《解 説》
一 公示送達によってされた第一審訴訟手続で敗訴した被告が、その後判決の言渡を知って控訴期間経過後に控訴した場合、控訴の追完を認めるかどうかの問題については、すでに最二小判昭36・5・26民集一五巻五号一四二五頁、最二小判昭42・2・24民集二一巻一号二〇九頁、本誌二〇五号八九頁...
《解 説》
一 Xは、夕食材料の販売事業を営むものであるところ、右事業に参加を予定していたAらから既払金の返還や損害賠償を求める三件の訴えを福岡地方裁判所小倉支部等に提起されていた。Xは、右三件の訴えについて、B弁護士に訴訟遂行を委任していたが、その後B弁護士が辞任したため、C弁護士を選任...
《解 説》
本件の事案を必要な限度で要約すると、Xは昭和五二年一〇月二三日に死亡した被相続人甲の非嫡出子で、遺言により認知されたが、その相続分は二七分の二である。昭和五八年三月三一日、Xと他の相続人間で、Xは相続財産評価額合計二九五八万二六九一円の土地及び同地上の立木、相続財産評価額〇円の...
《解 説》
一 一審判決を見ていないので断言はできないが、控訴審判決の争点についての判断から推測すると、原告は貸金業者からの借受債権について、逆にいえば貸金債権について、商事債権に当り商法五二二条に定める五年の短期消滅時効にかかり消滅したとして、債務不存在確認訴訟を提訴したようである。
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《解 説》
一 訴外Aは、昭和五八年一一月当時、防衛大学校一年に在学し、同校の校友会のパラシュート部に所属していたものであるが、同月二七日、群馬県下の利根川河川敷上空におけるパラシュート部の月例降下訓練に参加し、航空機からパラシュートを着用して降下したが、強風に流され、目標からはずれて利根...
《解 説》
一 本件は、正会員の三〇倍近い約五二〇〇〇人に会員権を乱売した「茨城カントリークラブ」の会員権購入者一九二名が、実質的なオーナ会社である「ケン・インターナショナル」に対して破産の申立てをした事案である。
「ケン・インターナショナル」は、昭和四七年二月、経営コンサルタント業務、ゴ...
《解 説》
一 本件は、バナナの熟成加工、販売業を営む男性(死亡当時五一歳)が盛夏期に外気と室内の温度差が二〇度近くある状況下でバナナの搬入作業をした後体調不良を訴えて入院したが翌日くも膜下出血により死亡した事故について、妻が夫の特別加入していた労災保険に基づいて、労働基準監督署に対し遺族...
《解 説》
一 第二次世界大戦中、日本の軍人又は軍属として動員され死傷した台湾住民及びその遺族が、日本人である軍人軍属の戦死傷者及びその遺族に対しては恩給法及び戦傷病者戦没者遺族等援護法により補償がされているところ、両法とも対象者を日本国籍を有する者に限定しているのは違憲であることなどを主...
《解 説》
船舶の衝突に伴う定期傭船者の損害賠償責任については、東京地判昭49・6・17本誌三一〇号一三七頁(フルムーン号事件)が、定期傭船者である昭和海運㈱の損害賠償義務を肯定していたことから、当時、海運業界に大きな波紋をもたらしたようである(中村眞澄「便宜置籍船の海難事故と定期傭船者の...
《解 説》
一 Xは「高速旋回式バレル研磨法」との発明の特許権者であり、Xの主張によると本件発明は断面形状を正六角柱あるいは正八角柱状にしたことにより、従来技術である断面正四角柱状のバレルを用いた高速旋回式バレル研磨法(第二引用例、米国特許明細書)に比して優れた研磨が行えるとのことであった...
《解 説》
一 本件は、被告人が保釈を許可されて釈放された後、弁護人から保釈制限住居変更の申立てがあり、原裁判所は職権を発動しなかったところ、これを不服とする弁護人から抗告の申立てがされた事案に関する抗告審の決定である。
本件申立ては、原裁判所がした当初の保釈許可決定に対して抗告を申し立...
《解 説》
本決定は、警察官である被疑者が、職務の執行に際してAにけん銃を発射し、その胸に弾丸を命中させて死亡させ、次いでBにけん銃を発射し、左大腿部に命中させて入院加療約三か月半を要する傷害を負わせたという事案について、Aの両親らとBがなした付審判請求に対するものである。すなわち、請求人...
《解 説》
一 X1は、京都市内の宅地建物取引業者であり、X2は、右業者の従業員であるが、昭和六〇年六月、京都市内の店舗等の賃貸の媒介に関し、入居者から保証金・権利金名下に数百万円を騙取するなどしたとして詐欺及び宅地建物取引業法違反の嫌疑を受け、X2は、同月二六日逮捕され、勾留の後宅地建物...
《解 説》
本件は鉄筋コンクリート造陸屋根六階建て区分所有建物の現物分割が求められた事案である。X(持分一〇〇分の一三)・Yら三名(持分一〇〇分の四〇が二名、一〇〇分の七が一名)の専有部分は同人らの所有土地上にあり、他に信用組合が専有部分を有しているが、その専有部分は同組合所有土地上に位置...
《解 説》
一 Xは、東京都内で書籍、雑誌の販売を業とする会社であるが、Xの正社員及びパートタイマーをもって結成された労働組合であるY1は、昭和五三年の賃上げ等の春闘要求の実現を目指して、同年四月から翌五四年四月にかけてストライキを実施した際、書店前で違法なピケッティングを行ったために書店...
《解 説》
一 本件は、不動産競売申立事件において、所有者以外の第三者が、差押後に、建物退去を命じる売却のための保全処分に違反して、執行妨害目的で競売建物を占有していることが、競売建物の価格を著しく減少する行為に該当するとして、執行官保管の売却のための保全処分が認められた事例である。
本...