《解 説》
一 本件は、抵当権実行により競落された不動産の占有者に対し、不動産引渡命令が発令された事案である。執行実務上、競売物件を占有し、不当な利益を得ようとする執行妨害が問題となっており、占有者が占有権原として、本件の相手方のようにいわゆる短期賃借権ないし転借権、留置権を主張する場合が...
《解 説》
Xは市であるYが施行した土地区画整理事業の換地処分取消訴訟の原告であるが、昭和五一年一一月一日付けの建設省都市局区画整理事業課長の「土地区画整理補助事業の実施細目について」と題する通達に基づいてYが作成した本件事業の実施計画書が民事訴訟法三一二条三号前段又は後段に該当する文書で...
《解 説》
本件は、一般旅券の交付を受けていた女性が、外務大臣からその返納命令を受け、これを返納させられたので、その命令の取消と、違法な公権力の行使によって、精神的被害を被ったとして、その損害の賠償とを求めた事案である。その返納命令の理由は、右女性が、外務大臣において、著しくかつ直接に日本...
《解 説》
一 本判決は、内閣総理大臣の靖国神社公式参拝に関する国に対する損害賠償請求訴訟(播磨靖国訴訟・神戸地姫路支判平2・3・29)の控訴審判決である。
中曽根康弘元首相は、在任中の昭和六〇年八月一五日、公用車で靖国神社に赴き、拝殿で「内閣総理大臣中曽根康弘」と記帳したうえ、本殿で内...
《解 説》
一 Xは、昭和六三年九月、Yと婚姻し、その間に長男をもうけたが、平成三年六月、Yとの婚姻生活に耐え切れないとして、長男を連れて実家に帰るとともに、Yとの離婚を求める訴えを提起したが、その離婚理由として、Yは、婚姻当初からXとの夫婦生活を嫌い、特に平成二年ころからは全く夫婦生活を...
《解 説》
一 本件は有料道路となっている若戸大橋を日常的に通行している周辺住民が、平成元年六月一四日に通行した際徴収された料金は、道路整備特別措置法(道特法)三条一項二号が規定する選択性の要件を充足しておらず、不当利得に当たるとして、その支払を求めるものである。
二 道特法三条一項は、...
《解 説》
一 本件は、相続税についての重加算税賦課決定が無効であるとして、重加算税を納付した相続人(A)の配偶者ら(Aの相続人ら)が納付に係る重加算税額に相当する額の不当利得金の返還を求めた事件である。原告らの主張する右賦課決定の無効事由は、以下のとおりである。国税通則法(昭和六二年法律...
《解 説》
一 X1、X2の長女A(昭和五二年四月生)は、Y1(安浦町)の設置管理する安登小学校の児童であったが、六年生の担任教諭から数回にわたって猥褻行為をされたうえ、平成二年三月の春休み中、右担任教諭から普通乗用車に乗せて連れ出され、海岸空地で首を絞めて殺害された。
そこで、X1、X...
《解 説》
一 X2は、昭和五七年八月、Yの開設する医療センターで、X3を出産したが、X3は、分娩中の低酸素が原因で仮死状態で出生したため、脳性麻痺により精神に著しい障害を残し、常時介護を要する身体障害者になってしまった。
そこで、X3とその父X1、母X2は、医療センターの分娩担当医師と...
《解 説》
一 本件は長野地判平4・2・27本誌八一四号一三一頁の控訴審判決である。原審における争点は、地滑り災害が発生したことにより長野市が固定資産の評価替えを行うために不動産鑑定士に作成させた評価調書等に記載されている内容が、長野市公文書公開条例(以下「本条例」という)七条一号の「通常...
《解 説》
一 本件は、所得税法一五六条に基づく推計課税によってされた所得税更正処分と過少申告加算税賦課処分の各取消請求事件であり、推計課税の必要性・合理性の有無、実額反証の成否が争点となった。
二 本判決は、推計課税の必要性はあると認めたが、その合理性は全面的に肯定せず、右各処分を一部...
《解 説》
本件は、XがYに対し、XY間の中古仮設材等の売買代金の支払のためにYが振り出した約束手形金と利息の支払を求め(①②事件)、YがXに対し、同売買契約の錯誤無効ないし解除を主張して支払済みの代金の返還と法定利息の支払を求めた(③事件)事案である。本件売買(第一ないし第三取引)は客観...
《解 説》
東京都が企画し推進しているいわゆる臨海副都心建設計画については、バブル景気の崩壊に伴い、その実現性に疑問が投げかけられるようになっており、住民側において、これに反対する運動も活発に繰り広げられているようである。本件は、東京電力株式会社が、将来臨海副都心へ電力を供給することを主た...
《解 説》
一 情報料回収代行サービスとは、NTTが定めている電話サービス契約約款の一六二条ないし一六四条によって規定されている制度である。その内容は、利用者が、電話を使用して(その際に用いる電話番号が〇九九〇から始まるため、一般にダイヤルQ2と称されている。)、NTTと契約を締結している...
《解 説》
中国国籍を有する原告は、日本人女性と婚姻し、出入国管理及び難民認定法(以下「法」という。)の改正前の四条一項一六号及び法施行規則二条一号の日本人の配偶者としての在留資格で我が国に入国していた。原告は、その後妻と不仲になり、家を出て、別居した。妻は婚姻無効確認請求の訴えを提起し、...
《解 説》
一 本件は、県立高校の教職員Xら一七名に対する県教育委員会Yによる停職六か月ないし減給の懲戒処分の取消しが求められた事案であるが、原審の宮崎地判昭63・4・28本誌六八〇号六五頁は、本件懲戒処分に裁量の範囲の逸脱はないとして、Xらの請求を全部棄却した。Xらのうち二名を除く全員(...