《解 説》
一 高齢化社会の進展とともに高年齢者の雇用問題はわが国の政治経済上の重要課題となっており、いわゆる終身雇用制を主流とするわが国において右課題はまず定年延長問題という形で顕在化する(昭和六一年四月に抜本的改正をみた「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」は事業主に対する六〇歳への...
《解 説》
昭和五九年三月X信用金庫とA(Yの兄)は信用金庫取引約定を締結したが、その際YとAの妻は、Aが現在及び将来負担する一切の債務につき連帯保証人となった。そのころ、Aは自己所有不動産に極度額四六〇〇万円の根抵当権を設定してXから三七五〇万円借り受け、さらに翌年二〇〇〇万円を借り受け...
《解 説》
リース会社であるXは、ユーザーAの自称代理人Bがリース契約を締結した後、XとサプライヤーであるYとの間でOA機器の売買契約を締結して代金を支払ったところ、Aがリース契約を締結した事実はないとしてリース料の支払いを拒絶した。そこで、Xが、Yに対して、「リース借主がリース契約の締結...
《解 説》
一 本件は、私製葉書業者九社が、国に対して、国がくじや図画等の付いた「お年玉付年賀葉書」やいわゆる「さくらめーる」「かもめーる」等(以下「本件官製葉書」という。)を四一円もしくは四三円で発売するのは、独占禁止法二条九項二号、公正取引委員会告示第一五号の六号の「不当廉売」、同法三...
《解 説》
一 Xは、Aから宅地(以下「本件土地」という。)を賃借し、その地上に事務所を建築して所有しており、Yは右土地の隣地の所有者であるところ、Xの建物のバルコニーがY所有地を侵害しているとして、X、Y間で境界を巡る紛争が発生し、Aや本件土地の他の隣地の所有者をも含めて境界についての話...
《解 説》
Xは昭和六二年一一月七日、Yとの間でX所有の建物が焼失した場合には火災共済金として一〇〇〇万円、動産特約共済金として五〇〇万円等の支払いを受ける旨の建物更生共済契約を結んだところ、同六三年一月一一日に至り右建物が焼失したため、Yに対し共済金として一九〇〇万円の支払いを求めた。こ...
《解 説》
主婦Aは昭和六〇年二月、Yが設置する病院で診察を受け、脳動静脈奇形(AVM)と診断され、医師からその摘出を勧められたので、摘出手術を受けたが、AVMの完全な摘出に至らず、第二回目の手術中に著しい脳腫脹を引き起こして死亡した。Aの夫のX1、子のX2、X3及び母のX4はYに対して不...
《解 説》
訴外株式会社は、その従業員組合Y4が経営に参画し、発行済株式総数一八万株の四〇パーセント以上を保有するという閉鎖会社であったが、昭和六一年一二月、公募により、一株当たりの発行価額を五〇円とする三〇万株の新株発行を行い、Y4が全株を取得した。これに対し、一万九三〇〇株を保有するX...
《解 説》
一 X(昭和六〇年一二月生)の母Aは、昭和六二年一二月二九日、X及び姪を連れてY3の経営する美容室を訪れ、整髪をしてもらった後、料金を支払っている際にXの姿が見えなくなったため、美容室の従業員らとともに探していたところ、美容室のある三階の北西側踊り場に設置されていた手すりの隙間...
《解 説》
本決定は、不動産の競売事件において、最低売却価額が低廉に過ぎるとして、売却許可決定に対する執行抗告がなされたのに対し、これを棄却したものである。
注目すべき点は、「民事執行法による不動産の売却は、目的物件の所有に対する事実上法律上の障害を解消させたうえで行うものとはされていな...
《解 説》
本件の抗告人は、地位確認、未払い賞与の支払を請求した訴訟事件の原告であるが、同訴訟事件に関し、原告の申請した証人等の採否に際しての訴訟指揮が不当であるなどとして、合議体を構成する甲、乙、丙の三名の裁判官の忌避を申し立てた。原審は、抗告人の主張する事実がいずれも忌避事由に当たらな...
《解 説》
一 本件は、土地・建物に対する担保権実行としての競売事件において、旧所有者の主張する留置権(被担保債権は売買代金の精算金)が認められないとし、同人に対して引渡命令の発令される可能性が大きい旨を記載した物件明細書である。
旧所有者Aは、本件土地・建物を所有し、居住していたが、平...
《解 説》
一 Xは、昭和四四年から昭和五四年までの間に、Y1~Y4に対し、千葉県松戸市常盤平に所在する公団住宅を賃貸したが、その後その家賃が不相当に低額となったため、借家法七条に基づき、昭和六三年一〇月から家賃を増額する旨意思表示をし、また、消費税の創設に伴う事情変更により、平成元年四月...
《解 説》
一 Xは、昭和五七年一一月二六日、名古屋市内を自転車に乗って進行中、Y1の運転する普通貨物自動車に衝突され(以下「第一事故」という。)、頭部打撲、腰部打撲等の傷害を受けたので、中京病院等に入通院して治療を受けていたが、昭和五九年一二月二二日、名古屋市内を夫の運転する普通乗用車に...
《解 説》
一1 本件は、抗告理由書を参考にして記載すると、A宗教法人(教団)は二勢力に分裂(内紛)し(抗告理由書では、昭和六一・四・一六分裂と記載されている)、二人の代表役員X・Yが選任されてそれぞれ正当性を主張したが、本件債権者(抗告人)XはA代表役員Yに対し職務執行停止等仮処分を申立...
《解 説》
本件は、K市計画局都市計画部風致課長等の地位にあって、風致地区内の現状変更の規制に関する事務等に従事していた被告人両名において、廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び市風致地区条例等に違反して山林を違法開発している疑いの濃厚な業者に対し風致課を含む市の関係五課によって行われる合同...
《解 説》
一1 本件は、地方公共団体である長野市が地方自治法二四二条の二第一項四号所定の請求権を行使して損害賠償等を提訴している場合に、長野市の住民が当該訴訟において長野市が適切な訴訟活動をしておらず、これが同法二四二条一項にいう違法又は不当に財産管理を怠る場合に当たるとして同項に定める...
《解 説》
一 本件被告人は、自動車の保管場所の確保等に関する法律違反により罰金八〇〇〇円に処せられ、この略式命令は確定したが、その後検察官から非常上告が申し立てられた。
そして、本判決は、本件略式命令発付の経緯について、法定刑の点で少年法二〇条による検察官への送致が許されない罪の事案で...