《解 説》
一 本判決は、出入国管理及び難民認定法(以下、入管法という)に基づく退去強制手続によりタイ国へ強制送還された者の検察官に対する供述調書の証拠能力が争われた事案についての最高裁判決である。
本事案は、売春クラブの経営者AとマネージャーB及びCが共謀の上、タイ人女性一四名、日本人...
《解 説》
本件事案の概要は次のとおりである。
訴外A(女性、昭和三四年四月八日生)は、平成四年一月二二日午後五時五〇分ころ、分娩誘発目的のため、被告Y1医療法人が開設するB産婦人科医院に入院し、翌二三日午前一一時、女児を出産したが、その直後から大量の出血が始まったため、同日午前一一時二...
《解 説》
一 本判決は、いわゆる調布駅前傷害事件に関する最初の判決である。
本件の経緯は、これを要約すると、当時一八歳の少年であった被告人は、他の少年らと共謀の上、調布駅前において、五名の被害者らに対して共同で暴行を加え、うち一名に対して傷害を負わせたとして、東京家庭裁判所八王子支部に...
《解 説》
一 本件は、塗装業を営むXに対する青色申告承認取消処分の適否が問題とされた事案であり、その概要は次のとおりである。
調査官は、X宅に臨場すると和室に通された。Xは、和室内に帳簿類を用意していたが、調査官は、隣室にT(Xの友人であり、かつXが所属する任意団体員)がいるのを認めた...
《解 説》
一 Xは、昭和六三年三月より、京都市伏見区内において、「アーバンイン伏見」という営業表示でホテル営業を行っている者であるが、平成六年より、京都市伏見区内において、「アーバンホテル京都」なる営業表示でホテル営業を開始したYに対し、「アーバンイン伏見」と「アーバンホテル京都」という...
《解 説》
一 被相続人は、昭和二九年四月五日死亡し、相続人は、妻、二男の代襲相続人、三男、四男X、五男Yの五人であった。X、二男の代襲相続人及び三男の三名の相続人について、昭和二九年七月五日付で相続放棄申述書が千葉家庭裁判所八日市場支部に提出され、同年七月二〇日上記相続放棄申述書が受理さ...
《解 説》
一 Aは腹痛でY病院に入院し、胃潰瘍との診断を受け、手術をしないまま退院したが、再び腹部に痛みを感じて入院し、Y病院の非常勤医師であったXから虫垂炎の診断を受け、Xの執刀により手術を受けた。その後、Aは退院したが、ウイルス性肝炎に罹患していることが判明し、三たびY病院に入院した...
《解 説》
一 原告らは、クロロキン製剤を服用し、その副作用によりクロロキン網膜症に罹患した患者とその家族であり、国、製薬会社、医療機関を被告として、損害賠償請求訴訟を提起した。
一審判決(東京地判昭57・2・1本誌四五八号一八七頁)は、各被告の責任を認めたが、二審判決(東京高判昭63・...
《解 説》
一 本件は、いわゆる担保保存義務免除特約(民法五〇四条に規定する債権者の担保保存義務を法定代位権者が免除する旨の特約)の効力について、最高裁が新しい判断を示したものである。本件の主要な争点は、①本件事案において債権者が物上保証人に対して右特約の効力を主張することが信義則違反ない...
《解 説》
一 本件の事案の概要は以下のとおりである。
昭和六三年一一月二〇日、日本青年館大ホールで、ロック歌手のヒロコのコンサートが行われることになり、アメリカ人のベースギター奏者であるXが、右コンサートのバックバンドのメンバーとして来日した。Y1は、ヒロコの母が代表者を務める会社、Y...
《解 説》
Aは、平成三年九月に保険金社Yとの間で搭乗者傷害保険金額一名につき一〇〇〇万円などとする自動車総合保険契約を締結した。Aは、同四年四月、常磐自動車道上り線を走行中、ガードレールに衝突し、車両が横転したはずみに車両から放り出されて車線上に倒れていたところ、二台の後続車に相次いで轢...
《解 説》
一 本件は、受取人の保管中に盗難に遭った手形を、第四裏書人である前者から取得した原告が、その取得にあたり取引上必要な注意を欠いたとして重過失があるとされ、善意取得を否定された事例である。
二 本件の事実関係は以下のとおりである。
本件手形は優良企業振出しにかかる額面一〇〇〇...
《解 説》
本件は、額面一億円の約束手形の所持人であるXが、同手形の振出人であるY1及び同手形の第一裏書人であるY2に対し、本件手形金の内金三二三二万円の支払を求めた事案である。Y1及びY2は、本件手形の振出及び第一裏書はいずれも偽造されたものであると主張した。すなわち、本件手形は、平成四...
《解 説》
本件は、信号機により交通整理が行われている交差点における自動車(普通乗用車)と(足踏式)自転車との直進車同士の出会い頭の衝突による自転車運転者の死亡事故における過失相殺の割合が問題となった事案である。
事故状況は、本判決の認定によると、被害者が友人とともに三人で連れ立って夜間...
《解 説》
一 Y1及びY2の各取締役を兼ねるAは、Y1名義の約束手形を振り出し、これにY2名義の裏書をして第三者に交付し、その後これをXが取得するに至った。Xは、Yらに対し、主位的に手形金請求をするとともに、仮に、Aに本件手形の振出及び裏書の代理権がなかったとしても、AはYらの当時の代表...
《解 説》
一 本件は、転根抵当権の実行により、一括競売に付された土地、建物を競落した原告が、被告(国)に対し、真実は右建物が右土地とは異なる土地上に存在しているのに、建物登記簿、現況調査報告書等の誤った記載から、右建物が右土地上に存在すると信じ、競売により敷地利用権がない右建物を買い受け...