《解 説》
一、本件はニュージーランド国籍を有する外国人で日本語に通じていない被疑者が窃盗被疑事件により逮捕・勾留された際における勾留質問手続の適法性が争われた事案である。勾留担当裁判官は、勾留質問手続に際し、英語の通訳人を介して、被疑者に黙秘権を告知し、被疑事実を告げ、また、勾留質問は裁...
《解 説》
一、本件事実関係の概要は、次のとおりである。名古屋弁護士会所属のA弁護士は、昭和四八年一〇月四日午後〇時四〇分ころ、富山県内の魚津警察署へ赴き、弁護人として同署の代用監獄に勾留中の被疑者との接見及び物(小六法と週刊誌)の授受を申し出た。右申出に対し、同署警備係警部補は、接見に関...
《解 説》
一、約束手形の期限後裏書を受けた者から振出人に対する手形金請求事件である。
振出人Yは、原因たるべき借入金債務の借主はYの夫であり、Yには振出の原因がないとするほか、初回分と二回目の一部の弁済による原因債権の消滅及び各手形の満期前における、Yの夫に対する貸金債権の大部分がAの...
《解 説》
一 ここに紹介するのは、勾留の裁判に対する準抗告に対し、準抗告審が、被疑者の勾留場所を、代用監獄から少年鑑別所又は拘置支所へ変更した一連の決定である。
二 被疑者の勾留場所を代用監獄とすることについては、代用監獄の弊害を強調する立場からかねて強い批判があり、一時は、「特段の事...
《解 説》
一、Xは、「紀伊国屋書店」を経営する会社であり、都内新宿区角筈に地下二階、地上一二階の集合店舗用の本社ビルを所有しているが、昭和三七年と四七年の二回に分け、右ビルの一階を、紳士服「英国屋」を経営するY会社に対し、いずれも昭和五九年四月までの期間を定めて賃貸してきた。
ところが...
《解 説》
Y会社の株主であるXら二二名(口頭弁論終結当時、うち二名は株主たる地位を喪失し、うち六名は単位未満株主となった。)は、同会社が昭和五九年六月二九日開催した定時株主総会における第一号議案(第六〇期利益処分案の承認について)及び第二号議案(退任監査役に対する慰労金贈呈について)を各...
《解 説》
本件は、被疑者不詳の現住建造物放火、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反被疑事件について、裁判官が発付した捜索差押許可状をめぐる準抗告申立事件である。
問題の捜索差押許可状は、前進社第二ビル並びに同所内に在所する者の身体及び所持品を、捜索すべき場所・身体又は物としているとこ...
《解 説》
X1ら二〇名は、昭和五七年一〇月三一日朝霞基地で行われた自衛隊観閲式に反対する集団行進に参加したが、その際、Y県の機動隊員に行進を規制されたことにより表現の自由を侵害され、また、負傷したり、携帯品破損等の被害があったとして、Y県に対し損害賠償を求めて出訴した。なお、右集団行進が...
《解 説》
Xら五名はK工業高専の一年生であり、いずれも「エホバの証人」の教義に従って同校の体育課程の剣道の実技に参加しなかった。そのため、同校校長YはXらの体育の単位を認めず、原級留置(留年)とした。Xらは右処分を信教の自由及び学習権を侵害するものとして取消訴訟を提起し、併せて右処分(但...
《解 説》
本件は、産婦の出血死に対して、二つの医療機関の責任が争われた事例である。
産婦Aは昭和六〇年一二月一三日昼過ぎ、医師Y1が開設するY1病院に出産のため入院し、同日午後に女児を出産したが、胎盤娩出頃から大量の出血を生じ、同日夜には被告Y2が運営する独協医科大学の付属病院に転医し...
《解 説》
一、本件は、降雨のため時速八〇キロメートルの速度制限が実施されている高速道路上を、時速約一〇〇キロメートルで走行していたB車が、蛇行しているA車を前方約一五〇メートルの地点に認めたものの、減速等することなく、あいている追越車線に進路変更してA車を避けようとしたところ、予期に反し...
《解 説》
一、本件事案の概要及び決定の要旨等は、次のとおりである。
(1)本件不動産競売の申立債権者は、抵当証券を提出して民事執行法一八一条二項に基づき、競売の申立てをした。
(2)①事件の抵当証券には、元本の弁済期として確定期限のみ記載されていた。
②事件の抵当証券には、確定期限...
《解 説》
一、本件は未熟児網膜症事件(以下「本症」)の最新事例で、原判決は福島地判昭60・12・2本誌五八〇号三四頁である。
X1(原告、被控訴人)は昭和四六年一〇月一九日に福島市内のA医院で出生したが、在胎三二週、一六五〇グラムの未熟児で、第一度仮死の状態であった。翌日Y病院に転送さ...
《解 説》
一、本件は、被告人が夜間自動車を運転中、たばこに火をつけようとして前方注視を欠いた過失から、路上にうずくまっていた被害者に自車前部を衝突転倒させて車体下部に巻き込んで引きずり頭部外傷等を負わせた後、停止下車して、被害者が自車下部にいるのに気付いたが、逃走のため再発進した際、後輪...
《解 説》
一 原告は、中学校の第一ないし第三学年用の英語教科書を出版した教科書出版会社であり、被告は、この英語教科書のほぼ全文を朗読した補助教材用のテープを無断で製作販売した業者である。
原告の主位的請求は債権侵害を根拠とする。すなわち、原告は、個人著作者一三名と、原告が本件教科書の朗...
《解 説》
一、(事実の概要と争点)
本件は、信販会社Y1が提起した二つの金員請求訴訟において敗訴の欠席判決(確定)を受けたXが、書記官がした二つの訴状送達はその要件が存在しないにもかかわらず付郵便送達に付した違法があるなどとして、Y1及びY2国を被告として提起した損害賠償請求事件である...