《解 説》
一 相続税法二二条は、相続税の課税価格となる相続財産の価額を、特別の定めのあるものを除く外、相続開始時における当該財産の時価によるべきものと規定し、同法二三条以下において、地上権(借地権を除く)、永小作権などの評価方法について規定しているが、借地権を含むその他の財産については特...
《解 説》
本件は、ゴルフ会員権に関し、支払催告のない除名の効力及び会員権の消滅時効が争点となった事案である。
ゴルフ会員権には、社団法人社員会員権、株主会員権、預託金会員権の三種類のものがあるが、わが国では預託金会員権が圧倒的に多い(大西武士・判例金融取引法(上)五四三頁以下、同(下)...
《解 説》
一 本件は、簡易宿泊所に止宿する被告人が、同宿者とドアの開け閉めを巡って口論となり、所携の改造シャープペンで同人の首筋を突き刺して傷害を負わせたという単純なものであるが、被告人の責任能力について、弁護人から、被告人は本件犯行当時精神分裂病に罹患しており心神喪失状態にあったとの主...
《解 説》
XらはA市の住民であるが、A市の市長Yが昭和五八年一月から一〇月までの間、市職員全員に対し一律に昇給期間を短縮して昇給発令したことを給与条例主義(地方自治法二〇四条の二、地方公務員法二四条六項・二五条)に違反すると主張して損害賠償を求める住民訴訟を提起した。Yは、右昇給期間短縮...
《解 説》
地方税法は、固定資産につき、これを学校法人がその設置する学校において直接教育の用に供している場合には、固定資産税を課さないこととしている(都市計画税も同様)。
しかし、同法は、固定資産を有料で借り受けた者が、これを右の用途に供する場合には、その固定資産の所有者に固定資産税を課...
《解 説》
一 本件は、離婚した前妻Aを登山ナイフや牛刀で刺して殺害したYに対し、Aの父と母と兄が不法行為に基づく損害賠償を請求した事案である。主要な争点は、(1)Aの兄に固有の慰謝料請求権があるか、(2)Aの父が捜査協力や刑事裁判傍聴のために上京するのに要した旅費、宿泊費等の費用は、本件...
《解 説》
一 本件は、昭和六一年七月二〇日和歌山県下で行われたいわゆるトライアスロンにおける水泳競技において競技者が溺れ、後日死亡したという事故について、主催者の安全配慮義務が問われたものである。
右競技大会は、Yほかが主催する水泳二・〇キロメートル、自転車走三〇・一キロメートル及び長...
《解 説》
一 Xは、昭和五四年から、Yに建物を賃貸しているものであるが、Yに対して、昭和五六年一月分から六月分までの賃料の支払を求めて、本訴を提起した。これに対し、Yは、抗弁として、右賃料をXの受領拒否を理由として供託したと主張した。
Xは、Yの供託は、現実の提供をせずになされたもので...
《解 説》
一 本件事案の概要は次のとおりである。X弁護士は昭和六二年二月五日午後三時ころ、愛知県中川警察署に赴き、競馬法違反で勾留中の被疑者との接見を申し出たところ、一旦は被疑者との接見が開始されたが、同被疑者については担当のA検察官によりいわゆる一般的指定がなされていたため、一、二分後...
《解 説》
一、失火責任法は、失火による不法行為責任を重過失の場合に限定する。しかし、失火の結果として債務不履行となる場合には、この債務不履行から生じた損害の賠償責任が生ずることになる。かくて、賃借人の失火による賃借建物の焼失は賃借物の返還債務の不履行として損害賠償債務を生ずる(最二小判昭...
《解 説》
一 X1は、昭和五六年三月、Y1の経営する「ピープルスポーツクラブ新座」の会員として入会し、体育実技の指導を受けていた者であるが、昭和六二年一〇月一七日、右クラブの従業員Y2の指導で鉄棒のトカチェフ(背面開脚後ろ飛び越し)を練習中、飛び越し時に大腿部を鉄棒のバーに接触させて鉄棒...
《解 説》
一 本件は、保健所の嘱託医に幼児の結核所見を看過した過失が認定された事例である。
原告X1は、二才であった昭和五七年初夏頃、同居していた祖父が結核に罹患して入院したこから、保健婦の指導で保健所の家族検診を受けることになり、同年六月中頃に被告Yが設置運営する川口保健所でツベルク...
《解 説》
Xは、昭和五九年一〇月、登記簿上倉庫と表示されていた本件建物二棟を取り壊したうえ、その敷地である本件土地をAに譲渡したが、同年分の所得税の確定申告において、租税特別措置法(昭和六二年法律第九六号による改正前のもの)三五条一項の適用を求め、分離長期譲渡所得金額は零円であると主張し...
《解 説》
一 XはYに、東京都新宿区西新宿所在の土地を堅固建物所有目的として賃貸した。昭和六〇年五月一日以降の賃料は月額一一九万八五〇〇円であったが、Yが昭和六一年七月に本件土地上に建っていた建物を取り壊して地下三階付五階建のビルを建てたため、本件土地は小規模住宅用地としての税金の対象か...
《解 説》
Yは商品先物取引の受託業務等を目的とした株式会社で、XはYとの間に昭和六一年四月から九月までの間、ニューヨーク取引所におけるコーヒーの商品取引委託契約を締結し、その差損益残高勘定で差損金・帳尻不足金を生じた。XはYに昭和六一年四月交付した取引委託保証金三〇〇万円及び同月中更に交...
《解 説》
一 本件は、競売建物の所有者が、競売建物を取り毀そうとしたことが、競売不動産の価値を著しく減少するおそれのある行為に該当するとして、競売建物の取り毀しを禁止する保全処分が認められたものである。
申立書等によると、本件事案の概要は次のとおりである。本件競売申立債権者は、金融業を...
《解 説》
本件被相続人Aは子であるYら三人に三分の一の割合で相続させる旨の遺言をしており、相続が開始した(相続財産は土地及び預金)が、Aの子のうち残る一人Bの代襲相続人であるXらは、遺留分減殺請求をした。ところが、Yらは、その翌日に土地を第三者に売却してしまった。そこで、Xらが、Yに対し...
《解 説》
一 本件は、暴力団関係者の勢威を利用して行った不動産競売手続に関する執行妨害行為について競売入札妨害罪が成立するとされた事例で、①がその第一審判決、②が控訴審判決である。
本件は、競売不動産について所有権を取得した会社の従業員が、同会社の実質的経営者と共謀のうえ、右不動産に暴...