《解 説》
本件は、東京貯金事務センターに勤務していた国家公務員が、遅刻と組合事務所入室による欠務を理由に賃金減額及び訓告を受けたのに対し、遅刻は通勤電車の遅延によるもので特別休暇又は年次有給休暇として処理されるべきものであったなどとして、減額分賃金と附加金の支払及び違法な訓告による慰藉料...
《解 説》
一 本件は、債務者所有の農地に対する仮差押について、債務者から農地を買い受けたが未だ農地法の許可を受けていない第三者が、第三者異議訴訟を提起した事案である。
第三者(原告)の有する権利は、売主(債務者)に対し農地の所有権を移転するよう求める債権的請求権を有するにとどまるが、こ...
《解 説》
一 Xは、昭和六二年一二月当時、宇都宮市立緑が丘小学校二年に在籍していたが、同月二三日の第三時限の図工の授業としての紙版画の製作を行っていた際、同級生Aの持っていたハサミが左眼に当たり、左眼角膜裂傷、左上眼瞼裂傷の障害を負った。
そこで、Xは、図工の授業の指導にあたっていたB...
《解 説》
一 本件は、Yがその所有する土地上に三階建のアパート(Y建物)を建築したところ、右土地に隣接する土地上にそれぞれ居宅(X1建物及びX2建物)を所有するX1及びX2が、民法二三五条又は建築前の合意に基づいて、Yに対し、Xらの居宅に面する右アパートの窓全部及び二、三階のベランダの手...
《解 説》
一 申立人五代目山口組は、相手方兵庫県公安委員会から「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(以下「暴対法」という。)三条に基づいて暴力団として指定された(以下「本件処分」という。)。そこで、申立人は、審査請求を経た後、本件処分が憲法一四条一項(法の下の平等)、二一条一...
《解 説》
一 本件は、第二次世界大戦後、シベリア等の旧ソ連邦領土内に抑留され、劣悪な環境のもとで過酷な強制労働を課せられた日本人捕虜Xらによる国Yに対する損失補償・損害賠償請求訴訟の事案である。原審の東京地判平1・4・18本誌七〇三号六三頁は、Xら六二名の請求を棄却した。右判決に控訴した...
《解 説》
一 判示事項一について
覚せい剤取締法上の営利目的とは、一般に、犯人自ら財産上の利益を得又は第三者に得させることを動機・目的とする場合をいうと解されている(最一小決昭57・6・28刑集三六巻五号六八一頁、本誌四七三号一四三頁、判時一〇四五号七四頁)。
覚せい剤所持の事案では...
《解 説》
一 本件は、建築業者である甲(原告・控訴人)が、乙銀行(被告・被控訴人)の行員Aから、乙銀行が融資する予定のビル建築工事を斡旋するから右融資を円滑に行うために建築主B名義で乙銀行に預金をして欲しい、ともちかけられて、これを信じ、約一年の間に、計九回にわたり、乙銀行の本店営業部応...
《解 説》
YはXに対し、コンベアバックホー試作機一台の製作を代金一四六〇万円で発注し、内金七〇〇万円を支払った。Xは右試作機を完成し、その後もYの指示により改造・改良工事をしたと主張し、Yに対し残代金等九五八万円余の支払を求めた(本訴)。これに対しYは、右試作機の完成及び追加発注の事実を...
《解 説》
一 Xは、木造二階建の建物を所有し、それに居住する者である。Yは右建物の南側に隣接する所有土地上にZに依頼して鉄筋コンクリート造三階建(地下一階)共同住宅(以下「本件建物」という)を建築する計画をしていたところ、Xは、本件建物が完成するとXが全面的に享受していた日照が冬至日にお...
《解 説》
本件は、昭和六一年二月一一日静岡県賀茂郡東伊豆町のホテル「大東館」で発生した火災事故についての第一審判決である。
ホテル「大東館」は、伊豆熱川温泉のコンクリート建ての旅館が立ち並ぶ密集した温泉旅館街にあり、建物施設は、本館、別館山水、ロイヤルホテルの三つから構成されていた。別...
《解 説》
一 K(商品包装用等の紙箱の製造加工業者)は、昭和四六年分ないし同四八年分の各事業所得につき、税務署長に対して所得税の青色申告をしたが、税務調査に際し、民主商工会の事務局員の立会いが認められない限り帳簿書類の提示要求に応じられないとして、税務職員の臨場調査に協力をしなかった。そ...
《解 説》
一 Xは、昭和五八年七月当時左官業を営んでいた者であるが、同月二〇日、軽貨物自動車を運転して山口県宇部市内を走行し、宇部線恩田踏切前に停車して電車の通過待ちをしていたところ、Y運転の普通乗用車に追突され、外傷性頭部・頸部症候群に加えて股関節部挫傷の傷害を負い、その結果、両側変形...
《解 説》
一 事案の概要
Xら(宮城県牡鹿郡女川町及び同県石巻市在住の合計一四名)は、女川町に原子力発電所を設置・運転(一号機は昭和五九年六月から営業運転中、二号機は本決定時点で建設中)するY(東北電力株式会社)を被告として、一号機の運転及び二号機の建設工事の差止めを求める訴えを仙台地...
《解 説》
一 被相続人甲は、昭和五七年一〇月ころに脳動脈硬化性痴呆症で入院しその後は退院することなく昭和六二年七月一六日に死亡した。甲は、昭和六二年二月二四日に相続人の一人であるX1を代理人として乙銀行から一八億二〇〇〇万円を借り入れたうえ、同日、本件土地を代金一六億六一〇〇万円で買い入...
《解 説》
旧国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)は旧国鉄の分割・民営化に反対し、昭和六〇年一一月二八日から二九日にかけて第一波、同六一年二月一五日に第二波のストライキを打ち、これにより千葉方面の列車ダイヤが大幅に乱れた。旧国鉄当局は第一波ストについて解雇二〇名の、第二波ストについて解雇八名...