《解 説》
本件は、日本法人X1及びその代表者個人X2からハワイ在住米国人Yに対する不動産仲介報酬等の訴え(訴額一億円)に関し、わが国の国際裁判管轄権の存否が問題とされた事案である。本中間判決は、わが国にYの不動産が存在し、Yと日本国との法的関連が強く認められ(その理由については、本中間判...
《解 説》
一、石炭鉱害賠償等臨時措置法(以下「法」という。)は、一一条の二以下において、鉱害賠償に関する地方鉱業協議会による裁定制度を設けた上、同協議会の裁定に不服のある者は、裁定書の謄本の交付を受けた日から三か月以内に、賠償義務者又は被害者を被告として訴えを提起できる旨定めている(法一...
《解 説》
一、事案の概要は以下の通りである。
X社はノースウエスト航空の子会社で、成田でホテルを経営しているが、昭和五〇年代から労使紛争が続いていた(その内容については、第二事案の概要一(争いのない事実)2(背景となる事情)参照)ところ、Xは昭和五七年二月、ホテルの運転手で組合員・組合...
《解 説》
本件は、京都市の行った住宅改良事業に関して不正支出があったとして、京都市の住民が右事業の担当職員及びこれを監督すべき立場にあった職員に対して損害賠償を求めた住民訴訟についての控訴審判決である。
本判決の認定によると、本件支出は、補償金として支出する理由がなかったのに、担当職員...
《解 説》
一、Xは、昭和四四年八月、運転免許の技術習得に関する事業等を営むY会社に入社し、指導員等として勤務し、昭和六一年六月からは監査役に就任し、その後も学科指導員としての職務に従事していたが、平成元年一月退社した。
そこで、Xは、Yに対し、退職金として三一〇万八〇〇〇円を請求するた...
《解 説》
一、本判決は、いわゆる非嫡出子の住民票続柄記載事件に関する判決であり、事件の背景には夫婦別姓制の是非に関する問題もあったため、マスコミ等でも取り上げられたものである。
原告X1及びX2は、双方とも婚姻に際して氏を変更することを望まないため、婚姻の意思を有し共同生活を営んでいる...
《解 説》
本件は、債務者が、債権者に対して、保全取消請求事件の控訴審において、新たに、本案判決による債務名義の存在を理由に、保全の必要性の消滅を理由として、取消請求を求めた事案である。
改正前民事訴訟法七四七条は、事情が変更した場合に債務者が保全取消の申立をできる旨規定し、仮差押え決定...
《解 説》
一、原告は、被告の設置する高校第二学年に在籍中、校則で禁止されている運転免許を取得し、バイク乗車したことを理由に退学処分を受けた。本件は、原告から被告に対し、右退学処分は違法であるとして、慰謝料等損害賠償計約七五三万円が請求された事案である。
原告は、①運転免許取得・バイク乗...
《解 説》
一、本件は、平成二年二月一八日に行われた衆議院議員選挙(以下「本件選挙」という。)の大阪府第三区の選挙人である原告(選定当事者)(選定者一七名)が、投票価値の平等(一票一価)の保障からみて、本件選挙が依拠した公職選挙法一三条一項、同法別表第一、同附則七項ないし一〇項の規定(以下...
《解 説》
一、X(原告・控訴人)の夫Aは、昭和四三年一月から訴外B会社(大日本印刷株式会社)に勤務し、印刷工、ロッカー室の管理人として就労していたが、昭和五二年二月一四日早朝、業務に就く直前に仮眠室入口付近で倒れ、同日橋脳出血のため死亡するに至った。
そこで、Xは、Y(被告・被控訴人)...
《解 説》
本件は、Xが譲渡担保を設定しているA会社の物件(工場内の機械類)について、Yらが競売申立てをした上競落した行為につき不法行為であるとして、Yらに対して損害賠償請求(未回収分・弁護士費用)をしたものである。これに対して、Yら(Y5を除く)がXの本訴提起が名誉毀損に当たるとして損害...
《解 説》
一 事実の概要
原告X1は食品販売会社の取締役、原告亡X2は建設資材会社の代表取締役(以下訴訟承継人である相続人を含め単に「X2」という)、被告Y1は有価証券投資に関するコンサルタント等を業とする会社、被告Y2は有価証券投資に関するアドバイス等を業とする会社、Cは昭和六一年四...
《解 説》
一、本件は、昭和二四年九月に日本人を母として出生したことにより日本国籍を取得した原告が、昭和二七年二月に中華民国国籍を有する男性によって認知され、同男及び母の両名の名義で提出された国籍離脱届に基づき、同年一〇月二五日付けでその日本国籍離脱が官報に告示されたところ、その後、平成二...
《解 説》
本件は新生児核黄疸について医師の責任が認められた事例である。
X1は昭和五一年五月七日に埼玉県内のA産婦人科医院で出生したが、母子間血液型不適合による新生児黄疸を発症したので、三日後にA医師はX1をYが運営する小児病院に転送した。しかしX1には脳性麻痺による重篤な後遺症が残り...