《解 説》
脳出血の患者が開頭による血腫除去手術を施行した後急性腎不全を併発し、人工透析のため転入院した先の病院で死亡した。本件は、患者の夫と子が、患者の死亡は転入院先の病院で診療に携わった医師の診療上の過失による、として損害の賠償を求めた事件である。
訴訟の初期の段階で、原告は、死因が...
《解 説》
一 Xは、建設業、駐車場の経営等を目的とする会社であるが、昭和四九年四月から昭和五三年六月までX会社に在籍した営業部長Aから特許を受ける権利を承継したうえ、Yにおいて、昭和五二年七月に出願して特許を受けた「傾床型自走式立体駐車場におけるフロア構造」の本件発明について、AがX会社...
《解 説》
本件は、木曽駒高原に別荘を所有する原告が、その後、別荘の北西に一〇階建てリゾートマンションを建てた被告に対し、眺望権侵害を理由に損害賠償を求めた事件である。
本判決は、まず、眺望の利益は、当該建物の所有者ないし占有者によるその建物からの眺望利益の享受が社会観念上からも独自の利...
《解 説》
一 昭和六三年八月に特許出願をしたXは、平成元年三月、A社に、右特許を受ける権利の持分二分の一を譲渡し、XとAは、同一の弁理士を代理人として連名で特許出願人名義変更届をY(特許庁長官)に提出した。
Yは、平成二年二月、右名義変更届の不受理処分をした。その理由は、添付の譲渡証書...
《解 説》
一 事件の概要
本件は、厚木基地(米軍と海上自衛隊の共用)から生じる騒音等による被害を理由に周辺の住民Xら一五六名が国Yに対し、飛行機の夜間における離着陸の禁止、六五ホンを超える騒音到達の禁止、過去及び将来にわたる損害の賠償を求めた、いわゆる厚木基地第二次訴訟の第一審判決であ...
《解 説》
一 本件は、いわゆる「ロス疑惑」として、殺人罪等により起訴されている人物Xの、逮捕前の行状についての週刊誌記事をめぐる名誉毀損事件である。
Yは、その発行する週刊誌に、SM嬢等の風俗関係者らがXを相手として経験した性愛行為等の内容をこれらの女性等による座談会形式の告白として記...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和五四年ころから、クレーンを備え付けたトラックを所有して訴外Bコンクリート工業会社の製品を運搬する業務に従事していたが、昭和六〇年一月、備付けのクレーンを用いて荷降ろし作業中、車両と製品の間に挟まれ死亡した。
そこで、遺族であるXは、同年五月、Yに対し、労働者...
《解 説》
一 本件は、特定の就業場所への就労命令が不当労働行為であると主張して長期間にわたり就労を拒否した労働者の行為が、健康保険及び厚生年金保険の被保険者資格喪失事由である「其ノ業務ニ使用セラレサルニ至リタル日」及び「その事業に使用されなくなったとき」に当たるかどうかが争われた事案であ...
《解 説》
XらはY(電力会社)の株主であるが、平成二年六月に開催されたYの株主総会における利益処分案承認決議について、決議過程が違法であったと主張し、右決議の取消しを求めて出訴した。その理由は、総会の場でXらの事前質問状に対して一括説明がされたが、説明が尽くされていないこと、Xらの議決権...
《解 説》
周知のように、最二小判平3・4・19民集四五巻四号四七七頁、本誌七五六号一〇七頁は、特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言は、遺言書の記載から、遺贈であることが明らかであるか又は遺贈であると解すべき特段の事情のない限り、当該遺産を当該相続人をして単独で相続させる遺産...
《解 説》
一 Xは、昭和六〇年七月当時、広島県立三次高校の生徒であって、同月二二日行われた同校野球部の試合に参加し、三塁手の控えの選手として三塁コーチス・ボックス付近にいたものであるが、試合開始前のノックの際、同部の監督が、レフトノックのための球を打ち損じたため、ライナー性の打球が左側に...
《解 説》
一 本件の原告は、全税関(全国税関労働組合)の支部組合であるX組合とこれに所属する組合員X1ら一一〇名であり、対する被告は国Y(横浜税関)である。
X組合は、当局がX組合の組合員に対し脱退工作をしたこと、第二組合を育成し、新入職員のX組合への加入を妨害したこと、庁舎管理規則を...
《解 説》
一 新潟県新発田市に居住するX(原告・控訴人)は、昭和六一年四月二七日、自宅八畳の居間の暖炉に薪を数本入れて点火し、ガスストーブにも点火して暖をとった後、暖炉及びストーブの火をつけたままにしておいて、近くのドライブインで食事をするため妻らと外出し、パチンコ店でパチンコをしていた...
《解 説》
Y1が保有し、Y2の運転する乗用車がセンターラインを超え、X1が運転し、X2が同乗する乗用車と衝突してXらを負傷させた。本件はXらからYらに対し、右交通事故による損害賠償を求めた事案であるが、Xらの負傷の程度が問題となった。特にX2の場合、事故があった平成元年一月一五日から同年...