《解 説》
本件は、債務者及び所有者が売却許可決定に対して提起した執行抗告事件であるが、争点は、競売土地の評価が低きにすぎ、これに基づく最低売却価額の決定に重大な誤りがあるといえるか、という点にある。
評価人は、本件土地の属する地域は中規模の典型的な農家集落であり、その最有効利用も農家敷...
《解 説》
本件二件の判決は、いわゆるワラント取引により顧客に生じた損失につき、違法な投資勧誘があったとして証券会社に対する損害賠償請求を認容した事例である。ワラント取引による損害賠償請求事件の認容判決は、これまで公にされたことがなかったので、東京地裁と大阪地裁で時を同じくして言い渡された...
《解 説》
本件は、新聞でも報道された蒲田駅前ビルの競売事件である。
バブル崩壊後、不動産競売事件において、土地所有者からビル建築を請け負った業者が、未払請負代金を被担保債権とする留置権を主張する例が少なくない。完成した建物に民事・商事留置権が成立することは比較的問題はないが、建物建築途...
《解 説》
本件は、飲酒酩酊した被告人が、自己の鬱屈した気持ちを晴らすために警察官不在の派出所に放火したという事案であり、検察官が、右派出所への放火行為を現住建造物等放火罪として起訴したのに対し、被告人側は放火の故意自体を争って無罪を主張した。
本判決は、被告人の放火の故意を肯定したうえ...
《解 説》
一 本判決は、昭和五三年八月一八日生まれの極小未熟児(在胎週数二九週、生下時体重一一四〇グラム)が未熟児網膜症(本症)に罹患して両眼を失明したため、右未熟児X1及びその両親X2、X3から出生直後に入院した国立病院Yの担当医に義務違反があったとする請求の一部を認容した広島地判平1...
《解 説》
一 Yは、建物の建築請負、不動産の仲介・管理などを目的とする株式会社で、A女は、Yの紹介でその管理するアパートに入居したところ、Yの従業員(営業課長)であったBは、Yの事務所で管理しているA方居室の鍵を持ち出して合鍵を作り、平成二年四月三〇日の未明、右の合鍵を使用してA方居室に...
《解 説》
本件は、Yの著作した「逆転」と題するノンフィクション作品でXの実名が使用され、その素材となった刑事事件(但し、その一部)につき、Xが有罪の実刑判決を受けて服役したという、その前科にかかわる事実が公表される結果となったことから、Xが、プライバシーの侵害を理由に、Yに対し、慰謝料三...
《解 説》
一 X会社の従業員Aは、会社の大型トラックを運転して京都市道久世六六号線を北に向って走行中、本件事故現場において道路上に約一・一メートルはみ出している新幹線軌道(市道東側をこれに沿って並行に設置されている。)橋桁にトラックの荷台前上部を衝突させてトラックは破損した。そこでX会社...
《解 説》
一 本件事案の概要
国民金融公庫が恩給受給者甲に対して、「国民金融公庫が行う恩給担保金融に関する法律」(恩給担保法)三条一項に基づき、恩給を担保に貸付けをし、同条二項に従って、国からの恩給給与金の払渡しを受けて貸付金の弁済に充当したところ、後になって甲に対する恩給裁定が取り消...
《解 説》
本件は、未成熟子がいる有責配偶者からの離婚請求についての一つの事例判決である。
昭和六二年九月二日の大法廷判決(本誌六四二号七三頁)は「有責配偶者からされた離婚請求であっても、夫婦がその年齢及び同居期間と対比して相当の長期間別居し、その間に未成熟子がいない場合には、相手方配偶...
《解 説》
本件は、Xが、その夫であるY1と別居する際、生後三か月の長女のZを連れて出たため、その七日後に、Y1がXの下からZを連れ戻し、以後、Y1の両親であるY2・Y3宅で監護養育するようになったため、Xが、人身保護請求として、Yらに対し、Zの引渡しを求めた事案で、従来の人身保護請求によ...
《解 説》
一 本件は、月刊雑誌「北方ジャーナル」平成六年二月号に、「浜垣前市長&玉川組『恵庭利権漁り』夢の跡」と題して、土木建築請負業者と北海道恵庭前市長との間の癒着疑惑があるとする内容の記事が掲載・販売されたことから、右土木建築請負業者である債権者が、右記事は真実とは異なり、ことさらに...
《解 説》
Xは、昭和五一年から六期連続で衆議院議員を務め、平成三年一一月から同四年一二月まで郵政大臣の地位にあった者である。Yは雑誌「週刊宝石」を発行する会社であるが、平成四年一〇月二二日号の「週刊宝石」において、その表紙に「地検特捜部が注目するW郵政大臣の“2億円”の土地」という大見出...
《解 説》
一 事案の概要
大阪府の住民であるXは、大阪府公文書公開等条例(昭和五九年大阪府条例第二号。以下「本件条例」という。)に基づき、大阪府水道部が昭和五九年一二月に支出した会議接待費の請求書等の関連文書の公開(閲覧及び写しの交付)を請求したところ、本件条例の実施機関である大阪府水...
《解 説》
一 本件は、甲市立保育園に勤務する保母であるXに発症した「頚肩腕症候群・背腰痛症候群」が、地方公務員法二六条にいう「公務上の疾病」に該当するかが争われた事例である。原審である大阪地判平3・3・28本誌七九七号二〇七頁は、公務上の災害とは認められないとして、Xからの公務外認定処分...