《解 説》
一 事案の概要
控訴人(原告、妻、昭和一二年九月六日生)と被控訴人(被告、夫、昭和一一年六月二八日生)は、昭和三九年七月二日に婚姻した夫婦であり、その間に長男(昭和四〇年一二月二六日生)及び長女(昭和四二年七月一三日生)がいる。被控訴人は、婚姻当時、家具等の製造を業とする会社...
《解 説》
本判決の事実の認定及び判示によれば、本件建物は、外苑東通りに面する間口約五メートル、奥行き約一二メートルのX所有の土地に建ち、南隣の建物とは密接している。Yは長年本件建物において家族で小規模な電器店を経営し、一階を店舗及び倉庫に、二階を家族(妻及び電器会社勤務の長男)との住居に...
《解 説》
本件は、日本の農機関係部品メーカーX会社とカナダのコンサルタント会社Yとの間の紛争である。XYは昭和六二年一月より海外コンサルタント契約を締結していたが、Yの活動状況は不十分でその報告書の提出も少なかったため、Xは平成元年二月債務不履行を理由として右契約を解除した。Xは、これを...
《解 説》
一 香川県は、下水処理水を海に放流するに当たり、A漁協と協定書を締結した。右協定書は、A漁協が下水処理水の放流に同意し、県は、A漁協の行う水産振興特別対策事業に対して総額四億八〇〇〇万円の範囲内で補助金を交付する旨を内容としていた。
これに対し、原告らは、本件補助金は実質的に...
《解 説》
本件は、本件土地の現所有者であるXが、当該土地に建物を所有してこれを占有しているYに対し、建物収去・土地明渡等を求めたのに対し、Yが、本件土地の前々所有者であるAとの間の宅地造成請負契約(本件土地はその目的地であるA所有の三筆の土地からなる本件造成地の一部)に基づく工事残代金の...
《解 説》
一、Xの夫訴外A(昭和一一年四月生)は、東京・八丈島に居住し、平素は大工や農業を行い、マグロ・カツオ漁の最盛期には漁船に乗船し漁夫としての業務に従事していたが、昭和五七年四月、カツオ漁船に乗船して出漁し、同月一一日、八丈島沖の漁場で魚群探知や水揚げ作業に従事中、突然船上に倒れて...
《解 説》
一、本件は、錯乱状態に陥っている被疑者に対する強制採尿の適法性が争われた事件の上告審決定である(第一審判決は、本誌七四三号二三九頁に登載されている。)。
本件採尿手続の経過については、参考として添付した原審判決中に摘示されている。これによると、深夜精神錯乱者として警察に保護(...
《解 説》
一、相続税財産評価に関する基本通達(評価基本通達)によれば、相続財産たる宅地が借地権の目的となっている場合には、その宅地の課税価格の評価は、その宅地の価額(自用地としての価額)から借地権の価額を控除するという方法によって行われることとなっている(同通達二五)が、その土地を他人が...
《解 説》
一 事案の概要
Aは、F拘置支所に収容されている死刑確定者である。F拘置支所においては、死刑確定者が外部交通(面会、信書の発受等)の相手方として申請した者で同支所において許可した者から、当該死刑確定者に対する差し入れの願い出があった場合は、原則としてこれを許可し、他方、外部交...
《解 説》
A勤労者住宅生活協同組合はB社に買収事務を委託して、本件土地を含むW地区で宅地開発を行っていた。Xは昭和五七年五月本件土地の売却に同意し、国土利用計画法二三条一項の届書に署名押印した。Xは本件土地を売却することとしたのでCから代金二五〇〇万円で代替地を取得することとし、同年八月...
《解 説》
一、本件は、観光地における鑑賞型歩道上での落石事故によって死亡した観光客の遺族Xら(妻及び子供ら)が、歩道の設置管理者であるY(県及び村)を相手に、右落石事故は歩道の設置・管理の瑕疵によって発生したものであるとして、国賠法に基づき損害賠償の請求をした事案である。
これに対し、...
《解 説》
一、本件は、けいれん発作の発生とその後の措置につき医師の責任が争われた事例である。
昭和五一年二月、当時小学校五年生であったX1は、マラソンの練習中にめまいを起こして倒れ、夕方、小児科のA医院を受診した。A医師が薬剤エンスパン(血管拡張、けいれん防止剤)及びコラミン(呼吸興奮...
《解 説》
一、本件建物に、二重の表示登記がある。X(上告人)は先行の表示登記を基礎とする所有権保存登記を得ている。先行の表示登記の申請人ないしそれを基礎とする所有権保存登記名義人の地位に基づいて、後行の表示登記ないしそれを基礎とする所有権保存登記の抹消登記を求めることができるか否かが最高...
《解 説》
一 本件の事案の概要はこうである。(一) 本件道路は、現在、K大学の畜産試験地(牧場)の構内にある。主として学生が通行(徒歩)していた。時々は、付近住民も徒歩で通行することがあった。(二) 昭和四三年頃、付近のX町に酪農家のAが転居して来た。以後、本件道路に酪農用の貨物自動車で...
《解 説》
一 本件は、動機の錯誤による財産分与の無効主張が認められた事例である。
XYは昭和三二年に婚姻した夫婦であり、東京都下に土地付住宅を取得して(登記名義はX)居住していたが、夫であるXは昭和四二年に妻(Y)子を捨てて出奔し、現在では鹿児島県でZ女と同棲している。現在Yが居住して...