《解 説》
船舶の衝突に伴う定期傭船者の損害賠償責任については、東京地判昭49・6・17本誌三一〇号一三七頁(フルムーン号事件)が、定期傭船者である昭和海運㈱の損害賠償義務を肯定していたことから、当時、海運業界に大きな波紋をもたらしたようである(中村眞澄「便宜置籍船の海難事故と定期傭船者の...
《解 説》
一 Xは「高速旋回式バレル研磨法」との発明の特許権者であり、Xの主張によると本件発明は断面形状を正六角柱あるいは正八角柱状にしたことにより、従来技術である断面正四角柱状のバレルを用いた高速旋回式バレル研磨法(第二引用例、米国特許明細書)に比して優れた研磨が行えるとのことであった...
《解 説》
一 本件は、被告人が保釈を許可されて釈放された後、弁護人から保釈制限住居変更の申立てがあり、原裁判所は職権を発動しなかったところ、これを不服とする弁護人から抗告の申立てがされた事案に関する抗告審の決定である。
本件申立ては、原裁判所がした当初の保釈許可決定に対して抗告を申し立...
《解 説》
本決定は、警察官である被疑者が、職務の執行に際してAにけん銃を発射し、その胸に弾丸を命中させて死亡させ、次いでBにけん銃を発射し、左大腿部に命中させて入院加療約三か月半を要する傷害を負わせたという事案について、Aの両親らとBがなした付審判請求に対するものである。すなわち、請求人...
《解 説》
一 X1は、京都市内の宅地建物取引業者であり、X2は、右業者の従業員であるが、昭和六〇年六月、京都市内の店舗等の賃貸の媒介に関し、入居者から保証金・権利金名下に数百万円を騙取するなどしたとして詐欺及び宅地建物取引業法違反の嫌疑を受け、X2は、同月二六日逮捕され、勾留の後宅地建物...
《解 説》
本件は鉄筋コンクリート造陸屋根六階建て区分所有建物の現物分割が求められた事案である。X(持分一〇〇分の一三)・Yら三名(持分一〇〇分の四〇が二名、一〇〇分の七が一名)の専有部分は同人らの所有土地上にあり、他に信用組合が専有部分を有しているが、その専有部分は同組合所有土地上に位置...
《解 説》
一 Xは、東京都内で書籍、雑誌の販売を業とする会社であるが、Xの正社員及びパートタイマーをもって結成された労働組合であるY1は、昭和五三年の賃上げ等の春闘要求の実現を目指して、同年四月から翌五四年四月にかけてストライキを実施した際、書店前で違法なピケッティングを行ったために書店...
《解 説》
一 本件は、不動産競売申立事件において、所有者以外の第三者が、差押後に、建物退去を命じる売却のための保全処分に違反して、執行妨害目的で競売建物を占有していることが、競売建物の価格を著しく減少する行為に該当するとして、執行官保管の売却のための保全処分が認められた事例である。
本...
《解 説》
一 本件①ないし③の事件は、平成四年の一年間に、破産者の免責許可の申立てに関する抗告審における仙台高裁の決定例である(同高裁では平成四年の一年間にこの分野について、他には実質判断を示した決定例はない。)が、いずれも免責不許可決定に対する抗告審の決定であり、しかも、抗告棄却の結論...
《解 説》
一 Xら五二九人は、大阪府堺市三宝町周辺に居住しあるいは営業するなどして平穏な生活を営んでいる住民であるが、暴力団山口組系黒誠会内赤心会の組長Y1の元妻Y2が同町内に所有する五階建ビルが、暴力団事務所として利用されることが明らかであり、その結果、暴力団には宿命ともいえる抗争事件...
《解 説》
一 Xは、昭和六一年八月、自宅として神奈川県海老名市所在の建物を購入し、以後家族とともに居住していたが、昭和六二年一月、福岡県にある関連会社へ出向することになったため、Yに対し、右建物を期間を定めて賃貸し、その後期間を二年として更新した。
ところが、Xは、平成二年に福岡から神...
《解 説》
一 X1は、平安学園の理事であるとともに平安高校の校長であり、X2は、平安高校の事務局長兼理事であった。また、Yは、平安高校の在学生の父親であり、浄土宗本願寺派の住職である。
平安高校は、かねてから竜谷大学の推薦入学指定校であったが、昭和六〇年三月、平安高校の教師が生徒の学習...
《解 説》
本件は、建物の賃貸借契約の解除を転借人に対抗できるかどうかが主要な争点となった事案である。
原告は、被告Aに対し本件建物を賃貸し、被告Aは、原告の同意の下に、被告Bに対し本件建物を賃貸した。被告Aは、被告Bが賃料を支払わないことを理由として、原告に対し賃料支払を遅滞したため、...
《解 説》
一 Xは、平成元年一〇月五日夜、Y1の運転する自動二輪車の後部座席に同乗して、名古屋市内を走行中、Y1の運転ミスにより道路上に転倒し、頭蓋骨骨折等の重傷を負った。
そこで、Xは、加害運転者Y1と加害車両の保有者Y2に対し、介護費、逸失利益、慰謝料等合計約一億一五〇〇万円の損害...
《解 説》
本件は、被告人が男女の性交や性戯等の場面を露骨に撮影したわいせつビデオのマスターテープ(以下「一次テープ」という。)五四巻とマスターテープからダビングしたテープ(以下「二次テープ」という。)六巻を所持した事案であるが、被告人は、二次テープ六巻については販売目的を認めたが、一次テ...
《解 説》
一 Xら二四名はE県の住民であるが(但し、うち二名については控訴提起段階で県外に転出)、E県知事Y1による靖国神社の春、秋の例大祭への玉串料、夏のみたま祭への献灯料(一三回分合計七万六〇〇〇円)、県遺族会(会長Y1)を介しての県護国神社の春、秋の慰霊大祭への供物料(九回分合計九...