《解 説》
一 本件は、勤労者用共同住宅の一棟の建物(以下「本件建物」という。)(鉄筋コンクリート五階建、戸数四〇個)の区分所有者により構成されている権利能力なき社団である管理組合において、各専有部分の建物が狭小であるところから、各区分所有建物の六畳和室の南側前面にこれに接着する形で八畳間...
《解 説》
一、本件は、親族間での使用貸借契約の終了が争われた事例である。
原告Xは土地の所有者であり、被告Yはその娘婿であって、昭和六〇年からX所有の土地の一部を使用借して建物(本件建物)を所有している。Xの長女がYと結婚するに際し、Xは、長女夫婦に自分の老後の面倒を見て貰うと共に、い...
《解 説》
本件は、不動産会社Xが別の不動産会社Y1とその代表取締役Y2に対して、不法行為及び商法二六六条の三第一項に基づき損害賠償請求をしているケースである。Xは、AからBへ譲渡された本件土地をBから三億二五〇万円で購入し、四億二三五〇万円(坪単価三五〇万円)で売りに出したところ、Cから...
《解 説》
一 本件で起訴された事件は、空調会社の実質上の経営者である被告人が、(1)埼玉県上尾市の新駅開設にからむ代替地の買収につき便宜な取計らいを受けたことに対する謝礼として、上尾市職員に対し金一〇万円等を贈賄したというもの(以下「第一事件」という。)、(2)同県鶴ケ島町発注の建築工事...
《解 説》
一、本件はニュージーランド国籍を有する外国人で日本語に通じていない被疑者が窃盗被疑事件により逮捕・勾留された際における勾留質問手続の適法性が争われた事案である。勾留担当裁判官は、勾留質問手続に際し、英語の通訳人を介して、被疑者に黙秘権を告知し、被疑事実を告げ、また、勾留質問は裁...
《解 説》
一、本件事実関係の概要は、次のとおりである。名古屋弁護士会所属のA弁護士は、昭和四八年一〇月四日午後〇時四〇分ころ、富山県内の魚津警察署へ赴き、弁護人として同署の代用監獄に勾留中の被疑者との接見及び物(小六法と週刊誌)の授受を申し出た。右申出に対し、同署警備係警部補は、接見に関...
《解 説》
一、約束手形の期限後裏書を受けた者から振出人に対する手形金請求事件である。
振出人Yは、原因たるべき借入金債務の借主はYの夫であり、Yには振出の原因がないとするほか、初回分と二回目の一部の弁済による原因債権の消滅及び各手形の満期前における、Yの夫に対する貸金債権の大部分がAの...
《解 説》
一 ここに紹介するのは、勾留の裁判に対する準抗告に対し、準抗告審が、被疑者の勾留場所を、代用監獄から少年鑑別所又は拘置支所へ変更した一連の決定である。
二 被疑者の勾留場所を代用監獄とすることについては、代用監獄の弊害を強調する立場からかねて強い批判があり、一時は、「特段の事...
《解 説》
一、Xは、「紀伊国屋書店」を経営する会社であり、都内新宿区角筈に地下二階、地上一二階の集合店舗用の本社ビルを所有しているが、昭和三七年と四七年の二回に分け、右ビルの一階を、紳士服「英国屋」を経営するY会社に対し、いずれも昭和五九年四月までの期間を定めて賃貸してきた。
ところが...
《解 説》
Y会社の株主であるXら二二名(口頭弁論終結当時、うち二名は株主たる地位を喪失し、うち六名は単位未満株主となった。)は、同会社が昭和五九年六月二九日開催した定時株主総会における第一号議案(第六〇期利益処分案の承認について)及び第二号議案(退任監査役に対する慰労金贈呈について)を各...
《解 説》
本件は、被疑者不詳の現住建造物放火、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反被疑事件について、裁判官が発付した捜索差押許可状をめぐる準抗告申立事件である。
問題の捜索差押許可状は、前進社第二ビル並びに同所内に在所する者の身体及び所持品を、捜索すべき場所・身体又は物としているとこ...
《解 説》
X1ら二〇名は、昭和五七年一〇月三一日朝霞基地で行われた自衛隊観閲式に反対する集団行進に参加したが、その際、Y県の機動隊員に行進を規制されたことにより表現の自由を侵害され、また、負傷したり、携帯品破損等の被害があったとして、Y県に対し損害賠償を求めて出訴した。なお、右集団行進が...
《解 説》
Xら五名はK工業高専の一年生であり、いずれも「エホバの証人」の教義に従って同校の体育課程の剣道の実技に参加しなかった。そのため、同校校長YはXらの体育の単位を認めず、原級留置(留年)とした。Xらは右処分を信教の自由及び学習権を侵害するものとして取消訴訟を提起し、併せて右処分(但...