《解 説》
一 ①②の二つの事件は相互に関連するものではないが、比較的近接した時期の裁判例で、いずれも、凶器を使用しないひったくり類似の犯行を、強盗致傷の訴因で起訴された事案について、強盗罪或いは窃盗罪ではなく、恐喝未遂罪と傷害罪の事実を認定したものであるところから、一括して紹介することに...
《解 説》
本件は、被告人の妻に当たる外人女性に対する略式命令謄本の送達がいわゆる補充送達として適法とされ、かつ正式裁判請求の法定期間の徒過は、申立人(被告人)及び代人である右女性の重畳的な責に帰すべき事由に基因するとして、正式裁判請求権回復請求が棄却されたものである。
類似の先例として...
《解 説》
本件は、Y1学園が設置する高校(Y2校長)の生徒Xが自動車運転免許を取得することを原則として制限し、パーマをかけることを禁止した校則に違反したこと等を理由とする自主退学勧告の適否が問題となった事案である。XはY1及びY2に対し、卒業認定と卒業証書の授与を、Y1に対しては予備的に...
《解 説》
本件は、信用金庫と預金等の継続的な取引を行っていた原告ら(家族経営の書店のようである)が、信用金庫の担当職員に数々の不正行為等があったとして、信用金庫に対し、預金等の払戻しや不法行為に基づく損害賠償を求めたものである。
本判決は、原告らが被告の不正行為等として主張した事実の殆...
《解 説》
一 訴外Aは、平成元年五月八日午前八時頃、自家用貨物自動車を運転して愛知県江南市内を進行中、路上に停車中の自家用貨物自動車に自車を接触させ、荷下し作業中の者に傷害を負わせるという交通事故(以下「本件事故」という。)を起こしたが、同日午後六時頃、脳内出血により死亡するに至った。
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《解 説》
一 本件事案の概要はこうである。京都市教育委員会がカセットテープを購入して、これに「君が代」を録音したうえ市内の小中学校校長に配付した。本件は、原告らが京都市住民として提起した住民訴訟である。即ち、原告らは、このカセットテープの購入及び配付は、憲法の国民主権に反する君が代を斉唱...
《解 説》
債権者会社Xは、第三者所有の土地建物(本件不動産)を購入するにあたり、売買代金を債務者Yから借り入れ、その担保の目的で本件不動産の所有名義をY名義としていたところ、Yが名義の返還に応じないとして、本件不動産の所有権に基づく移転登記請求権を被保全権利とする処分禁止の仮処分を得た。...
《解 説》
一 本判決は、覚せい剤自己使用事件につき、尿鑑定書に関する検察官の証拠申請を、尿の採取過程に重大な違法があることを理由に却下した上、その余の証拠の中には、自白調書の補強証拠たり得るものがないとして、無罪を言い渡したものである。
二 本件においては、尿鑑定書の却下の理由が重要で...
《解 説》
一 Yは、Xが後に吸収合併した訴外会社Aに対し、三億円を貸し付け、同社の代表者Bを連帯保証人としていたところ、主債務者であるAにつき和議手続が開始され、右貸付金の元本全額の分割弁済を受けることになったが、右分割弁済の履行中にBに対し破産宣告がなされたので、右保証債権(残元利金)...
《解 説》
債務者が異議をとどめないで債権譲渡を承諾した場合には、債務者は、譲渡人に対抗することができた事由があっても、これを譲受人に対抗することができないが(民四六八条一項)、その事由の一つとして弁済がある。債務者は、譲渡人に対する弁済によって債権が消滅したことを譲受人に対して主張するこ...
《解 説》
本件は、Aが、その所有する甲・乙不動産につき、Bの物上保証人として、Yのために共同根抵当権を設定し、次いで、甲不動産につき、Bの物上保証人として、Xのために根抵当権を設定していたところ、Yが乙不動産の根抵当権を放棄した後、甲不動産の根抵当権を実行し、その売却代金から配当を受けた...
《解 説》
一 X1は、訴外Aの妻、X2~X4は、いずれもAの子であるところ、Aが、平成元年一二月一四日、Y1の起こした交通事故により死亡したため、加害者Y1とその使用者Y2に対して、損害賠償を請求したものであるが、主として、逸失利益の算定に当たり、Aの老齢年金受給権喪失による逸失利益が認...
《解 説》
一 亡Aは平成三年四月二一日に死亡し、その相続人は、Aの子七人である。Aが四男Yに対して本件土地を相続させる旨の遺言をしていたため、Yは、本件土地について相続を原因とする所有権移転登記をした。これに対し、X(Aの次男)は、Yに対して遺留分減殺請求の意思表示をした。Xは、右の事実...
《解 説》
一 旧国鉄は、職員の福祉増進を図るため、職場内で第三者が飲食店等の営業を行うことを認めていたところ、昭和四一年、Yに対し、京都駅構内の事務所の一部で理髪店営業を行うことを承認し、期間は一年間とされていたものの、長年にわたり、毎年更新されてきた。
ところが、国鉄改革法により、昭...
《解 説》
一 本件の概要
1 X1・X2は開業歯科医であり、Y1・Y2・Y5の一族が営んでいた歯科材料等販売会社(以下「訴外会社」という。)と取引をしていたところ、訴外会社(現実には本件で問題となる空リースがなされた時点ではY3・Y5が経営の実権を握っていた。)は、その資金繰りのために...