《解 説》
一 本件は、肺癌患者に対する放射線治療の当否が争われた事例である。
亡Aは、昭和五九年当時、五二才の主婦であったが、被告Yが運営する国立療養所松戸病院で、肺の腺様嚢胞癌であることが判明した。手術はできない状態であったので、Yの担当医は放射線治療を実施することにして、同年暮(第...
《解 説》
一 X1は、平成三年一月当時、天王中学校の二年生であったが、同校の三年生であったY1、Y2、Y3から、同校内のトイレ内で、殴る、蹴るなどの暴行を受け、その精神的影響から、心因反応を発症し、その治療のため入退院を繰り返さざるを得ない健康状態になってしまった。
そこで、X1とその...
《解 説》
一 Xの先代Aは、昭和二六年までに、Yらに対し、その所有の土地を小作地として賃貸していたものであるが、相続によりその所有権を取得するとともに、賃貸人の地位を承継したXは、平成四年一二月と平成五年一二月、Yらに対し、固定資産税等が増額されたことを理由として、賃料(小作料)を増額す...
《解 説》
Xら四名は、医療法人Yが設置する看護学校を卒業し、Yに就職が内定していたが、いずれも内定を辞退する旨意思表示した。XらはYに対し、文書等により、卒業証明書及び成績証明書の交付を求めたが、Yはこれに応じなかった。Xらは、各証明書の交付を求める仮処分を申し立て、これを認容する決定を...
《解 説》
一 本件は、不法残留中のイラン国籍の被告人が、タイ王国に在留していた実兄と共謀し、営利目的で、あへん約七五〇グラムを国際宅配便を利用して輸入するとともに、関税定率法上の輸入禁制品であるあへんを輸入したという出入国管理及び難民認定法違反、あへん法違反並びに関税法違反の事案である。...
《解 説》
一 本件は、銀行からの借入れにより保険料一時払いの変額保険に加入した原告(X)が、主位的に、①変額保険は銀行融資と一体化して相続税対策とされる場合はもとより、それ自体としても公序良俗に違反する、②その勧誘行為等に照らして公序良俗に違反する、③Xは変額保険の運用のリスクが全くない...
《解 説》
一 木工機械の輸入販売業を営むXは、精密自動多軸かんな盤を機械販売業者であるAに所有権留保特約付きで販売し、Aはこれを木製品の加工販売等を営むYに売却した(実際にはXとAの間にはAの親会社である戊が介在しているが事案を単純化するため捨象する。)。YはXからAに対する売買に先だっ...
《解 説》
XはY医大付属病院眼科の患者が使用する眼内レンズを納入し、見返りに同病院が必要とする器械器具類を無償で提供していたが、平成三年六月に眼内レンズの納入を拒絶された。XはYに対し、①顕微鏡の売掛金九八八万円余の支払いを求めたほか、②眼内レンズの割戻金と器械器具類の代金と相殺する合意...
《解 説》
一 事案の概要
1 本件は、紙基材フェノール樹脂銅張積層板の製造販売業者である原告及び同業七社の合計八社が、八社が所属する団体の部会等において、昭和六二年初めころから銅張積層板の販売価格の下落防止、引上げ等についての意見交換を重ねてきたところ、同年六月一〇日、右団体の臨時部会...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和六三年七月二一日、テニスの試合に出場する生徒を自家用小型自動車に乗せて、松山市を出発し、高松市内のグランドまで送った後、帰宅するため右自動車を運転して、松山市方面に向って西進中、香川県坂出市付近の道路上で二度にわたって追突事故を起こし、路上に停車した。警察官が...
《解 説》
Xの父Aは、昭和三〇年一月五日、Yの兄Bに対し本件土地(東京都の二三区内にある)を建物所有の目的で期間を同五〇年一月末日までの約で賃貸した。Xは同三七年五月Aを相続し、他方、Bの借地権は同三八年一月にYに承継された。右賃貸借契約は、期間終了前の同四八年七月五日合意更新され、期間...
《解 説》
一 Xは、訴外A、B、C、Dと五名で本件土地を共有し、昭和六〇年一〇月、訴外E会社に対し、本件土地をゴルフ場用地として賃貸していたところ、訴外F会社が譲渡担保の実行として本件土地の賃借権を取得し、その後、Yが、F会社から本件土地の賃借権の譲渡を受けた。
そして、F会社は、平成...
《解 説》
一 Xは、平成三年六月一四日、同級生のAとともに、Yの設置する岩根中学校の校庭に遊びに入り、校舎裏側に同校が置いていた本件ゴールポストで遊んでいた際、右ゴールポストが倒れてXがその下敷きとなり、脳挫傷、頭蓋骨開放骨折等の傷害を負った。
そこで、Xは、右事故は本件ゴールポストの...
《解 説》
本件は、Y(国)の設置する病院で出生したXが、分娩を担当した医師の過失により右腕神経叢麻痺の後遺障害を受けたとして、Yに対し使用者責任に基づく損害賠償を求めた事案について、医師の過失が否定された事例である。
Aは、Xを出産するため本件病院に入院した。分娩に当たったB医師は、経...
《解 説》
一 本判決は、野村證券の株主が、平成二年三月に行われた野村證券の東京放送に対する損失補填につき、野村證券の当時の代表取締役一四名に対し、商法二六六条一項五号による取締役の会社に対する責任を追及した株主代表訴訟の控訴審判決である。本件については社会的関心も大きく、東京地裁が平成五...
《解 説》
一 本件は、原告らが、最高裁上告審の判決言渡期日において、傍聴券の抽選を受けようと最高裁周辺に並んでいた者に対し、警備をしていた警察官らが傍聴希望者を外壁に押しつけたり、裁判所職員が抽選番号の呼び上げをよく聞こえない音量で行ったり、配布された抽選番号の飛ばし読みを行ったり、ゼッ...
《解 説》
Xは、昭和四二年Yに入社し、同四五年から自宅購入資金として給料天引きにより積立てを始めたが、預金通帳等はYが管理し、これをYが借入金の担保や社屋建築資金に使用することがあった。Xは、積立金七八一万円の内から既に五三〇万円の払戻しを受けていたが、平成四年に退社してから、残額二五一...
《解 説》
XはM市長を辞職し、I県知事選に立候補した。投票の前日に配布されたY発行の日刊紙上に「清水建設」との横書の見出しの下に、白抜きで「大型受注相次ぎ失敗」と縦書きの大見出しがあり、その左に「88年、水戸芸術館も 窮状打破へ贈賄?」と縦書の中見出しが配置され、記事中には、清水建設が水...
《解 説》
一 原告は、平成元年三月、他人名義の旅券を用いてわが国に不法入国し、平成三年一〇月、勤務先のスナックの客の日本人男性と婚姻して、同年一二月、その男性との間に長女を出産し、平成四年四月、東京都足立区長に対し外国人登録上の居住地を同区内とする申請をした。そのころ、原告の不法入国の事...