《解 説》
本件は、いわゆる多摩川水害訴訟の差戻後の控訴審判決である。事件の経過の概要はおよそ次のとおりである。
昭和四九年八月三〇日から降り続いた豪雨により一級河川である多摩川左岸の狛江市緒方地区地先宿河原堰を越えた流水が同堰左岸取付部護岸に作用し、護岸及びこれと一体構造となっていた小...
《解 説》
一 Xは、平成四年七月に執行された参議院議員通常選挙において愛知選挙区から立候補したものの、当選しなかった者であるが、同選挙に民社党公認候補として立候補して当選したA議員は、自己の当選を得る目的をもって、明治大学に入学したこともないのにかかわらず、同大学に入学した旨の虚偽の学歴...
《解 説》
一 X(昭15・7・30生)は、アルコール症患者として、Y1病院に入院中、同じく入院中のアルコール症患者であるY2から、殴る蹴るの暴行を受けて傷害を負い、その結果、後遺症等級第二級に相当する視力障害が残った。そこで、Xは、Y1に対して、入院中自傷・他害の事故を惹起することないよ...
《解 説》
一 本件は、偽造された土地登記簿を信頼したためいわゆる地面師から金員を騙取された会社が、国に対し、登記簿の偽造は登記官の登記簿閲覧監視義務違反によるとして国家賠償法に基づく損害賠償を求めた事案であり、本判決は登記官の過失を認めたうえ、被害者の過失を九割と判断して過失相殺をし、請...
《解 説》
一 本判決は、具体的な額が定められた取締役の報酬を、株主総会決議によって一方的に変更することの可否が争点となった取締役報酬請求事件について、具体的に定まった取締役報酬を一方的に無報酬に変更することができないことを判示した最高裁の判決である。
原告は、被告株式会社の取締役であり...
《解 説》
Xは大阪府民であるが、平成元年六月、大阪府公文書公開等条例に基づき、府選挙管理委員会Yに対し、政治資金規正法二一条二項により何人にも閲覧が認められている政治資金に関する収支報告書の公開を写しの交付の方法により請求した。これに先立ち、自治省選挙部政治資金課長は、各都道府県選挙管理...
《解 説》
一 交通事故(傷害事故)の加害者である原告が、被害者に二三八一万円余の損害賠償債務を負担したとして、自動車保険契約に基づき、保険会社である被告に対し、右金員相当の保険金の支払を請求した事案。一、二審とも、本件事故については、原告に確定的故意こそなかったが、傷害の未必の故意があり...
《解 説》
一 本件は、予防接種(種痘、インフルエンザ・ワクチン等)により後遺障害を負った被害児又は死亡した被害児の家族(X)ら一五九名が国(Y)に対し、集団的に安全配慮義務違反に基づく損害賠償、厚生大臣等の過失に基づく国家賠償、憲法二九条三項等に基づく損失補償を選択的に請求した訴訟である...
《解 説》
本件は、長崎市長Yが市内の忠魂碑一四基を維持管理する保存会、遺族会等の団体に維持管理費の補助金として総額五六万円を支出したことが憲法二〇条一・三項、八九条に違反し、かつ、地方自治法二三二条の二に定める公益上の必要がなかったと主張する同市の住民XからYに対し、損害賠償の代位請求を...
《解 説》
一 Xは、昭和五五年四月、Y1との間で、Xを注文者、Y1を請負人とし、請負代金二億〇八〇〇万円、工事期間同年四月から同年一二月までとする本件八階建店舗の建築請負契約を締結するとともに、Y2との間で本件店舗の建築に関する監理業務契約を締結したところ、Y1は、昭和五六年一月、本件店...
《解 説》
A女は、昭和五七年九月二日午後一時五〇分ころ、交差点を自転車で横断中、折から左折進行してきたB社の従業員Cの運転する大型トラックに腹部を轢過され、午後二時ころY1協同組合連合会が経営するD病院に救急車により搬入されて、Y2医師らの手当てを受けたが、同日午後一一時四分、大量出血に...
《解 説》
Xら三名を売主、Y社を買主として平成二年六月二九日、代金額一億三〇〇〇万円、同日手付金一三〇〇万円を支払い、残額一億一七〇〇万円を翌三年四月三〇日までに支払う、双方とも同二年七月三一日までは契約を解除でき、Xらが解除した場合、受領済の手付金を返還するとともに同額の違約金を支払い...
《解 説》
一 X(債権者)はY(債務者)に対する金銭消費貸借契約の執行力ある公正証書正本に基づいて、YのZ(第三債務者)に対する商品配送請負契約に基づく継続的な請負代金につき債権差押命令申立をし、請負代金全額につき同命令を得た。
二 これに対し、Yは執行抗告し、本件請負代金の実質はYと...
《解 説》
一 Xは、昭和六三年六月一六日、自動二輪車を運転して、奈良市内を走行中、同市自毫寺町交差点において、西から東進してきて右交差点に進入したY1運転の普通乗用車と衝突し、左脛骨骨折等の傷害を負ったため、同日から平成元年八月まで入通院加療を余儀なくされた。
そこで、Xは、加害者Y1...