《解 説》
本件は、XがYから土地を二〇〇万円で買い受けたとして、Yに対し所有権移転登記手続及び土地の明け渡しを求めた事件である。原審は最初の口頭弁論期日にYが出頭しなかったとして、いわゆる欠席判決をした。最初の口頭弁論期日の呼出状、訴状副本及び答弁書催告書は昭和五七年三月二四日午後七時四...
《解 説》
一 本件は、交通事故の被害者の自殺につき、事故加害者の責任が認められた事例である。
訴外Aは昭和五九年七月、乗用車で静岡県内を走行中に、センターラインオーバーの対抗車(運転者Y1、運行供用者Y2)に衝突され、頭部打撲、腹部打撲、頸部打撲等の傷害を負った。Aはその後一月半程入院...
《解 説》
一 本件は、エア・ホステス(いわゆるスチュワーデス)から地上職への配転命令の効力が争われた事案であり、原告は、①雇用契約上、原告の職種を女子客室乗務員の業務に限定する職種限定の合意があったこと、②本件配転命令が権利の濫用として無効であることを理由として、本件配転命令の無効を主張...
《解 説》
一 抵当不動産の処分行為が詐害行為に当たる場合の取消しの範囲及び原状回復の方法について、最高裁は、詐害行為後に右抵当権が消滅したときは、一部取消し・価格賠償により(最大判昭36・7・19民集一五巻七号一八七五頁、本誌一五三号六一頁、最三小判昭40・10・15裁判集民八〇号七九一...
《解 説》
本件被告人は、夏の早朝、大阪市内のマンション二階の一人暮らしの女性(当時一九歳)の居室に不法侵入して、同女を強姦したとして起訴された。本件では、被害の事実自体は明白であり、争点は被告人と犯人との同一性である。この点に関しては、客観的証拠は皆無であり、被害者の犯人識別供述と被告人...
《解 説》
元本額八〇〇万円の根抵当権の対象となっている不動産を譲渡担保により取得したYは、根抵当権者Xが申し立てた競売について、落札価額二七四八万円(最低売却価格は二七〇八万円)による売却許可決定が言い渡された日の三日後に根抵当権の極度額相当を供託し、民法三九八条の二二に基づく根抵当権消...
《解 説》
一 所得税法は、資産の譲渡による所得を譲渡所得と定めている(三三条一項)が、たな卸資産の譲渡による所得は譲渡所得から除外され(同条二項一号)、事業所得になるものと解されている。本件は、不動産業者であるXが自己所得の本件土地の譲渡による所得は分離譲渡所得であるとして申告をしたのに...
《解 説》
一 Xは、不動産取引を業とする会社であるが、平成元年一〇月、Yらから、Yらの共有にかかる兵庫県三田市の山林を、代金一億八七一八万円で買受け、手付金二〇〇〇万円を支払い、国土利用計画法に基づく届出をして、「不勧告通知書」を受領したので、Yらに対し、右山林について所有権移転登記手続...
《解 説》
XはYとの間で、昭53年7月協議離婚をした際、三人の子供の養育費について「①Xが三人の子の親権者となり、成人に達する日まで養育する。②YはXに対し、三人の子の大学進学についての教育費全額(授業料を含む)を負担し、かつ、この養育費として月額五〇万円を払う。③物価の変動に伴い、Xが...
《解 説》
一 本件は、Y(債務者)が、宮城県伊具郡丸森町の標高約二二〇ないし二五〇メートルの高台に、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず、陶磁器くず及び建設廃材(いわゆる安定五品目)を埋立て処分する産業廃棄物最終処分場(以下「本件処分場」という。)を設置し、使用操業を予定して...
《解 説》
一 本判決は、信用取引の顧客であるインド国籍の投資家Xが、Y証券会社の従業員の無断売買によって生じた差損等に相当する金員をXの信用取引口座から引き落とし処理されたとして、Yに対して右引き落とし処理にかかる金員と同額の損害賠償を請求する事案につき、証券会社の従業員が顧客の信用取引...
《解 説》
一 事案の概要等
1 本件は、競売建物の所有者が執行妨害を目的として、競売建物に内外装工事をしたうえ、これを第三者に賃貸して入居させようとしたことが、競売不動産の価値を著しく減少するおそれのある行為に該当するとして、まず、工事禁止及び占有移転禁止の保全処分(①事件)が、次い...
《解 説》
Xら四三名は、仏教徒、クリスチャン、あるいは無信仰者であるが、昭和六〇年八月一五日、靖国神社に当時の中曽根内閣総理大臣らが公式参拝したことによって信教の自由、宗教的人格権、宗教的プライバシー権、平和的生存権を侵害されたと主張し、国家賠償法一条に基づき、Y(国)に対し、それぞれ慰...
《解 説》
一 本件は、被告人(女性)がデパートで数十分の間にブラウス等を次々と万引きした事実について、被告人が本件各犯行当時てんかんに基づく心神耗弱状態にあったか否かが争点となり、未だその程度にまでは達していない旨の鑑定結果が得られたが、裁判所は、被告人を継続的に診察していた主治医の証言...
《解 説》
地方公共団体と民間企業とが共同出資をして新たに会社を設立し、この会社によって地域開発等の公益性のある事業を推進する、いわゆる第三セクター方式による事業運営は、今日、全国的に広く普及しているところである。この場合、地方公共団体が第三セクターに対して、とくにその設立の初期の段階にお...
《解 説》
一 事案の概要は以下の通りである。
原告Xは、昭和六〇年当時三九歳であったが、四月から頭痛、眼痛に襲われ、被告Yが運営する病院の脳神経外科を受診した。その後、同科で検査と治療を受け、またXは自分で同じY病院内の眼科、耳鼻咽喉科でも受診していたが好転せず、同年六月には突然左眼の...