《解 説》
一 Xは、Yに対し、給料債権を内容とする債務名義に基づいて、不動産の強制競売を申立て、その際の予納金四〇万円について、訴訟上の救助を申立てたところ、本決定によれば、原決定は、競売対象である不動産は建物の六分の一の共有持分であるが、建物の共有持分の市場性は極めて低く、買受人が出現...
一 生活保護の実施機関である政令指定都市の市長が生活保護法49条により指定を受けた医療機関の診療報酬請求について診療報酬の審査及び支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金に委託している場合において、市長が社会保険診療報酬支払基金の審査意見に基づいて医療機関の診療報酬額を決定する行為が行政処分にあたるか (積極)
二 社会保険診療報酬支払基金が生活保護法49条により指定を受けた医療機関の診療報酬請求の審査をする場合において、審査資料を医療機関から提出された診療報酬請求書類に限定することは違法か
三 生活保護法49条により指定を受けた医療機関が生活保護受給者に対して実施した診療について、医療機関からの診療報酬請求に対しその支払の一部を拒否した市長の同法53条1項の決定に違法があるとして、その一部が取り消された事例
(京都地裁平7・2・3判決)
《解 説》
一 本件は、過去に巨額の資金を使ったバカラ賭博の経験(但し、賭博による負債と今回の破産とは直接関係しない。)を有するXが、破産事件の審問において、その事実を秘匿し、その代わりに虚偽の飲酒遊興の事実を申告したうえ、破産宣告(同時廃止)の決定を受けたものの、破産裁判所から免責が困難...
《解 説》
一 事案
本件は、全国の税関に勤務する職員により組織されている労働組合(以下「全税関労組」という。)の大阪支部組合員(以下「支部組合員」という。)らが、任命権者である大阪税関長から、支部組合員であることを理由に、昇任、昇格及び特別昇給において不当な差別を受け、経済的・精神的損...
《解 説》
一 Yは、印刷業を営む合資会社であり、いわゆる同族会社である。Xは、Yの当初の無限責任社員Aの二女であり、昭和三三年一〇月から事務員としてYに勤務し、昭和五五年一一月から総務部長兼経理部長となり、昭和五六年三月ころからは「専務取締役」の名称を用いて事実上の社長として振る舞ってい...
《解 説》
一 本判決は、起訴及び判決時に現職であった大阪府知事の後援会(政治資金規正法六条により自治大臣に届出られた政治団体)の事務局長兼会計責任者である被告人が、他の幹部らと共謀のうえ、同法一二条一項の規定により自治大臣に提出する同後援会の平成四年の収支報告書を作成するにあたり、活動実...
《解 説》
XはYの従業員であったが、Yと組合の間で締結された定年の年齢及び退職金支給率に関しXに不利な内容の労働協約はXの労働協約の内容に影響を及ぼさないとして、①労働契約上の地位の存在確認、②一定額の退職金を受ける権利の確認を求める訴えを提起した。これに対しYはXに対し、社宅の明渡し及...
《解 説》
一 本件は、債務者・所有者以外の第三者に対する売却のための保全処分の内容の相当性が問題となった事例である。
事案の概要は本決定の理由中にまとめられているが、おおまかにいえば、更地を抵当権の目的に供していた物上保証人が、債務者の銀行取引停止後、執行妨害目的を持った第三者(抗告人...
《解 説》
Yが雇用していたA船長の操船するタンカー(全長四〇メートル、幅八・五メートル、一四一総トン。他社所有)は荒川を遡上中、Xが設置した鉄道用橋梁の第一五番目の橋脚に衝突し、そのため橋梁が衝突地点を中心に約四〇メートルにわたり上流方向に最大約五〇センチメートル湾曲し、同橋梁を通る私鉄...
《解 説》
Yは、その発行する雑誌「暮しの手帖」の「安全でおいしい水は取り戻せるか」と題する飲料水に関する特集記事において、「浄水器は役に立つか」との題名で、数種の浄水器の性能を比較する記事を掲載したが、Xは、その記事が、記事に名を借りて特定の浄水器を宣伝し、またXの製造・販売する浄水器(...
《解 説》
一 訴外A(昭和二年四月生)は、昭和五六年七月ころから心房細動、不整脈等の症状が認められるようになり、昭和六二年八月の人間ドックによる精密検査によって継続的な治療を受ける必要がある旨指示されたので、同年九月から静岡病院に入院して治療を受けることになった。
そして、Aは、同年一...
《解 説》
一 本件は、うつ状態のため強い自殺念慮を有した亡きAがYの運営する本件病院に入院した後、自殺防止措置として施された抑制帯のひもを利用して縊死自殺を遂げたという事案において、亡きAの相続人であるXらが、亡きAに強い自殺念慮が存したことから、Yにおいて自殺予防のために厳格周到な監視...
《解 説》
Yは日本体育大学を設置する学校法人であるが、株式会社Xとの間で「日本体育大学食堂業務委託請負契約」を締結した。右契約は、YがXに大学食堂業務を行うに必要な施設、物件等を無償で貸与すること、XはYの承諾なしに大学食堂業務に関するいかなる部分をも第三者に貸与若しくは利用させることが...