《解 説》
Y会社の株主であるXら二二名(口頭弁論終結当時、うち二名は株主たる地位を喪失し、うち六名は単位未満株主となった。)は、同会社が昭和五九年六月二九日開催した定時株主総会における第一号議案(第六〇期利益処分案の承認について)及び第二号議案(退任監査役に対する慰労金贈呈について)を各...
《解 説》
本件は、被疑者不詳の現住建造物放火、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反被疑事件について、裁判官が発付した捜索差押許可状をめぐる準抗告申立事件である。
問題の捜索差押許可状は、前進社第二ビル並びに同所内に在所する者の身体及び所持品を、捜索すべき場所・身体又は物としているとこ...
《解 説》
X1ら二〇名は、昭和五七年一〇月三一日朝霞基地で行われた自衛隊観閲式に反対する集団行進に参加したが、その際、Y県の機動隊員に行進を規制されたことにより表現の自由を侵害され、また、負傷したり、携帯品破損等の被害があったとして、Y県に対し損害賠償を求めて出訴した。なお、右集団行進が...
《解 説》
Xら五名はK工業高専の一年生であり、いずれも「エホバの証人」の教義に従って同校の体育課程の剣道の実技に参加しなかった。そのため、同校校長YはXらの体育の単位を認めず、原級留置(留年)とした。Xらは右処分を信教の自由及び学習権を侵害するものとして取消訴訟を提起し、併せて右処分(但...
《解 説》
本件は、産婦の出血死に対して、二つの医療機関の責任が争われた事例である。
産婦Aは昭和六〇年一二月一三日昼過ぎ、医師Y1が開設するY1病院に出産のため入院し、同日午後に女児を出産したが、胎盤娩出頃から大量の出血を生じ、同日夜には被告Y2が運営する独協医科大学の付属病院に転医し...
《解 説》
一、本件は、降雨のため時速八〇キロメートルの速度制限が実施されている高速道路上を、時速約一〇〇キロメートルで走行していたB車が、蛇行しているA車を前方約一五〇メートルの地点に認めたものの、減速等することなく、あいている追越車線に進路変更してA車を避けようとしたところ、予期に反し...
《解 説》
一、本件事案の概要及び決定の要旨等は、次のとおりである。
(1)本件不動産競売の申立債権者は、抵当証券を提出して民事執行法一八一条二項に基づき、競売の申立てをした。
(2)①事件の抵当証券には、元本の弁済期として確定期限のみ記載されていた。
②事件の抵当証券には、確定期限...
《解 説》
一、本件は未熟児網膜症事件(以下「本症」)の最新事例で、原判決は福島地判昭60・12・2本誌五八〇号三四頁である。
X1(原告、被控訴人)は昭和四六年一〇月一九日に福島市内のA医院で出生したが、在胎三二週、一六五〇グラムの未熟児で、第一度仮死の状態であった。翌日Y病院に転送さ...
《解 説》
一、本件は、被告人が夜間自動車を運転中、たばこに火をつけようとして前方注視を欠いた過失から、路上にうずくまっていた被害者に自車前部を衝突転倒させて車体下部に巻き込んで引きずり頭部外傷等を負わせた後、停止下車して、被害者が自車下部にいるのに気付いたが、逃走のため再発進した際、後輪...
《解 説》
一 原告は、中学校の第一ないし第三学年用の英語教科書を出版した教科書出版会社であり、被告は、この英語教科書のほぼ全文を朗読した補助教材用のテープを無断で製作販売した業者である。
原告の主位的請求は債権侵害を根拠とする。すなわち、原告は、個人著作者一三名と、原告が本件教科書の朗...
《解 説》
一、(事実の概要と争点)
本件は、信販会社Y1が提起した二つの金員請求訴訟において敗訴の欠席判決(確定)を受けたXが、書記官がした二つの訴状送達はその要件が存在しないにもかかわらず付郵便送達に付した違法があるなどとして、Y1及びY2国を被告として提起した損害賠償請求事件である...
《解 説》
本件は、日本法人X1及びその代表者個人X2からハワイ在住米国人Yに対する不動産仲介報酬等の訴え(訴額一億円)に関し、わが国の国際裁判管轄権の存否が問題とされた事案である。本中間判決は、わが国にYの不動産が存在し、Yと日本国との法的関連が強く認められ(その理由については、本中間判...
《解 説》
一、石炭鉱害賠償等臨時措置法(以下「法」という。)は、一一条の二以下において、鉱害賠償に関する地方鉱業協議会による裁定制度を設けた上、同協議会の裁定に不服のある者は、裁定書の謄本の交付を受けた日から三か月以内に、賠償義務者又は被害者を被告として訴えを提起できる旨定めている(法一...
《解 説》
一、事案の概要は以下の通りである。
X社はノースウエスト航空の子会社で、成田でホテルを経営しているが、昭和五〇年代から労使紛争が続いていた(その内容については、第二事案の概要一(争いのない事実)2(背景となる事情)参照)ところ、Xは昭和五七年二月、ホテルの運転手で組合員・組合...
《解 説》
本件は、京都市の行った住宅改良事業に関して不正支出があったとして、京都市の住民が右事業の担当職員及びこれを監督すべき立場にあった職員に対して損害賠償を求めた住民訴訟についての控訴審判決である。
本判決の認定によると、本件支出は、補償金として支出する理由がなかったのに、担当職員...
《解 説》
一、Xは、昭和四四年八月、運転免許の技術習得に関する事業等を営むY会社に入社し、指導員等として勤務し、昭和六一年六月からは監査役に就任し、その後も学科指導員としての職務に従事していたが、平成元年一月退社した。
そこで、Xは、Yに対し、退職金として三一〇万八〇〇〇円を請求するた...