《解 説》
一 本件は、虫垂炎治療の首尾が争われた事例である。
ペルー人であるAは、あるペルー企業の極東営業所長として東京に駐在していたが、平成元年四月二四日頃から腹部に不快感を感じ、同月二七日から激しい腹痛に襲われるようになったので、同日午前中にYが運営する病院を受診した。応対した医師...
《解 説》
本件は、暴力団事務所の隣にある飲食店の建て替え工事にからみ、かつて暴力団の顧問弁護士を標榜していた被告人が、二名の幹部組員らと共謀して、組長のために、組の組織、威力等を背景にして、右工事の施主及び施工業者の各代表者から工事に伴う近隣対策費名下に高額の物品を喝取しようとしたが未遂...
《解 説》
本判決は、特別公務員暴行陵虐致死被告事件につき無罪とした一審判決に対する控訴審の判決である(結論は控訴棄却。)。
本件公訴事実の概要は、警察官である被告人が、甲を公務執行妨害等の現行犯人として逮捕する職務を行うに当たり、甲に対し所携のけん銃を発射し、よってその上腕部を貫通し、...
《解 説》
一 代位弁済した保証人が主債務者に対して取得する原債権と求償権とは、その発生原因となる要件事実を異にし、性質も額も異なる別個の権利であることは、本来当然のことである筈である。ところが、かつては、接木説と呼ばれる考え方があった。それは、代位弁済によって原債権は消滅し、求償権が消滅...
《解 説》
一 本件は、開発行為に関係がある公共施設(以下「関係公共施設」という。)の管理者が都市計画法(以下「法」という。)三二条所定の同意を拒否する行為の処分性が争われた事案であり、第一審判決は右処分性を否定し、原判決はこれを肯定していたところ、本判決は原判決を破棄し、第一審判決を維持...
《解 説》
一 本件は、いわゆる在日韓国人である原告が代表者を務める会社とゴルフ場を経営する被告との間のゴルフクラブ法人会員契約に関し、前訴の裁判上の和解で、原告がプレーイング・メンバーであることを確認したが、その後、原告を登録者に変更するように申請したところ、被告は、原告が日本国籍を有し...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和一七年五月生れの女性であるが、平成元年九月三〇日、右乳房外側上方にしこりを感じたので、Yの開業する産婦人科医院で受診したところ、腫瘤が認められたが、乳癌かどうかの確定診断ができなかったので、生理後に再度受診することにした。
Aは、生理後の一〇月二一日、Yのも...
《解 説》
Xは不動産の販売、斡旋等を業とする会社であるが、Y1の発行する日刊紙に暴力団関連企業であるとする記事を掲載されたため、Y1、編集局長Y2及び記事を執筆した記者Y3を相手に五億円の損害(逸失利益及び信用損害)の賠償とY1に対し謝罪広告の掲載を求めて出訴した。これに対しYらは、記事...
《解 説》
Xは六七歳の男性であるが、平成二年六月、Y1銀行から七〇〇〇万円の融資を受け、長男Aを被保険者として基本保険金額一億一五〇〇万円、保険料三〇七〇万円余及び基本保険金額一億一〇〇〇万円、保険料二九三七万円余の二口の変額保険契約を締結した。Xは同三年六月、これらを解約し、解約返戻金...
《解 説》
六三歳の男子Xは、平成二年七月、Y3銀行(担当者Y4)から九〇〇〇万円を借り受け、Y1生命保険会社(外務員Y2)との間で基本保険金額一億四二三二万円余、保険料八〇〇〇万円の変額保険契約を締結したが、同四年三月、変額保険契約を解約し、解約返戻金七三七六万円余を受領した。Xは、Y2...
《解 説》
本件は、原告が大阪市立十三中学校三年(二学期)に在学中、休憩時間内に、校内で、同学年の被告Aからいわれのない暴行を受け、外傷性脾臓破裂等の傷害を負わされた事件の損害賠償請求事件である。原告は、被告Aに対しては不法行為、被告大阪市に対しては国家賠償法一条(校長以下、十三中学校教師...
《解 説》
主婦であるYは、昭和六三年八月以降、X証券会社との間で株の信用取引を始めた。Yは委託保証金を有価証券で代用していたので、委託保証金の残額(損失及び顧客の負担する額を控除したもの)の約定価額に占める割合(預託率)が変動し、平成二年八月には証券取引所で定められた維持率二〇パーセント...
《解 説》
A(死亡当時五四歳)は、昭和六二年六月二七日、嘔吐、腹部膨満のため救急車でY病院に入院した。Y医師らは、当初、ごく軽症のS状結腸狭窄を疑っていたが、同年七月八日、Aが訴外胃腸病院で受けた内視鏡検査及び病理組織検査の結果からS状結腸癌であると知ったため、同月一一日、S状結腸癌切除...
《解 説》
一 本件は、平成五年六月二七日に施行された東京都議会議員選挙(以下「本件選挙という。)に関し提起された、議員定数配分規定の違法を理由する公職選挙法(以下「公選法」という。)二〇三条に基づく選挙無効訴訟(いわゆる定数訴訟)である。
本件選挙当時、東京都議会議員の定数並びに選挙区...
《解 説》
一 恩給権者である元公務員が死亡した際、同人と内縁関係にあり生計を共にしていた女性が、恩給法七二条一項にいう「遺族」に当たるとして、同法七三条に基づき扶助料を請求したところ、被告岡山県知事から請求を却下されたため、右却下処分の取消しを求めた事案である。被告は、右元公務員には別に...