《解 説》
本件事故は、タクシーの助手席に乗車した客が、シートベルトの吊り下げられているセンターピラーと後部座席の自動式ドアとの間に薬指を挾まれ、加療約六週間の負傷をしたというものである。第一審は、タクシーの運転手である被告人は、後部座席のドアを閉める際、助手席の乗客の動静を確認すべき注意...
《解 説》
一 原告は、マラヤ競馬協会(以下「MRA」という。)に所属し、同協会が統括するマレーシア及びシンガポール国内の競馬場で活躍している日本人騎手である。
被告は、平成二年九月二六日、その発行する日刊新聞のトップ記事として、「発覚 八百長競馬疑惑」との大見出しの下に、原告が、シンジ...
《解 説》
一 Yは、Aから金銭を借受けその支払いのために、昭和五四年一二月二一日、支払期日を白地とする本件約束手形を振り出した。その後、Aは、Xに対して貸金債務を負っていたために、本件約束手形をXに裏書譲渡した。Xは、平成二年一一月一日ころ、本件約束手形の右白地部分を補充した上、支払場所...
《解 説》
室内装飾等を目的とする会社Xは、Yを雇用したが、四日間で音を上げたので、一月間の研修期間を与えたところ、Yはその間に転職してしまった。そのため、Xは、業務遂行ができず損害を被ったので、Yと折衝の上二〇〇万円の損害賠償を支払うことを約束させた。本件は、Xが、Yに対して、この約定に...
《解 説》
一 X(控訴人)は、酒類販売業を営む地方の老舗であったが、業界の構造的不況の影響で経営不振に陥り、経営再建を図るべく、大口債権者から債務の繰り延べ等を受けるために債権者集会を開催することとし、弁護士名で「債権者集会のお知らせ」と題する文書を作成したうえ、集会開催予定日の四日前(...
《解 説》
国会議員Xは、脱税で摘発された会社経営者に対し、自らの出捐なしに秘書名義で株式を購入するよう依頼し、その後、株式の売却益一二〇〇万円を受け取った等の内容の新聞報道が名誉毀損に当たるとして、右記事を配信したY1社及びこれを掲載した新聞社Y2ら三六社に対し、謝罪広告等を求めて出訴し...
《解 説》
一 本件は、被告会社の取締役であった原告が、一〇年間にわたる被告在職中に行った意匠の創作及び実用新案の考案のうち、職務創作、考案として被告に譲渡した意匠登録を受ける権利、実用新案登録を受ける権利について、退職後実用新案法九条三項、意匠法一五条三項により準用される特許法三五条三項...
《解 説》
一 Xは、Y市の職員(保父職)であり、Y市職員労働組合に所属していた。Y市職員組合は、右労働組合職員支部であり、Xはその執行委員であったところ、右職員組合は、平成四年一月一八日、地方公務員法五三条の登録を受けた。
Xは、同月一六日、Y市長に対し、同法五五条の二第一項但書に基づ...
《解 説》
一 本件は、全国自動車交通労働組合連合会高知地方本部(「全自交高知地本」という。)が、原告会社(被控訴人・上告人)の労働条件の改善、殊に、歩合給のみの従業員の給与体系に固定給を加えることを要求して実施したストライキに際し、同地本の組合員である被告ら(控訴人、被上告人)が、同地本...
《解 説》
一 Xは、昭和五四年一二月二七日、普通乗用車を運転して、静岡県榛原郡御前崎町の道路上を走行中、前方を飛び出してきた幼児との衝突を避けるため急停車したところ、後続のY運転の普通乗用車に追突され、頚椎捻挫等の傷害を負った。
そこで、Xは、その後長期間入通院して治療を受けたが、てん...
《解 説》
一 本件は追突事故であり、外見的に重大な後遺症があったわけではなく、むしろ他覚的所見のない耳鳴り症状を主たる後遺症とした被害者が自殺した結果、事故との因果関係が争いとなった事案である。
二 初期の学説は自殺という本人の意思決定を重視し、そこで因果関係が切断されるとみたが、次第...
《解 説》
Y県知事は、平成二年一一月二二日、皇居で行われた大嘗宮の儀のうち、悠紀殿供饌の儀に宮内庁長官から招待を受けて参列し、その際、県から出張旅費として七万五六六〇円の支給を受けた。本訴は、住民であるXが、国の大嘗祭の挙行についての出費等は憲法二〇条及び八九条に違反しており、Y知事の参...
《解 説》
一 Xは、訴外Aに対する約束手形に基づく債権合計三六四万〇三〇〇円の執行を保全するため、AがYに対して有する右同額の本件預託金返還請求権の仮差押えを申請して、昭和六〇年四月一九日これを容認する仮差押決定を得たうえ、Aの相続人であるB外五名を相手方として、本件預託金提供の原因とな...
《解 説》
本件は、私立大学の応援団の合宿中に上級生から気合い入れの名目による暴行を受けて死亡した新入生Aの両親(Xら)が、大学の設置者である学校法人Yに対し、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償を請求した事件である。
いわゆる学校事故に関し判例集、裁判集に登載された最高裁の判例には、...
《解 説》
一 本件は、土地建物の担保権実行としての競売事件で、売却のための保全処分(民執五五条)として、所有者(兼債務者)に対し、暴力団関係者等に競売不動産の占有を移転するおそれがあることを理由に占有移転禁止及び執行官保管を命じたものである。
所有者会社は、平成三年一二月二日、本件抵当...
《解 説》
一 土地区画整理法(以下「法」という。)六六条、六条の規定により都道府県知事等の定める土地区画整理事業計画の決定については、周知のとおり、最大判昭41・2・23民集二〇巻二号二七一頁が、この土地区画整理事業計画の決定は、その公告がされた段階においても、抗告訴訟の対象とならないも...
《解 説》
一 Y(被告、控訴人)は、平成元年一〇月、浪費者であることを理由として準禁治産宣告を受けた者であるが、平成二年一〇月、貸金業者であるX(原告、被控訴人)から、自己が準禁治産者であることを秘して五万円を借り受けた。
しかるに、Yが平成三年二月以降元利金の支払いを怠ったため、Xは...