《解 説》
一 本件は、姉弟(共同相続人の一部)間の争いであり、資金調達の関係で土地買受人が誰かが相続財産の取得部分と関連して争われた事例で(売主との関係ではない。おそらくは売主との関係では買受名義人となろうか)、主要な争点に必ずしも的確な証拠がないために、事実上の推定を活用して事実を認定...
《解 説》
一1(1) 本件は、本件土地所有者甲の娘乙・その夫丙が、甲に無断で、不動産登記法四四条所定の保証書を利用して、甲から乙あての売買による本件土地の所有権移転登記(この土地移転登記を以下「本件登記」という)を経由した(但し本件建物について無断で保存登記)が、乙は、X(本件原告・被控...
《解 説》
一 本件のうち甲事件は、訴外宮崎県知事から本件共同漁業権(あゆ漁業等を内容とする内共第四号第五種共同漁業権)の共有請求の認可を受けたX組合が、既に宮崎県知事から本件共同漁業権の免許を受けているY1、Y2、Y3の各組合に対して、本件共同漁業権の共有確認及び本件共同漁業権の行使に関...
《解 説》
一 X1は、昭和六三年四月当時、千葉県松戸市内の中学校の特殊学級に在籍していた者であるが、同月一二日、校外学習として実施されたフィールドアスレチックに参加し、「高台のぼり」と呼ばれる遊具に登ったのち丸太を伝って降りようとした際、バランスを失って地上に落下し、脊髄損傷の傷害を負っ...
《解 説》
一 事案の概要は次のとおりである。不動産競売において、最低売却価額を四一二七万円、保証の額を八二五万四〇〇〇円と定めたうえ、期間入札が実施されたところ、異議申立人が入札書を差し出したが、その入札書には、入札価額の欄に八三〇万円、保証の額の欄に四一二七万円と記載されていた。執行官...
《解 説》
一 Xは、自己名義で開設されている総合預金口座の普通預金について、預金通帳と印鑑を所持してY銀行に赴き払戻請求をしたが、Y銀行は、Xの前夫Aから支払差止め依頼を受けているとして預金の払戻しを拒絶した上、XとAとが預金の帰属を争っているので預金者を知ることができないとしてその弁済...
《解 説》
一 Aは、知人Bに代筆させて、自己の財産を全て孫のX(原告)に委譲する旨の条項を含む「遺言書」と題する書面を作成し、作成から約七年の後に死亡したが、A所有の不動産については、Aの死亡直前に、贈与や売買を原因としてYら(被告)への所有権移転登記がされていた。本件書面は、Aの自筆に...
《解 説》
本件事案の概要は本判決の「事案の概要」欄に記載のとおりであるが、ここでは、労基法三九条五項所定の計画年休協定の効力について判断を示したものとして紹介したい。
労基法三九条五項は、同法の昭和六二年法律第九九号による改正の際に追加されたものであり(昭和六三年四月一日から施行)、使...
《解 説》
本判決は、暴力団道仁会A一家と山口組系F一家との対立抗争に起因して、甲一家組員を中心に、これに道仁会内の他の組の組員が加わって敢行した、一連の殺人未遂事件二件、殺人事件一件(ほかに、この抗争事件とは無関係の暴力行為等処罰に関する法律違反、覚せい剤取締法違反事件も併合審理されてい...
《解 説》
本件は、被相続人Aの相続人である原告のX1ないしX4と被告のYとの間で、Aの創業にかかる運送業を目的とする有限会社Bの出資持分の帰属が争われた事案である。X1ないしX4は、当初、B社の全出資持分である八万五〇〇〇口がAの遺産であるとして、その確認を求めたが、弁論終結間際になって...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和六三年一月当時、建設関係のビル型枠工事を主な業務とする工務店に勤務していた者であるが、同月一〇日、同僚の運転する普通貨物自動車に同乗して作業現場に向う途中、センターラインを越えて進行してきた大型貨物自動車と衝突し、脳挫傷、頭蓋骨骨折等の傷害を負った。
そして...
《解 説》
一 本件は、精神疾患で入院治療中の者が自殺したことにつき、病院の責任が争われた事例である。
訴外A(判文に年齢は現われていないが、認定事実中に「若い子」という表現がある。)は昭和五二年以降幾つかの精神病院に入院したことがあり、昭和五六年一二月以降は被告・被控訴人Yが運営する病...
《解 説》
本判決は、いわゆる「沖縄ゼネスト警察官死亡事件国家賠償請求訴訟」の差戻後の控訴審判決である。
一 重複をいとわずに同事件の内容と訴訟経過の概要を示すと、以下のとおりである(詳しくは、後記各審級における判決文を参照)。
1 昭和四六年一一月一〇日、那覇市内で「沖縄返還協定批...
《解 説》
一 本件は、いわゆるベトナム難民を偽装して日本に入国した中国人女性の原告が、その際受けた出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)による退去強制手続の適法性を争った事案である。
なお、原告は、いわゆる天安門事件に発展した中国の民主化運動に参加し、中国政府の追及を逃れる...
《解 説》
一 本件はアスピリン喘息(アスピリン等酸性解熱鎮痛剤によって発作が誘発される喘息)の患者が酸性鎮痛剤(「ボルタレン」)によるアナフィラキシー様ショックによって死亡したという事案で、原審は広島地判平2・10・9本誌七五〇号二二一頁である。
昭和五六年八月、当時四二才であったA女...
《解 説》
一 事案の概要等
1 本決定は、競売建物の所有者以外の第三者が執行妨害を目的として、競売建物に入居したことが、競売不動産の価値を著しく減少する行為に該当し、また、右第三者は所有者の占有補助者であると認定したうえで、同人を相手方とする建物退去の保全処分を認めたものである。
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