《解 説》
一 本件事案は、次の通りである。X(原告、控訴人)は、アメリカ合衆国ミネソタ州法に準拠して設立された会社であり、Y(被告、被控訴人)は、日本国の商法に準拠して設立された株式会社であるところ、Yは、Xに対し、継続的にナイロン皮膜を売り渡していたが、昭和六二年に、Xは、右売買契約の...
《解 説》
本判決は横浜地判平3・9・30本誌七八一号一四四頁の控訴審判決である。事案の概要、原判決の内容の詳細は原判決のコメントを参照されたいが、一〇階建のビルの内のワンルームタイプ専用部分が事業所税の対象となる「事業所用家屋」に当たるか否かが争いとなり、原判決は該当しないとしてXの請求...
《解 説》
Xは愛知県民であるが、愛知県公文書公開条例に基づき、会計検査院の局長が愛知県知事Yに対して発した「実地検査の結果について」と題する文書三通の公開を求めた。文書の内容は、会計検査院の局長からYに対し、児童扶養手当の支給、地籍調査・土地改良等の事業、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子...
《解 説》
本件は、ディスコの照明装置の電動昇降装置に使用されていたローラーチェーンが疲労破断して照明装置が落下し、死者三名、負傷者一三名を出した事故に関し、電動昇降装置を設計・製作し据え付ける業務に従事した被告人に対し、業務上過失致死傷罪の成立を肯定した事案である。
本判決は、まず、ロ...
《解 説》
甲市とY2らは、昭和五九年五月一五日、甲市所有の本件土地七八二五平方メートルとY2ら所有のY2らが宅地造成中の区域内の土地二万二六一八平方メートルを宅地造成したうえ交換するとの協定を締結し、その旨の協定書覚書を取り交わした。これに基づき、Y2らは現在本件土地を占有し、また、平成...
《解 説》
一 本判決は、米軍の家族住宅建設をめぐるいわゆる池子訴訟の控訴審判決であり、その事案の概要は、右建設の事業主体であるY(国、被告・被控訴人)の行政機関A(横浜防衛施設局長)が、右事業に伴い準用河川である池子川の洪水対策のため仮設調整池の設置を計画し、工事を開始したところ、右河川...
《解 説》
一 Xは、前橋市内でアパート経営と金融業を営んでいたものであるが、昭和六三年七月、海外旅行に赴いたグアム島のホテルの室内において、やしの実を切断中包丁により左手拇指を切断したと主張し、保険会社八社Y1~Y8に対し、総額約六五〇〇万円の傷害保険金を請求した。
これに対し、Yらは...
《解 説》
Xら(選定当事者)は、平成三年四月に施行された千葉県議会議員選挙の市川市選挙区における選挙人であるが、右選挙当時の県条例の議員定数配分規定による議員一人当たりの人口の最大較差が匝瑳郡と柏市とで一対三・四八であったのは、投票価値の平等保障を侵害し、公職選挙法一五条七項に違反するも...
《解 説》
一 事案の概要
原告らは、別件の民事訴訟において、長野市に対し地附山地滑りにより被った損害の賠償を求めているところ、平成二年三月七日、損害額の立証準備のため、長野市公文書公開条例五条一項に基づき、付近の標準宅地の災害前(昭和六〇年七月一日)の時点における価格と災害後(昭和六一...
《解 説》
本件は千葉地判平3・9・13本誌七八三号九五頁の控訴審判決である。原判決は地方自治法二三八条の四に基づくガス制圧器(原判決では「整圧器」と記載されている)設置等のための使用許可処分について、①「行政事件訴訟法九条にいう『法律上の利益を有する者』とは、当該処分により自己の権利若し...
《解 説》
本件は、従姉弟であるYから平1・11・24贈与を受けたと主張するXが、Yに対して契約金の支払いを請求したケースである。Yからの贈与の趣旨は、親戚でもあり親しくしていた時期もあること等からXに先祖を供養してもらう代わりに財産を贈与するというものであったようである。これに対して、Y...
《解 説》
一 本件は、日蓮正宗に関する一連の「改革」運動を巡る一部僧侶に対する懲戒処分に関連する訴訟であり、同種の訴訟は全国各地の裁判所に相当数係属している筈で、一連の判決の控訴審段階での裁判例であり、この一連の裁判例の早いものについては、すでに最高裁の裁判例(①最判昭和六一年(オ)第九...
《解 説》
一 本件は、深夜の小学校校庭敷地内の公衆電話ボックス内で一七歳の被害者を捕捉した被告人が、右ボックス内から同女を引きずり出し、コンクリート製階段に押し倒して強姦しようとしたが、同女から「やめて下さい。」などと哀願されたのを契機として犯行を断念したという事案である。右事実関係から...
《解 説》
本件は、XがYから土地を二〇〇万円で買い受けたとして、Yに対し所有権移転登記手続及び土地の明け渡しを求めた事件である。原審は最初の口頭弁論期日にYが出頭しなかったとして、いわゆる欠席判決をした。最初の口頭弁論期日の呼出状、訴状副本及び答弁書催告書は昭和五七年三月二四日午後七時四...
《解 説》
一 本件は、交通事故の被害者の自殺につき、事故加害者の責任が認められた事例である。
訴外Aは昭和五九年七月、乗用車で静岡県内を走行中に、センターラインオーバーの対抗車(運転者Y1、運行供用者Y2)に衝突され、頭部打撲、腹部打撲、頸部打撲等の傷害を負った。Aはその後一月半程入院...
《解 説》
一 本件は、エア・ホステス(いわゆるスチュワーデス)から地上職への配転命令の効力が争われた事案であり、原告は、①雇用契約上、原告の職種を女子客室乗務員の業務に限定する職種限定の合意があったこと、②本件配転命令が権利の濫用として無効であることを理由として、本件配転命令の無効を主張...
《解 説》
一 抵当不動産の処分行為が詐害行為に当たる場合の取消しの範囲及び原状回復の方法について、最高裁は、詐害行為後に右抵当権が消滅したときは、一部取消し・価格賠償により(最大判昭36・7・19民集一五巻七号一八七五頁、本誌一五三号六一頁、最三小判昭40・10・15裁判集民八〇号七九一...