《解 説》
一 本判決は、具体的な額が定められた取締役の報酬を、株主総会決議によって一方的に変更することの可否が争点となった取締役報酬請求事件について、具体的に定まった取締役報酬を一方的に無報酬に変更することができないことを判示した最高裁の判決である。
原告は、被告株式会社の取締役であり...
《解 説》
Xは大阪府民であるが、平成元年六月、大阪府公文書公開等条例に基づき、府選挙管理委員会Yに対し、政治資金規正法二一条二項により何人にも閲覧が認められている政治資金に関する収支報告書の公開を写しの交付の方法により請求した。これに先立ち、自治省選挙部政治資金課長は、各都道府県選挙管理...
《解 説》
一 交通事故(傷害事故)の加害者である原告が、被害者に二三八一万円余の損害賠償債務を負担したとして、自動車保険契約に基づき、保険会社である被告に対し、右金員相当の保険金の支払を請求した事案。一、二審とも、本件事故については、原告に確定的故意こそなかったが、傷害の未必の故意があり...
《解 説》
一 本件は、予防接種(種痘、インフルエンザ・ワクチン等)により後遺障害を負った被害児又は死亡した被害児の家族(X)ら一五九名が国(Y)に対し、集団的に安全配慮義務違反に基づく損害賠償、厚生大臣等の過失に基づく国家賠償、憲法二九条三項等に基づく損失補償を選択的に請求した訴訟である...
《解 説》
本件は、長崎市長Yが市内の忠魂碑一四基を維持管理する保存会、遺族会等の団体に維持管理費の補助金として総額五六万円を支出したことが憲法二〇条一・三項、八九条に違反し、かつ、地方自治法二三二条の二に定める公益上の必要がなかったと主張する同市の住民XからYに対し、損害賠償の代位請求を...
《解 説》
一 Xは、昭和五五年四月、Y1との間で、Xを注文者、Y1を請負人とし、請負代金二億〇八〇〇万円、工事期間同年四月から同年一二月までとする本件八階建店舗の建築請負契約を締結するとともに、Y2との間で本件店舗の建築に関する監理業務契約を締結したところ、Y1は、昭和五六年一月、本件店...
《解 説》
A女は、昭和五七年九月二日午後一時五〇分ころ、交差点を自転車で横断中、折から左折進行してきたB社の従業員Cの運転する大型トラックに腹部を轢過され、午後二時ころY1協同組合連合会が経営するD病院に救急車により搬入されて、Y2医師らの手当てを受けたが、同日午後一一時四分、大量出血に...
《解 説》
Xら三名を売主、Y社を買主として平成二年六月二九日、代金額一億三〇〇〇万円、同日手付金一三〇〇万円を支払い、残額一億一七〇〇万円を翌三年四月三〇日までに支払う、双方とも同二年七月三一日までは契約を解除でき、Xらが解除した場合、受領済の手付金を返還するとともに同額の違約金を支払い...
《解 説》
一 X(債権者)はY(債務者)に対する金銭消費貸借契約の執行力ある公正証書正本に基づいて、YのZ(第三債務者)に対する商品配送請負契約に基づく継続的な請負代金につき債権差押命令申立をし、請負代金全額につき同命令を得た。
二 これに対し、Yは執行抗告し、本件請負代金の実質はYと...
《解 説》
一 Xは、昭和六三年六月一六日、自動二輪車を運転して、奈良市内を走行中、同市自毫寺町交差点において、西から東進してきて右交差点に進入したY1運転の普通乗用車と衝突し、左脛骨骨折等の傷害を負ったため、同日から平成元年八月まで入通院加療を余儀なくされた。
そこで、Xは、加害者Y1...
《解 説》
脳出血の患者が開頭による血腫除去手術を施行した後急性腎不全を併発し、人工透析のため転入院した先の病院で死亡した。本件は、患者の夫と子が、患者の死亡は転入院先の病院で診療に携わった医師の診療上の過失による、として損害の賠償を求めた事件である。
訴訟の初期の段階で、原告は、死因が...
《解 説》
一 Xは、建設業、駐車場の経営等を目的とする会社であるが、昭和四九年四月から昭和五三年六月までX会社に在籍した営業部長Aから特許を受ける権利を承継したうえ、Yにおいて、昭和五二年七月に出願して特許を受けた「傾床型自走式立体駐車場におけるフロア構造」の本件発明について、AがX会社...
《解 説》
本件は、木曽駒高原に別荘を所有する原告が、その後、別荘の北西に一〇階建てリゾートマンションを建てた被告に対し、眺望権侵害を理由に損害賠償を求めた事件である。
本判決は、まず、眺望の利益は、当該建物の所有者ないし占有者によるその建物からの眺望利益の享受が社会観念上からも独自の利...
《解 説》
一 昭和六三年八月に特許出願をしたXは、平成元年三月、A社に、右特許を受ける権利の持分二分の一を譲渡し、XとAは、同一の弁理士を代理人として連名で特許出願人名義変更届をY(特許庁長官)に提出した。
Yは、平成二年二月、右名義変更届の不受理処分をした。その理由は、添付の譲渡証書...
《解 説》
一 事件の概要
本件は、厚木基地(米軍と海上自衛隊の共用)から生じる騒音等による被害を理由に周辺の住民Xら一五六名が国Yに対し、飛行機の夜間における離着陸の禁止、六五ホンを超える騒音到達の禁止、過去及び将来にわたる損害の賠償を求めた、いわゆる厚木基地第二次訴訟の第一審判決であ...
《解 説》
一 本件は、いわゆる「ロス疑惑」として、殺人罪等により起訴されている人物Xの、逮捕前の行状についての週刊誌記事をめぐる名誉毀損事件である。
Yは、その発行する週刊誌に、SM嬢等の風俗関係者らがXを相手として経験した性愛行為等の内容をこれらの女性等による座談会形式の告白として記...