《解 説》
一 本件は、恐喝罪の有罪判決により懲役刑に処せられた者が、被害者が虚偽の被害届及び偽造証拠を捜査機関に提出したことにより真実は無罪であるのに有罪判決を受けて刑事処罰を受けたとして、右刑事事件の被害者に対して別訴で民事上の損害賠償を求めた事件である。
二 類似の事案としては、福...
《解 説》
本件X(国)が、いわゆる日本赤軍日航機ハイジャック事件の犯人の一人であるY(東京拘置所在監中)に対して、犯人らに支払った一六億円余等の金員支払いを請求するケースである。もっとも、Xは同趣旨の請求の確定判決を得ており、右確定判決による損害賠償請求権の消滅時効を中断するために本訴が...
《解 説》
Xらは本件土地区画整理事業の施行地内の土地所有者である。YがXら所有の従前地につき仮換地をした後、事業区域内の全路線価図の閲覧を請求したがYが拒否したので、仮換地及び閲覧拒否の取り消し並びに全路線価図を閲覧させる(義務付け)訴訟を提起した。
本判決は、路線価図の閲覧を求める訴...
《解 説》
一 Xは、昭和九年一〇月、酒類の醸造、販売等を目的として設立された合名会社であり、現在の社員は、訴外A及びYの二名であるが、(一)Yは、昭和二二年から昭和五一年まで検察官の職にあって会社の業務を執行しなかったこと、(二)Yは、昭和五六年五月、Xの解散の訴えを提起し、これに敗訴す...
《解 説》
一 Xはアメリカ人であるが、日本国内で覚せい剤取締法違反、関税法違反の罪により起訴され、第一審において懲役七年の刑の言渡しを受けて控訴したが、控訴は棄却され、控訴審での訴訟費用の負担を命ぜられた。右判決の確定後、高検の検察事務官はXに訴訟費用として一六万四五五〇円を納付するよう...
《解 説》
一 本件建物は、昭和一一年頃建築された木造スレート葺の工場用建物であって、昭和二三年頃、O会社からX(相手方、申立人)の代表者Nが譲り受け、それと同時に、右Xの代表者Nは、本件建物の敷地である本件土地を、その所有者のYら(抗告人、被申立人)の先代S(Sは昭和三二年九月五日死亡し...
《解 説》
一 課税処分における所得の推計方法にはいくつかの類型がある。本訴においてYが主張した推計方法は、反面調査等により把握したXの売上金額に、類似同業者の売上金額に対する売上原価及び一般経費(併せて「売上原価等」という)の率の平均値を乗じた金額をXの売上原価等とし、これに特別経費を個...
《解 説》
本件は、公立の保育所に保母として勤務し、保育業務に従事していたX(原告・被控訴人)が保育業務による過労が原因で頚肩腕障害、腰痛症に罹患したとしてY(被告・控訴人)に公務災害の認定の請求をしたところ、公務外との認定処分を受けたので、審査請求等を経てその取消しを求めた事案である。
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《解 説》
本判決は、トルエンを含有するシンナーをみだりに吸入する目的で所持したとの公訴事実について、被告人が吸入目的でトルエンを含有するシンナーを所持したという客観的事実は優にこれを認めることができるが、被告人には当該シンナーにトルエンが含有されているとの確定的または未必的な認識があった...
《解 説》
一 A(日本国有鉄道)から本件宿舎の所有権を承継したX(東日本旅客鉄道株式会社)は、本件宿舎に居住するY1ないしY9に対し、YらはAの職員として国鉄公舎基準規程(以下「公舎基準規程」という。)に基づき本件宿舎の利用権を有していたが、Y1については最高裁においてAがY1に対してな...
《解 説》
本件は、出版業を営むY会社に雇用されていたXが、Yに対して雇用契約上の地位の確認並びに時間外賃金及び冬季賞与の支払を求めた事案である。XY間においては、雇用関係についての争いを経て、YがXにこれまでの残業料見合い分として一定額を支払うこと、Xが一定の期日限り退職すること等を内容...
《解 説》
一 訴外Aは、昭和三五年三月、訴外Bに対し、その所有の本件土地を非堅固建物の所有を目的として、期間五年、賃料一か月二四四五円の約定で賃貸した。
そして、Xは、昭和三九年九月、Aの死亡による相続により賃貸人としての地位を承続し、Y1は、昭和五五年三月、右借地上の建物の遺贈を受け...
《解 説》
本件は、五五歳で、特に身体に悪いところがなく、健康に自信を持っていたコンテナ船の船長が航行中船橋において突然昏倒し、急性心不全により死亡したことが職務上の事由によるものであるかどうかが争われた事案である。急性心不全は、本判決も認定しているように、医学的にはその病態を表す診断名で...
《解 説》
本件は、藤沢市に住所を有すると主張するX(国籍アメリカ合衆国、女性)が、離婚した元の夫Y(国籍アメリカ合衆国、バージニア州に居住)に対して、悪意の遺棄に基づく慰謝料の支払い等を請求したケースである。Yは、XYは一九八五年アメリカ合衆国で婚姻し、一九九〇年バージニア州で離婚してい...
《解 説》
一 事案の概要は、次のとおりである。
Tは、大正時代に日本に移住し約六〇年間にわたって日本に居住していたソ連国籍のロシア人であるが、いったん自己の所有する土地建物(本件不動産)をソ連(X)に遺贈する旨の遺言(第一の遺言)をした。しかし、その後、Tは、晩年病気治療をしてもらった...