《解 説》
X男とY女は昭和五八年一〇月に結婚してXの両親と同居し、長女と長男をもうけた。Yは昭和六三年夏ころエホバの証人の信者との聖書研究会を始め、平成二年夏ころから集会に参加してその信者となった。Yは同三年四月、Xの父Aから行く先を聞かれて信仰を家族に知られるようになり、それ以来、Yと...
《解 説》
一 本件は、時価に比して低額の譲渡価額で代表者個人に株式が譲渡された場合に、譲渡価額と時価との差額に相当する金額が法人税法二二条二項にいう無償による資産の譲渡に係る収益に該当するか否かが争われた事案である。本判決は、この点に関し、資産譲渡に係る法人税は、資産が有償譲渡された場合...
《解 説》
一 本件は、薬品フェノバールの副作用によって患者が失明状態になったことにつき、右投与に関する担当医師の判断が争われた事例である。
昭和六一年二月、当時一八才で自衛隊員であったXは、精神障害で、Yら先代A医師及びその妻であるY1医師が運営する病院を受診し、同月一二日から四月二一...
《解 説》
Xは弁護士であり、マンションの管理組合の訴訟代理人としてマンション内で犬を飼育している者に対し、犬の飼育禁止と損害賠償を求める訴え(前訴)を提起した。Xは右訴えにおいてA裁判官から管理組合には当事者適格がないから、管理者を当事者とするように数回にわたり執拗に勧告されたり(建物の...
《解 説》
福岡地裁は、まず競売不動産の所有者に対し、売却前の保全処分として占有移転禁止命令及び執行官によるその公示命令を発し、執行官によるその執行もなされたが、所有者は競売不動産の管理を暴力団関係者の手に委ねて自らは放擲してしまい、その暴力団関係者は右保全処分執行後にこれを無視して、次々...
《解 説》
一 本件は、当初自己資金で株式運用をしていた被告人が、やがて口コミなどにより、他人の出資金を預かって、これを元手に運用をするようになり、投機的要素の強い仕手株にも手を染めるなどして多額かつ危険な取引を続けていくうち、いわゆるバブル経済の崩壊の影響もあって大損を出すところとなり、...
《解 説》
Aは昭和四三年二月、子のYに不動産五筆を贈与し、同六三年四月、死亡した。Yの兄弟のXら五名は、同年一〇月、遺留分減殺の調停を申し立てたが、不調となったので、Yに対し、不動産六筆について各一二分の一の共有持分権を有することの確認と更正登記手続を求めた。Yは、内一筆についてAが生前...
《解 説》
本件は、豊田商事株式会社(以下「豊田商事」という。)との間で金地金の売買及び預託契約「純金ファミリー契約」を締結していたXら五七名(本判決分は三〇名)が、同商事福岡支店の元支店長及び元営業担当従業員Yら二〇名(本判決分は一五名)に対し、詐欺的商法であることを知りながら同契約の勧...
《解 説》
本件は、使用者であるY会社が現場監督業務に従事していた従業員Xに対し、Xの病気(バセドウ病)を理由に自宅において治療することの業務命令を発し、この間(約四か月間)の賃金を支払わなかったので、XがY会社に対し、右業務命令はその必要性なくして、または、不当労働行為として発せられたも...
《解 説》
一 本件は、覚せい剤の密売グループのうちA、B、Cの三名が、特定の覚せい剤仕入れ行為に関し、共謀による覚せい剤の営利目的所持(予備的に譲受)で起訴され、うちA、Bの二名については、営利目的譲受罪の有罪判決が確定したが、Cのみが共謀の事実を争い、Cについての共謀共同正犯の成否が問...
《解 説》
一 道路側帯から約八〇センチメートルはみ出して駐車中の大型貨物自動車の後部に被害者運転の原動機付自転車が追突し、被害者(当時六四歳)は即死した。Xらは右自動車の保有者と運転者、Yらは被害者の遺族(妻子)。Xらは、本件損害はYらが自動車損害賠償損害保険から受領した一四七五万七四四...
《解 説》
一 被上告人(Y)は、兵庫県龍野市ほか四町で設立された一部事務組合(地自二八四条)の管理者であるが、上告人(X)は、昭和六一年四月八日、Yに対し、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)七条一項の一般廃棄物処理業の許可及び浄化槽法三五条一項の浄化槽清掃業...
《解 説》
本件は、公判においても争いのないまま自然確定した事例であり、事実認定や法律適用についても特段の判示はないが、政治に関わる者が、判決も言うように「法の運用の盲点」を突いて、所得税の不正還付を受けるとともに、政治資金収支報告書に虚偽の記入をするなどした事案についての初の判決例である...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。
賃貸ビル業(賃貸しているビルは一棟のみ)を営む訴外会社は、右賃貸ビルを建て替えた際の借入金を賃料収入から返済していたため、経常利益が赤字となっていた。このような経営状況の下で、同社の代表取締役及び取締役である被告らは、同社の新規事業とし...
《解 説》
原告は、東京都江戸川区でコンビニエンスストアを経営する者で、その店舗を販売場所として酒類販売業の免許申請をしたが、酒税法一〇条一〇号(申請者の経営の基礎が薄弱であると認められる場合)及び一〇条一一号(酒類の需給の均衡維持の必要上販売免許を与えるのが適当でないと認められる場合)に...