《解 説》
一 昭和五二年ころ来日した反訴被告(カナダ人)は、昭和五六年五月、反訴原告(日本人)と日本法に従って婚姻の届出をし、日本において婚姻生活を始めた。昭和五九年五月、反訴原告と反訴被告は長男を連れてカナダに渡ったが、平成元年ころから両者の夫婦仲は次第に亀裂を生じ、反訴被告と反訴原告...
《解 説》
一 本件の事案の概要は次の通りである。
Xら二名(夫婦)の土地につき、駐留米軍用地として使用するため、「日本国とアメリカ合衆図との間の相互協力及び安全保障条約六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用に関する特別措置法」に...
《解 説》
1 本件は、脊椎手術によって下半身麻痺になった者に関する手術の手技や、医師の説明義務等が問題となった事例であって、原審は仙台地判昭61・4・10本誌六一六号一二二頁である。
X1は、三五才であった昭和四九年当時、下肢の異常でYの国立仙台病院を受診したところ、脊髄腫瘍と診断され...
《解 説》
本判決の認定したところによると、事実関係はおよそ次のとおりである。
すなわち、Yは昭和二五年ころ以降、Aより本件建物(但し、付属建物部分)を賃借していたところ、Aが昭和六二年一〇月死亡し、相続人が不明であったため、賃料の弁済供託をした。Xは平成三年二月、家庭裁判所からAの特別...
《解 説》
一 Xは、従前から、Y1(証券会社)との間で外国株式を含む株式、転換社債、投資信託の証券取引を行っていたところ、Y1の外務員Y2の勧めにより行った本件ワラント取引により九九五万円の売却損を出した。Xは、Y2の①説明義務違反、②不当勧誘行為、③詐欺行為という不法行為により右損害を...
《解 説》
平成二年一一月、X・Y間においてXがYに対し中国烟台産の河砂毎月二万ないし五万立方メートルを継続的に売るとの基本契約が締結され、そのころY・A間において右砂をYからAに転売するとの契約が締結された。右各契約に基づき、Xは同三年二月、烟台港においてクレーン設備を有しない大型貨物船...
《解 説》
XはY(Xの長女の夫)の銀行借入れの際連帯保証人となったが、Yが期限の利益を失ったため、Yに事前求償権の行使として六〇〇〇万円の支払を求めた(右請求原因事実は争いがない)。これに対しYは、Xのため立替金債権九三六万円余を有し、また、Xとの間でマンション建築に関するプロジェクト契...
《解 説》
一1 本件土地(本判決別紙略図の斜線部分)は、Y(上告人)所有地のうち、西側の公道(同図の西側道路)と接する幅約〇・九メートルの土地である。
X(被上告人)らは、西側道路の両側の土地所有者であり、西側道路を北側の公道へ出るための通路として使用している。
2 Yは、昭和四三年...
《解 説》
一 Xらは、一部事務組合(地方自治法二八四条一項)である名古屋競輪組合がその議員に対して費用弁償をしたのが違法であるとして、Yら(同組合管理者の職にあった者及び議員個人)に対し、同組合に代位して損害賠償を請求する住民訴訟(同法二九二条において準用する二四二条の二第一項四号の請求...
《解 説》
一 本件は、公正証書遺言がされた場合において、遺言公正証書の正本の保管者がこれを公表しなかった行為につき、民法八九一条五号にいう遺言書の隠匿に当たるか否かが問題となったものである。相続欠格事由に関する裁判例は乏しく、実務上参考になる最高裁判例である。
本件事案の概要は、以下の...
《解 説》
民事執行法六三条は競売物件の最低売却価額で、手続費用及び差押債権者の債権に優先する債権を弁済して剰余を生ずる見込みのないときは、執行裁判所において、差押債権者に対し、いわゆる無剰余通知をするものとし、この通知を受けた差押債権者が、通知を受けた日から一週間以内に、剰余を生ずる見込...
《解 説》
一 本件は、根抵当権に基づく土地の競売手続において、債務者兼土地所有者から建物建築を請け負って土地上に建築工事を開始した建築業者が敷地について商事留置権(商法五二一条)を主張し、執行裁判所が、その成立を前提に、買受人に引き受けになる留置権の金額が最低売却価格を上回り剰余を生じる...
《解 説》
XらはK市(市長Y1)の住民であるが、K市が第三セクターであるY2社から球技場等の体育施設を代金六億五四〇〇万円で買い受ける契約を締結したところ、右契約の対象物である球技場等及び造成地(土地の上層)は第三者(B財産区及びY2)所有土地の定着物ないし構成部分であって、土地と別個に...
《解 説》
一 本件は、いわゆる榎井村事件再審無罪判決確定後の刑事補償請求事件の上告審決定である。本件は、再審により、確定判決で有罪とされた罪の一部が無罪となり、その余の罪について言い渡された執行猶予付き本刑に裁定算入及び法定通算された未決勾留日数が刑事補償の対象となるか否かが問題となった...
地上建物の共有者の 1人にすぎない土地共有者の債務を担保するため土地共有者の全員が各持分に共同して抵当権を設定した場合に法定地上権が成立しないとされた事例