《解 説》
本件は、拘置所に勾留されている刑事被告人である原告が、拘置所の看守に連れ添われ、外部の病院で眼科の治療を受けた際、両手錠・腰縄がむき出しのまま病院の廊下や診察室を歩かされたとして、国家賠償法に基づく損害賠償(慰藉料)を求めた事案である。これに対し、被告は、両手錠が原告の上着の下...
《解 説》
Xはノンバンクであり、Y1は大手証券会社であるところ、Xの松山支店長Aは、Y1の松山支店事務次長Bとの間で証券購入資金についての提携を口頭で合意した。Xの同支店は右合意に基づき、顧客一八名に株式購入資金を融資し、顧客から買い付けた株式を譲渡担保にとっていた(担保差入証、株券保護...
《解 説》
一 被告A運転の自動車と被告B運転の自動車が交差点内で衝突し、被告B車の助手席に同乗していた原告らの子が死亡したので、相続人である原告らが被告らに対して損害賠償を請求した事案である。被告Bの締結した自家用自動車保険契約中の搭乗者傷害保険に基づく死亡保険金一〇〇〇万円が保険会社か...
《解 説》
1 事案の概要 申立人甲野春子(以下生来の氏を原氏という)は、昭和三七年一月生まれであるが、主に岐阜県の東部の郡部で、両親のもとに約二一年余の社会生活を送った後、昭和五八年一一月に乙野夏男と婚姻し、夫の氏乙野を名乗る旨婚姻届けを出した。そして約六年半後の平成二年四月に協議離婚し...
《解 説》
一 空気塞栓(空気栓塞ともいう。)の事例二件を紹介する。
まず、①事件の概要は以下の通りである。
昭和六二年春頃、当時六二才であったAは、めまい、ふらつき、吐き気等の症状のためある病院を受診、入院し、小脳部に腫瘍があると診断されたので、三月二六日にその摘出手術を受けた。とこ...
《解 説》
一 X1は出生時から口唇裂及び口蓋裂の先天性障害があり、体重が六キログラムを超えるのを待って手術することになり、生後六か月でY病院の形成外科において手術を受け、術後管理のためY病院の小児科に入院していたが、入院の五日後に、うつ伏せで顔の左下半分を下にした状態で呼吸停止に陥ってい...
《解 説》
一 本件は、婦人用装身具等の輸入販売を営むXが、通信販売事業を営む訴外甲社との間で新規に取引を開始して、短期間に大量の商品を納入したが、間もなく甲社が倒産し売掛金を回収できなかったことから、甲社の取締役であったY1及びY2に対し、主位的に共同不法行為責任(詐欺)を、予備的に商法...
《解 説》
一 事案の概要
本件は、事案に現れた取引内容が割賦販売法における個品割賦購入あっせん取引(同法二条三項二号)に準ずる扱いを受けるかが争点となったものであり、これが肯定されるとすれば、同法上における「抗弁の接続」が問題となる事例である(同法三〇条の四第一項参照)。
そこで本件...
《解 説》
一 Xは、Yに対し、給料債権を内容とする債務名義に基づいて、不動産の強制競売を申立て、その際の予納金四〇万円について、訴訟上の救助を申立てたところ、本決定によれば、原決定は、競売対象である不動産は建物の六分の一の共有持分であるが、建物の共有持分の市場性は極めて低く、買受人が出現...
一 生活保護の実施機関である政令指定都市の市長が生活保護法49条により指定を受けた医療機関の診療報酬請求について診療報酬の審査及び支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金に委託している場合において、市長が社会保険診療報酬支払基金の審査意見に基づいて医療機関の診療報酬額を決定する行為が行政処分にあたるか (積極)
二 社会保険診療報酬支払基金が生活保護法49条により指定を受けた医療機関の診療報酬請求の審査をする場合において、審査資料を医療機関から提出された診療報酬請求書類に限定することは違法か
三 生活保護法49条により指定を受けた医療機関が生活保護受給者に対して実施した診療について、医療機関からの診療報酬請求に対しその支払の一部を拒否した市長の同法53条1項の決定に違法があるとして、その一部が取り消された事例
(京都地裁平7・2・3判決)
《解 説》
一 本件は、過去に巨額の資金を使ったバカラ賭博の経験(但し、賭博による負債と今回の破産とは直接関係しない。)を有するXが、破産事件の審問において、その事実を秘匿し、その代わりに虚偽の飲酒遊興の事実を申告したうえ、破産宣告(同時廃止)の決定を受けたものの、破産裁判所から免責が困難...
《解 説》
一 事案
本件は、全国の税関に勤務する職員により組織されている労働組合(以下「全税関労組」という。)の大阪支部組合員(以下「支部組合員」という。)らが、任命権者である大阪税関長から、支部組合員であることを理由に、昇任、昇格及び特別昇給において不当な差別を受け、経済的・精神的損...
《解 説》
一 Yは、印刷業を営む合資会社であり、いわゆる同族会社である。Xは、Yの当初の無限責任社員Aの二女であり、昭和三三年一〇月から事務員としてYに勤務し、昭和五五年一一月から総務部長兼経理部長となり、昭和五六年三月ころからは「専務取締役」の名称を用いて事実上の社長として振る舞ってい...
《解 説》
一 本判決は、起訴及び判決時に現職であった大阪府知事の後援会(政治資金規正法六条により自治大臣に届出られた政治団体)の事務局長兼会計責任者である被告人が、他の幹部らと共謀のうえ、同法一二条一項の規定により自治大臣に提出する同後援会の平成四年の収支報告書を作成するにあたり、活動実...
《解 説》
XはYの従業員であったが、Yと組合の間で締結された定年の年齢及び退職金支給率に関しXに不利な内容の労働協約はXの労働協約の内容に影響を及ぼさないとして、①労働契約上の地位の存在確認、②一定額の退職金を受ける権利の確認を求める訴えを提起した。これに対しYはXに対し、社宅の明渡し及...