし、二億円以上の立退料を提供する旨申...
《解 説》
本件は、広告代理業を営む原告が、オートバイ及びオートバイ用品の販売輸入を業とする被告に対し、その委託によって雑誌に広告を掲載したが、その代金を支払わないとして、これを請求するものである。広告を掲載し、その代金債権が発生したことについては争いがない。被告がその支払を拒絶した理由は...
《解 説》
一 本件の事案の要旨は次のとおりである。
資産家である祖母(以下「祖母」という)の養子となっていた会社経営者である米国居住者のXが、相続対策についてY1社従業員に相談したところ、同人から、米国非居住者である祖母が投資目的で米国財務省証券を取得したうえで、その存命中に米国居住者...
《解 説》
一 本件は、株式会社X(債権者)が営む司法試験受験予備校の専任講師を務め監査役にも就任していたY1(債務者)と、その代表取締役を務めその後監査役であったY2(債務者)とが、Xを退職後株式会社を設立し、同社が営業主体となって司法試験受験指導を行う「司法試験塾」を開業したため、Xが...
《解 説》
一 X1は、昭和六二年九月、Yに対し、本件建物を賃貸したが、平成二年三月、本件建物取壊しの必要を理由として使用継続に異議を述べたうえ、Yを被告として、本件建物の明渡しを求める訴えを提起した。
そして、右訴えについては、平成三年三月、X1とYとの間において、X1がYに対し引き続...
《解 説》
一 Xは、平成三年一月当時、汽船第八富士宮丸(総屯数一四一トン、以下「本件船舶」という。)を賃借して石油製品の海上及び河川上の運送業務を行っていたが、同月五日、荒川を遡航して京成押上線荒川橋橋下の通航路を航過しようとした際、同橋の橋脚に衝突し、鉄橋を損傷したことにより京成電鉄に...
《解 説》
一 Xらは、それぞれ、平成元年一月、Yとの間に、Yの経営する「プリムローズカントリー倶楽部」の会員となる旨の入会利用契約を締結し、入会金二五〇万円と預り保証金一五五〇万円を支払ったが、ゴルフ場の開場予定は平成四年秋となっていたにもかかわらず、右ゴルフ場は開場されないため、平成七...
《解 説》
一 訴外Aは、平成四年六月当時、長崎県立壱岐高校の一年生であり、同月一五日から同月一七日まで、同校敷地内のセミナーハウスを使用して行われる「宿泊学習」に参加したものであるが、同月一六日深夜、女子生徒宿泊室内にいることが発覚し、指導監督教諭から頭部等を殴られ、廊下に倒れて顎から出...
《解 説》
一 本件は、被告が開設する病院で下顎骨形成手術を受けた患者が、術後、いわゆる呼吸停止、心停止の状態に陥り、遷延性昏睡状態のまま約三年間生存した後死亡したことにつき、右患者の両親である原告らが、医師の術後管理及び蘇生措置上の過失が原因であると主張し、被告に対し診療契約上の債務不履...