《解 説》
Yは本件土地の借地人であるが、土地上に建物を所有するXとの間で、Xが本件土地の転借権を有するか否かについての紛争が発生していた。Xは、Y及び本件所有者を相手方として本件土地につき賃貸借・転貸借契約の目的を堅固建物所有に変更することを求める借地条件変更申立事件(①事件)を提起した...
《解 説》
本件原告は、被告から、宅地四筆とその地上の建物を買い受け(ただし、右建物は税金対策のために本件取引に際して建築されたプレハブ建物にすぎず、それ自体に実質的価値があるものとして売買の対象になったものではないから、実質的には宅地のみの売買と考えてよい)、これを他に転売した。ところが...
《解 説》
一 ここに紹介するのは、未遂の主張が排斥されて、いずれも窃盗の既遂罪の成立が認められた二つの高裁判例である。
まず、①事案においては、被告人は、スーパーマーケット店内で、買物かごに商品三五点を入れた後、レジを通ることなく、その脇のパン棚の脇から買物かごをレジの外側に持ち出し、...
《解 説》
一 税理士であるXは、昭和六〇年分、昭和六一年分、昭和六二年分の各所得税申告に当たり、商品先物取引(以下「本件取引」という。)によって受けた損失を事業による損失であるとして事業所得から差し引いて確定申告をしたところ、税務署長Yは、本件取引が事業に当たらないから、それによる損失は...
《解 説》
一 X1とX2の子Aは、平成元年一一月当時、埼玉県立吉川高等学校三年に在学中であったが、同月二日午前の休憩時間中、同学年の生徒Y1と些細なことからけんかとなり、Y1にナイフで胸部、腹部を突き刺されて死亡した。
そこで、Aの両親であるX1、X2は、加害者Y1に対しては民法七〇九...
《解 説》
一 Yは、A社の資金繰りを援助するため同社に対し融通手形(本件手形)を振り出し、同社はB信用組合で本件手形を割り引いたが、A社が事実上倒産したため、A社のB信用組合に対する一切の債務について連帯保証をしていたXが、B信用組合に対してA社の割引手形買戻義務を代位弁済し本件手形を取...
《解 説》
一 X(原告・控訴人)は、不動産の売買、仲介等を業とする会社であるが、昭和六二年に、不動産仲介業者から訴外Aが所有するとされた土地の紹介を受け、右土地をAから二億円で買受ける旨の売買契約を締結したうえ、代金二億円を支払い、AからXへの所有権移転登記を経由した。
ところが、A名...
《解 説》
一 Xは、千葉県大多喜町でゴルフ場の開発事業を計画していた会社であるが、平成三年二月、千葉県の「宅地開発事業等の基準に関する条例」に基づき、Y2(大多喜町長)に対し、ゴルフ場開発事業計画について、Y1(千葉県知事)の事前協議を求める「ゴルフ場等の開発事業事前協議申出書」を提出し...
《解 説》
一 本決定は、競売事件において、債務者兼所有者A及び第三者Bが競売建物を内装工事の上、他に占有させようとしているとして、ABに対し、占有移転禁止、工事禁止、工事用資材の撤去命令及びその搬入禁止を命じ、かつ執行官に対し、その公示を命じた売却のための保全処分命令(民執五五条)である...
《解 説》
一 本件は、公立中学校の教諭が、いわゆる嫌煙権を根拠として中学校に喫煙室を設置することを求めた措置要求(地方公務員法四六条)が認められなかったことを不服として、人事委員会の判定の取消しを求めた取消訴訟の控訴審判決であり、職場における嫌煙権をめぐる措置要求(地方公務員法四六条)に...
《解 説》
一 原告は、自動車部品の製造等を業とする株式会社であるが、電力会社が使用電力量の計量装置の設定を誤ったため、使用電力が二倍に算出されるところとなり、一二年余の期間、電気料金等を過大に支払い続けたが、その間、原告はもとより、電力会社もこの事実に気付かないままであった。昭和五九年に...
《解 説》
本件は、XがYに対して建物収去土地明渡を求めるとともに、付帯請求として賃料相当損害金請求をしている事案である。Yは、占有正権原として、本件土地の当時の所有者であるAとBとの借地契約、BとYとの転貸借契約を主張したのに対して、Xは、用法違反による解除を主張した。Xは、用法違反とし...
《解 説》
本件は、新株発行が不存在であるとされた事件の上告審判決である。新株発行不存在確認の訴えは、新株発行無効の訴えと異なり、商法に規定がないが、学説は、これを適法な訴えとみる見解が一般で、実務も、不適法な訴えとみていない。もっとも、いかなる場合に新株発行が不存在であるのかというと、学...
《解 説》
一 本件は、X(原告・控訴人)とY(被告・被控訴人)外三名間の佐賀家裁伊万里支部昭和五三年(家イ)第三一号遺産分割調停事件について、Xが、昭和五八年一一月八日成立した調停のうち、Yに関する部分は無効であると主張し、Yを相手方としてその無効確認を求めた事案である。
二 一審は、...