《解 説》
一 本件被告人は、自動車の保管場所の確保等に関する法律違反により罰金八〇〇〇円に処せられ、この略式命令は確定したが、その後検察官から非常上告が申し立てられた。
そして、本判決は、本件略式命令発付の経緯について、法定刑の点で少年法二〇条による検察官への送致が許されない罪の事案で...
《解 説》
一 Xらは、Yを相手方として更正登記手続を求める訴えを提起しているが、右事件において、被相続人Aの遺言能力のなかったことを立証するため、Aが生前に入院していたB病院が所持する診療録が必要であり、右診療録が民訴法三一二条三号所定の文書に該当し、右病院がその提出義務を負うとして、そ...
《解 説》
本件は、ループ式自動速度測定装置、すなわちオービスⅢの測定結果の正確性が争われた事例である。
オービスⅢは、道路内の一定間隔(約七メートル)内に埋設した二本の電線(ループ)が路上を通過する車両を感知し、二本のループの間の通過時間から時速を測定し、違反車両と運転手を自動的に写真...
《解 説》
本件は、被害者方台所から現金六万円を窃取したとして起訴されていた被告人について、無罪を言い渡した事案である。検察官は、被告人と犯人を結び付ける証拠として、被害者方台所の茶箪笥の引き出し外側から採取された指紋と被告人の左手環指が一致するとの鑑定書並びに本件犯行は間違いないとして自...
《解 説》
本件の事案は、交通事故で死亡した者の相続人である原告らが、加害車両の運転手と所有者を被告として損害賠償を請求したところ、保険会社が被告らの補助参加人として訴訟に参加した、というものである。原審は原告らの請求を一部認め、被告ら及び補助参加人の双方が別々に控訴したが、各控訴の提起は...
《解 説》
一 Xは、昭和六二年二月、名古屋市内にある遊戯場を、その所有者から、賃料月額五〇万円、期間一年と定めて賃借し、右遊戯場においてパチンコ店を経営してきたが、昭和六三年三月に右遊戯場を買受けたYが、右遊戯場の賃貸借は一時使用のためのものであり、解約申入れにより終了したとしてXの賃借...
《解 説》
一 地方税法七三条の一三第一項、七三条五号は不動産取得税の課税標準を適正な時価としているが、同法七三条の二一第一項本文は固定資産課税台帳に価格が登録されている不動産の不動産取得税の課税標準を登録価格とする旨を定めている。そして、同項ただし書は「増築、改築、損かい、地目の変換その...
《解 説》
Xは昭和五四年一一月、亡父の後妻Aとの間で養子縁組をし、AがY市の区役所に届出をした。当時の民法七九五条によれば、養子縁組は配偶者とともにしなければならないとされていたが、Xには妻Bがいた。区役所の戸籍記載係はXの戸籍の身分事項にAの養子となる旨縁組届出を記載した後、審査担当者...
《解 説》
判決文によると、本件における被告人の尿の任意提出、差押を巡る事実関係は、概要以下のとおりであった。
被告人は、一月二九日午後五時すぎころ、札幌市内のコンビニ店で心身の異常をきたし、通報により駆けつけた警察官が手配した救急車で病院の集中治療室に収容された。治療に当たった医師は、...
《解 説》
一 本判決は、次の三点について判断を示したものである。
(1) 民訴法一七一条一項の事理を弁識するに足るべき知能を備える者の意義及び七歳九月の児童が事理を弁識するに足るべき知能を備える者に当たるか否か(補充送達の受領能力)。
(2) 訴状の有効な送達がないままされた判決が確...
《解 説》
本件は、簡易裁判所が期間を徒過してなされた仮執行宣言付支払命令に対する異議申立を適法なものとして地方裁判所に事件記録を送付したのに対し、右異議申立はその申立期間を徒過し不適法であるとして、判決をもってこれを却下した事案である。
ところで、簡易裁判所が不適法な異議を適法として処...
《解 説》
一 ここに紹介する二つの判決は、覚せい剤取締法違反等被告事件につき、採尿に至る捜査手続に違法があるとしたが、尿の鑑定書等の証拠能力は肯定できるとしたものである。
二 採尿手続に先行する手続に違法があった場合の尿鑑定書の証拠能力に関し、最二小判昭61・4・25刑集四〇巻三号二一...
《解 説》
一 Aは、妻Y1(被告・控訴人)と不和となって別居し、夫と死別していた職場の同僚の女性X(原告・被控訴人)及びその娘二人とで暮らすようになって約一〇年経過後、Xに遺産全部を包括遺贈(本件遺贈)する旨の公正証書遺言をし、その約一年後に死亡した。ところが、遺産の不動産甲・乙について...
《解 説》
一 Xらは、土地区画整理組合により所有地について換地処分を受け、さらに同組合から「宅地整備補償金」の名目で保留地予定地の処分に係る余剰金の交付を受けたものであるが、本件は、右金員が課税所得に当たるか、また譲渡所得か一時所得かが争われた事案である。
Xらの被相続人である亡Aは、...
《解 説》
本件は、マンションの売買について、瑕疵担保責任に基づく解除が問題になった事案である。
原告は被告から、新築後まもないマンション及びその敷地、並びにそれに隣接する土地を一括して買い受けたが、右マンションは著しい雨漏りや水道管の破裂事故・浄化槽からの汚水漏れ等が発生する欠陥建物で...