《解 説》
一、予防接種は地域の免疫水準を高めて疾病の蔓延を防止するという公共の目的の故に強制され、あるいは勧奨されるものである。その結果、被接種者の一部の者に重篤な副反応が生じ、後遺障害を残した場合の救済について、現在、東京、大阪、名古屋、福岡の各高等裁判所には、公共の利益のために国民の...
《解 説》
原審判決については、本誌のコメントで画期的な判決と評価していたが、このほど、その上告審判決が出た。本上告審判決も、「相続させる」との遺言の解釈、効果について、画期的な判断を示している。事案は、原審判決のコメントと本判決文を参照願いたい。
本問題についてのこれまでの下級審裁判例...
《解 説》
Xは、Yが金融機関A及びBから借入れをする際(昭57・3・18、4・28)に、Yから物上保証の依頼を受け、いずれも自己所有の土地建物に根抵当権を設定した。その後、Xは、この土地建物をZに売却したが、ZはYの借入金(合計三億円)をA及びBに対し代位弁済した(昭58・8・9)。XZ...
《解 説》
一、事案の概要
被告Yは、兵庫県内の一市四町が廃棄物の処理に関する事務を共同して行う目的で設立した一部事務組合(地方自治法二八四条一項)の管理者である。原告Xは、同県下の六市一九町から一般廃棄物処理業及び浄化槽清掃業の許可を得ている業者である。Xは、Yに対し、廃棄物の処理及び...
《解 説》
一、原告Xは、昭和五五年当時、二八歳のサラリーマンであったが、結核の治療のため、被告Yが運営する病院に約一年間入院し、この間抗結核剤であるエタンブトールの投与を受けたところ、視力が低下し、やがて失明してしまった。そこでXがYを相手取って、不法行為及び債務不履行を主張して、一億円...
《解 説》
一 ここで紹介する四つの決定は、いずれも西日本旅客鉄道労働組合(以下「本件組合」という。)の内部において、主張・路線をめぐって対立する組合員相互間で争われた、中央委員会・代議員会の決議の効力や組合大会への出席義務等に関する仮処分申立てについてのものである。
本件組合は、申立外...
《解 説》
一 本件訴訟は、平成元年七月二日に行われた東京都議会議員選挙(以下「本件選挙」という。)の足立区選挙区の選挙人が原告(選定当事者X1~X4)となって、公職選挙法(以下「公選法」という。)一五条七項に違反した議員定数配分を定めた条例の下で行われた本件選挙は無効であると主張して、右...
《解 説》
本判決は、公務中の事故により負傷し公務災害の認定を受けた地方公務員が、自宅浴室内で同一部位を再び負傷したことによる障害について公務起因性が争われた事件の控訴審判決である。
X(原告・控訴人)は、昭和四九年四月に大阪府職員として採用され、身体障害者福祉センターの職業指導員として...
《解 説》
一、本件は、いわゆるフランチャイズ契約の当事者間において、売上予測の意味等が争われた事例である。
被告Yは著名なアイスクリーム・チェーンを展開している会社であり、昭和六一年九月、原告XはYとの間で右フランチャイズチェーン加盟契約を締結した。その後、同年一一月、Yは相模大野市内...
《解 説》
本件は、都立公園設置の遊具につき、造営物の設置、管理に関する瑕疵が争われた事例である。
昭和六三年四月、当時小学校四年生であったXは都立小金井公園内の「ターザン・ロープ」(上方に張られたロープに滑車つきの紐を吊り下げ、この紐につかまって滑空するもの)の出発台で順番待ちをしてい...
《解 説》
本件は、東京都衛生研究所の職員である原告が、被告に対し、同研究所に換気系統が他の室とまったく異なる完全分煙化された喫煙室を設置するよう勧告することなどを要求したところ、被告が、要求の一部を認めることができないとし、一部を取り上げることができないと判定した事案に関する取消訴訟であ...
《解 説》
一、本判決は、いわゆる松戸OL殺人事件の控訴審判決であり、争点となった右事件につき、自白の任意性、信用性を否定し、訴訟手続の法令違反、事実誤認を理由として一審の有罪判決を破棄した上、右事件について無罪を言い渡した(別件の住居侵入・強姦、常習累犯窃盗につき懲役六年)。
争点とな...
《解 説》
一、本件の背景となっている事実は次のとおりである。
昭43・8・13 X―石川県から四八万円借入(A・B連帯保証)
昭46・4・12 Y1がXの石川県に対する残債務三六万円を代位弁済
その後 Y1は右債権の回収のためとしてXの家財道具等処分①
昭47ころ X―Y1に対し...
《解 説》
商標制度には、登録により発生するという主義(登録主義)と、使用により発生するという前提に立つ主義(使用主義)の二つの立法例がある。わが国では登録主義が採用されている。この法制の下では、登録要件に合致する商標は、使用されていると否とを問わず登録される。しかしながら、登録主義の下に...
《解 説》
A町においては、公用車不足のため、町職員が出張する場合私用車を利用することが多く、公用車使用中の事故と私用車使用中の事故とで職員の賠償責任に不均衡が生じたため、町職員が所有し通勤のために使用する自動車について締結された全国町村職員生活協同組合の共済保険の掛金(以下「共済掛金」と...