《解 説》
一 A(申述人、抗告人)らは、被相続人の子であるが、被相続人が死亡したことをその当日(平成三年二月二一日)に知り、同年一〇月二九日相続放棄の申述の申立てをしたところ、原審が右申述を熟慮期間経過を理由に却下したため、家庭裁判所では相続放棄の申述の熟慮期間について一応審査するにとど...
《解 説》
本件は、未熟児網膜症訴訟についての最高裁判決である。本件請求は、昭和四七年九月に出生した未熟児Xが未熟児網膜症により失明したのは担当の小児科医二名及び眼科医Aの注意義務違反と病院の医療体制の不備によるものであるとして、Xら(患児及びその両親)が、同病院の経営者であるYに対して、...
《解 説》
一 Y株式会社は、Aが個人で経営していた家具販売店が法人成りして設立された同族会社であり、その資金繰りに窮したときは、Aやその長男のB、次男のXら一族で資金を提供して切り抜けてきた。そして、それらの資金提供はYの帳簿上借入金等の負債として計上されていた。その後、BはAに替わりY...
《解 説》
土地及びその地上建物の所有者が、土地と建物を共同担保として、抵当権を設定した後、旧建物を取り壊し、土地を賃貸した。そして、土地の賃借人が新建物を建築して、これに抵当権を設定した。土地と旧建物を抵当にとっていた債権者の申立てにより、土地と旧建物について競売が開始された。旧建物は、...
《解 説》
本件は、いわゆる関西水俣病訴訟において、原告患者側から、原告ら又はその被相続人ら(以下原告らという)の公害健康被害の補償等に関する法律に基づく水俣病認定手続において作成された検診録、疫学調査記録について、これを所持する熊本県知事又は鹿児島県知事に対して文書提出命令の申立をした事...
《解 説》
一 Xは、昭和四八年四月から、Yの設置する高等学校の専任教諭をしていたが、昭和五五年四月から、それまで担当していた学科の授業、クラス担任その他の校務分掌の一切を外され、昭和五六年四月以降はそれに加えて職員室内の席を他の教職員から一人だけ引き離される形で職員室の出入口に移動され、...
《解 説》
宗教法人Xは、もと名古屋市内に本堂及び境内地を有していたが、昭和六二年に責任役員会の決議により春日井市(Y市長)に境内地を移転することに決した。Xは同市内の土地三筆を購入することとなったが、地主の都合により六三年には一筆のみを購入し、他の二筆は境内地として賃借した後、平成元年に...
《解 説》
Y水産業協同組合においては組合員の資格要件として、定款で「この組合の地区内に住所を有し、かつ一年を通じて九〇日をこえて漁業を営みまたこれに従事する漁民」と規定しており、さらに組合員資格審査規程において、準組合員として三年ないし五年経過後に正組合員として認めること、正組合員は一世...
《解 説》
一 Xは、昭和五八年一〇月当時、愛知県立惟信高校の一年生として在学していたが、同月八日、体育として柔道の授業を受け、A教諭の指示でB講師と乱取りを行っていた際、Bが足払いをかけ、足を強く払ったため、Xの体が宙に浮き、激しく倒れたことにより、左上腕骨顆上骨折の傷害を負い、後遺症と...
《解 説》
一 Xは、昭和三五年以来プロレスラーとしての道を進み、平成元年七月の参議院議員選挙に立候補して当選し、スポーツ平和党の党首の地位にある者であるが、平成三年四月の東京都知事選挙に際し出馬する旨いったん表明したものの、後日出馬を断念した。
Yは、Xの右出馬断念に関し、日刊紙「東京...
《解 説》
一 本件は、信号機柱、電柱、道路案内標識柱に順次ビラをはったという事案で、これが軽犯罪法違反の包括一罪を構成するとともに、信号機柱と道路案内標識柱に対するビラはりが同時に大阪府屋外広告物条例違反の包括一罪を構成するとされたものである。時間的場所的に接続した行為であって、右のとお...
《解 説》
一1 事案は必ずしも明確でないが、郵便局保険外務員甲が簡易保険加入者等に対し高利・組合事業等虚偽の口実で保険の解約等をし、その解約金の高利等での預入を勧誘した場合において、外務員がこれらを不当領得したとき、その行為が郵便局の国の行う事業のための職務行為に該当するとして、国に対し...
《解 説》
Xは昭和四七年ころまで旅館を経営したのち、昭和六〇年末まで駐車場を経営してきた者で、昭和六二年一月に駐車場として使用してきた土地を代金約二億六〇〇〇万円で売却したが、その売却益に対する約六〇〇〇万円の課税額を投資によって捻出しようと考え、NTT株四八株を購入した。そして、同年八...
《解 説》
申立人は、約二年前、相手方との間で抵当権設定契約を結んだ後、抵当権設定の本登記や仮登記を取得しないままでいたところ、相手方が登記手続に応じない状態になったとして、不動産登記法三三条の仮登記仮処分を求めた。
裁判所は、一般論として仮登記仮処分の手続における申立人の疎明責任につい...
《解 説》
本件は、横田基地公害訴訟(控訴審判決・東京高判昭62・7・15本誌六四一号二三二頁、現在上告審係属中)の原告らが、仮執行宣言及び仮執行免脱宣言の付された控訴審判決に基づいて行った国に対する動産強制執行(郵便局における現金に対する執行)が不法行為を構成するとして、国が、右強制執行...
《解 説》
一 本誌本号には、現金買収の事案につき、供与者二名に対し無罪の言渡しをした東京高裁第三刑事部の判決が登載されているが、ここに紹介するのは、右判決の約二月後に同高裁第一一刑事部により言い渡された、同一事件の受供与者五名に対する無罪判決である。
二 本件においても、供与者側の事件...
《解 説》
一 Xは、昭和六三年四月当時満一八歳で、自動車修理会社の自動車整備工として勤務していた者であるが、友人であるY運転の乗用車に他の友人二名と同乗してドライブ中、Yの対向車線への滑走の過失による交通事故により右眼破裂等の傷害を負い失明するに至った。
そこで、Xは、Yに対し、自賠法...