《解 説》
本件は、Yの著作した「逆転」と題するノンフィクション作品でXの実名が使用され、その素材となった刑事事件(但し、その一部)につき、Xが有罪の実刑判決を受けて服役したという、その前科にかかわる事実が公表される結果となったことから、Xが、プライバシーの侵害を理由に、Yに対し、慰謝料三...
《解 説》
一 X会社の従業員Aは、会社の大型トラックを運転して京都市道久世六六号線を北に向って走行中、本件事故現場において道路上に約一・一メートルはみ出している新幹線軌道(市道東側をこれに沿って並行に設置されている。)橋桁にトラックの荷台前上部を衝突させてトラックは破損した。そこでX会社...
《解 説》
一 本件事案の概要
国民金融公庫が恩給受給者甲に対して、「国民金融公庫が行う恩給担保金融に関する法律」(恩給担保法)三条一項に基づき、恩給を担保に貸付けをし、同条二項に従って、国からの恩給給与金の払渡しを受けて貸付金の弁済に充当したところ、後になって甲に対する恩給裁定が取り消...
《解 説》
本件は、未成熟子がいる有責配偶者からの離婚請求についての一つの事例判決である。
昭和六二年九月二日の大法廷判決(本誌六四二号七三頁)は「有責配偶者からされた離婚請求であっても、夫婦がその年齢及び同居期間と対比して相当の長期間別居し、その間に未成熟子がいない場合には、相手方配偶...
《解 説》
本件は、Xが、その夫であるY1と別居する際、生後三か月の長女のZを連れて出たため、その七日後に、Y1がXの下からZを連れ戻し、以後、Y1の両親であるY2・Y3宅で監護養育するようになったため、Xが、人身保護請求として、Yらに対し、Zの引渡しを求めた事案で、従来の人身保護請求によ...
《解 説》
一 本件は、月刊雑誌「北方ジャーナル」平成六年二月号に、「浜垣前市長&玉川組『恵庭利権漁り』夢の跡」と題して、土木建築請負業者と北海道恵庭前市長との間の癒着疑惑があるとする内容の記事が掲載・販売されたことから、右土木建築請負業者である債権者が、右記事は真実とは異なり、ことさらに...
《解 説》
Xは、昭和五一年から六期連続で衆議院議員を務め、平成三年一一月から同四年一二月まで郵政大臣の地位にあった者である。Yは雑誌「週刊宝石」を発行する会社であるが、平成四年一〇月二二日号の「週刊宝石」において、その表紙に「地検特捜部が注目するW郵政大臣の“2億円”の土地」という大見出...
《解 説》
一 事案の概要
大阪府の住民であるXは、大阪府公文書公開等条例(昭和五九年大阪府条例第二号。以下「本件条例」という。)に基づき、大阪府水道部が昭和五九年一二月に支出した会議接待費の請求書等の関連文書の公開(閲覧及び写しの交付)を請求したところ、本件条例の実施機関である大阪府水...
《解 説》
一 本件は、甲市立保育園に勤務する保母であるXに発症した「頚肩腕症候群・背腰痛症候群」が、地方公務員法二六条にいう「公務上の疾病」に該当するかが争われた事例である。原審である大阪地判平3・3・28本誌七九七号二〇七頁は、公務上の災害とは認められないとして、Xからの公務外認定処分...
《解 説》
本判決は、「離婚請求訴訟について請求の放棄を許さない旨の法令の規定がない上、婚姻を維持する方向での当事者による権利の処分を禁じるべき格別の必要性もない」ことを理由に、離婚請求訴訟において請求を放棄することは許される旨を判示した。
本件一審判決は、原告の離婚請求を認容し、被告...
《解 説》
一 本件は、勾留中の被告人に対し公判期日外の証人尋問に立ち会う機会を与えなかったことが刑訴法一五七条一項違反に当たるとされたものである。
原審において、弁護人は、検察官が公判期日外の証人尋問を請求した段階ではこれに異議がない旨述べていたが、裁判所がその旨決定したところこれに対...
《解 説》
一 X(市川税務署)は、Yの申立てにかかる不動産競売事件について、租税債権徴収のため国税徴収法八二条一項に基づき交付要求をした。右租税債権の本税額は、納期限においては一〇四三万八〇〇円であったものが、国税通則法の規定に基づく還付金の充当により順次減少していたことから、Xは本税欄...
《解 説》
一 Xは昭和六二年一〇月、激しい頭痛に襲われ、Y市の運営する病院で診察を受けたところ、小脳付近に脳動静脈奇形(AVM)が発見され、大腿動脈を経由するバルーンカテーテルを用いた塞栓術を受けることとなった。Xは同年一二月、右手術を受けたが、その最中に昏睡状態となり、後に意識を回復し...
《解 説》
一 本件は、いわゆる証券担保金融において貸金元本の弁済期が争われた事案である。証券を担保とする金融の形態には様々なものがあり、証券金融会社(証券取引法二条一七項、一五六条の二以下参照)が証券会社に対して融資するような特別の場合をも含むが、ここにいわゆる証券担保金融ないし証券金融...
《解 説》
本判決は、区分所有建物である本件建物の管理規約によって、管理者としての職務に関する訴訟の当事者となる(区分所有法二六条四項)旨が定められている本件建物の管理者が、共用部分である本件建物の耐力壁に、縦〇・五メートル、横一メートルの開口部を設けた区分所有者と、同人からの賃借人を被告...