《解 説》
一 いわゆる「ロス疑惑」にからんで発表された数多くの記事のひとつである本件記事によって、Xが、その名誉を毀損され一五〇〇万円相当の損害を受けたとして、Yに対し、右損害額のうち五〇〇万円の賠償を求めたのが本件事案である。本判決は、本件記事がXの名誉を毀損するものであることを認め、...
《解 説》
本件は、原告の商標権に基づく損害賠償請求に対して、被告から、先使用権の抗弁及び原材料表示の抗弁が主張されている事案である。そのうち、先使用権の抗弁は、米国法人の阻外H社は、バッグ類の新素材を開発して、これを「BATTUE CLOTH」と名付け、訴外S社を輸入総代理店として、不正...
《解 説》
本件は、原告が、自分の購入した宝くじが二等一〇〇〇万円に当せんしたが、その後、その当せん証票(当たりくじ)が盗まれたので、現在これを所持していないと主張して、宝くじの受託銀行に対し、当せん金の支払を求めた事案である。
原告は、本件当せん証票が一〇枚の連番で発売されたものであり...
《解 説》
一 本件は、恐喝罪の有罪判決により懲役刑に処せられた者が、被害者が虚偽の被害届及び偽造証拠を捜査機関に提出したことにより真実は無罪であるのに有罪判決を受けて刑事処罰を受けたとして、右刑事事件の被害者に対して別訴で民事上の損害賠償を求めた事件である。
二 類似の事案としては、福...
《解 説》
本件X(国)が、いわゆる日本赤軍日航機ハイジャック事件の犯人の一人であるY(東京拘置所在監中)に対して、犯人らに支払った一六億円余等の金員支払いを請求するケースである。もっとも、Xは同趣旨の請求の確定判決を得ており、右確定判決による損害賠償請求権の消滅時効を中断するために本訴が...
《解 説》
Xらは本件土地区画整理事業の施行地内の土地所有者である。YがXら所有の従前地につき仮換地をした後、事業区域内の全路線価図の閲覧を請求したがYが拒否したので、仮換地及び閲覧拒否の取り消し並びに全路線価図を閲覧させる(義務付け)訴訟を提起した。
本判決は、路線価図の閲覧を求める訴...
《解 説》
一 Xは、昭和九年一〇月、酒類の醸造、販売等を目的として設立された合名会社であり、現在の社員は、訴外A及びYの二名であるが、(一)Yは、昭和二二年から昭和五一年まで検察官の職にあって会社の業務を執行しなかったこと、(二)Yは、昭和五六年五月、Xの解散の訴えを提起し、これに敗訴す...
《解 説》
一 Xはアメリカ人であるが、日本国内で覚せい剤取締法違反、関税法違反の罪により起訴され、第一審において懲役七年の刑の言渡しを受けて控訴したが、控訴は棄却され、控訴審での訴訟費用の負担を命ぜられた。右判決の確定後、高検の検察事務官はXに訴訟費用として一六万四五五〇円を納付するよう...
《解 説》
一 本件建物は、昭和一一年頃建築された木造スレート葺の工場用建物であって、昭和二三年頃、O会社からX(相手方、申立人)の代表者Nが譲り受け、それと同時に、右Xの代表者Nは、本件建物の敷地である本件土地を、その所有者のYら(抗告人、被申立人)の先代S(Sは昭和三二年九月五日死亡し...
《解 説》
一 課税処分における所得の推計方法にはいくつかの類型がある。本訴においてYが主張した推計方法は、反面調査等により把握したXの売上金額に、類似同業者の売上金額に対する売上原価及び一般経費(併せて「売上原価等」という)の率の平均値を乗じた金額をXの売上原価等とし、これに特別経費を個...
《解 説》
本件は、公立の保育所に保母として勤務し、保育業務に従事していたX(原告・被控訴人)が保育業務による過労が原因で頚肩腕障害、腰痛症に罹患したとしてY(被告・控訴人)に公務災害の認定の請求をしたところ、公務外との認定処分を受けたので、審査請求等を経てその取消しを求めた事案である。
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《解 説》
本判決は、トルエンを含有するシンナーをみだりに吸入する目的で所持したとの公訴事実について、被告人が吸入目的でトルエンを含有するシンナーを所持したという客観的事実は優にこれを認めることができるが、被告人には当該シンナーにトルエンが含有されているとの確定的または未必的な認識があった...
《解 説》
一 A(日本国有鉄道)から本件宿舎の所有権を承継したX(東日本旅客鉄道株式会社)は、本件宿舎に居住するY1ないしY9に対し、YらはAの職員として国鉄公舎基準規程(以下「公舎基準規程」という。)に基づき本件宿舎の利用権を有していたが、Y1については最高裁においてAがY1に対してな...