《解 説》
本件は、マンション管理組合(建物の区分所有等に関する法律〔建物区分所有法と略称する〕三条に基づき設立された団体)の理事長(管理者)XからYらに対して、Yらが占有使用しているマンション駐車場の明渡しと賃料相当損害金を請求した事案である。このマンションの敷地は元来Yら一族の所有であ...
《解 説》
本件は、九階のビル所有者Xらからその一、二階を賃借するY会社(中華料理店)に対して提起された建物明渡請求事件(付帯請求は損害金請求)である。Xらは、Yには、無断の室外機設置、油脂を飛散させているのに排風機とダクトの改修をしない、建物のカーテンウォールの腐食などの賃貸借契約の約定...
《解 説》
本件の原告は、補聴器の販売修理に従事する高卒、四〇台半ばの男性サラリーマンであるが、これまで商品取引の経験は皆無で、商品取引に関する知識も特に有していなかった者である。被告らは、原告との間で米国産大豆の先物取引の委託契約を締結した会社(東京穀物商品取引所等の商品取引員の資格を有...
《解 説》
一 本件は、肝硬変に罹患し、英国で肝臓移植手術を受け、その後死亡した者の闘病記について、著作者が誰であるか等が争われた事案であり、その概要は次のとおりである。
Y1は、Y2に、Dの闘病記をY1を著者として出版することを許諾し、Y2はこれを書籍として出版した。ところが、Dの両親...
《解 説》
首都高速道路公団は昭和六二年に首都高速道路の通行料金を五〇〇円から六〇〇円に値上げしたが、これに反対するグループが従来料金しか払わないで首都高速道路を通行したため、公団はこれらの者に差額分、割増金及び手数料の支払いを請求した。本件は、その請求を受けた原告らが、右値上げは、その必...
《解 説》
一 本件は、原告と男子社員との間の賃金格差が労基法四条違反の賃金差別であるか否かが争われた事案である。
これまでの男女賃金差別をめぐる訴訟は、いずれも、男女別の制度や基準による男女間の異なる扱いが問題とされた事例であったが、本件は、これとは異なり、男女別の基準や制度がなく、事...
《解 説》
一 高齢化社会の進展とともに高年齢者の雇用問題はわが国の政治経済上の重要課題となっており、いわゆる終身雇用制を主流とするわが国において右課題はまず定年延長問題という形で顕在化する(昭和六一年四月に抜本的改正をみた「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」は事業主に対する六〇歳への...
《解 説》
昭和五九年三月X信用金庫とA(Yの兄)は信用金庫取引約定を締結したが、その際YとAの妻は、Aが現在及び将来負担する一切の債務につき連帯保証人となった。そのころ、Aは自己所有不動産に極度額四六〇〇万円の根抵当権を設定してXから三七五〇万円借り受け、さらに翌年二〇〇〇万円を借り受け...
《解 説》
リース会社であるXは、ユーザーAの自称代理人Bがリース契約を締結した後、XとサプライヤーであるYとの間でOA機器の売買契約を締結して代金を支払ったところ、Aがリース契約を締結した事実はないとしてリース料の支払いを拒絶した。そこで、Xが、Yに対して、「リース借主がリース契約の締結...
《解 説》
一 本件は、私製葉書業者九社が、国に対して、国がくじや図画等の付いた「お年玉付年賀葉書」やいわゆる「さくらめーる」「かもめーる」等(以下「本件官製葉書」という。)を四一円もしくは四三円で発売するのは、独占禁止法二条九項二号、公正取引委員会告示第一五号の六号の「不当廉売」、同法三...
《解 説》
一 Xは、Aから宅地(以下「本件土地」という。)を賃借し、その地上に事務所を建築して所有しており、Yは右土地の隣地の所有者であるところ、Xの建物のバルコニーがY所有地を侵害しているとして、X、Y間で境界を巡る紛争が発生し、Aや本件土地の他の隣地の所有者をも含めて境界についての話...
《解 説》
Xは昭和六二年一一月七日、Yとの間でX所有の建物が焼失した場合には火災共済金として一〇〇〇万円、動産特約共済金として五〇〇万円等の支払いを受ける旨の建物更生共済契約を結んだところ、同六三年一月一一日に至り右建物が焼失したため、Yに対し共済金として一九〇〇万円の支払いを求めた。こ...
《解 説》
主婦Aは昭和六〇年二月、Yが設置する病院で診察を受け、脳動静脈奇形(AVM)と診断され、医師からその摘出を勧められたので、摘出手術を受けたが、AVMの完全な摘出に至らず、第二回目の手術中に著しい脳腫脹を引き起こして死亡した。Aの夫のX1、子のX2、X3及び母のX4はYに対して不...
《解 説》
訴外株式会社は、その従業員組合Y4が経営に参画し、発行済株式総数一八万株の四〇パーセント以上を保有するという閉鎖会社であったが、昭和六一年一二月、公募により、一株当たりの発行価額を五〇円とする三〇万株の新株発行を行い、Y4が全株を取得した。これに対し、一万九三〇〇株を保有するX...
《解 説》
一 X(昭和六〇年一二月生)の母Aは、昭和六二年一二月二九日、X及び姪を連れてY3の経営する美容室を訪れ、整髪をしてもらった後、料金を支払っている際にXの姿が見えなくなったため、美容室の従業員らとともに探していたところ、美容室のある三階の北西側踊り場に設置されていた手すりの隙間...
《解 説》
本決定は、不動産の競売事件において、最低売却価額が低廉に過ぎるとして、売却許可決定に対する執行抗告がなされたのに対し、これを棄却したものである。
注目すべき点は、「民事執行法による不動産の売却は、目的物件の所有に対する事実上法律上の障害を解消させたうえで行うものとはされていな...
《解 説》
本件の抗告人は、地位確認、未払い賞与の支払を請求した訴訟事件の原告であるが、同訴訟事件に関し、原告の申請した証人等の採否に際しての訴訟指揮が不当であるなどとして、合議体を構成する甲、乙、丙の三名の裁判官の忌避を申し立てた。原審は、抗告人の主張する事実がいずれも忌避事由に当たらな...