《解 説》
一、本件事案は、次の通りである。
X(原告、控訴人)は、昭和四九年四月二二日、兵庫県衛生研究所に採用され、細菌部に配属されて、試験管の洗浄業務、培地作り、データー整理の業務に従事していたが、昭和五二年一月二四日付で総務部の図書室に配置換えとなり、同所において図書の整理等の業務...
《解 説》
本件は、一般国道の改築工事のために土地を収用された原告が当初建設大臣を被告として損失補償額の増額を求める訴えを提起したが、正しい被告は国であるとして行訴法四〇条、一五条によって被告の変更を求めたものである。本決定は、対外的な費用の負担者であり工事結果の帰属主体である国が正しい被...
《解 説》
一、本件は、医師を相手取った大腿四頭筋短縮症(以下「本症」)の訴訟である。
原告Xは昭和四五年一二月生であるが、昭和四六年一月から同年九月までの間、風邪等で小児科の開業医である被告Yを受診し、左右大腿部に合計四回の筋肉注射を受けた。その後間もなくXの両下肢に本症が発現し、屈曲...
《解 説》
一、Xは、A市に土地を所有しているが、A市が実施した国土調査法に基づく地籍調査の成果のうち、地籍図における右土地の筆界線の表示が誤っているとして、Y(A市長)に対し、右所有地に係る地籍図と地籍簿上の地積について更正の申立てをした。Yが、右申立てを容れない旨の回答をしたところ、X...
《解 説》
本件は、在監者による国家賠償請求訴訟である。XがYに国家賠償法一条の責任が生じる根拠として主張したのは、①Xは別訴の訴訟救助申立が却下されたため即時抗告をすべきときに、作業賞与金で即時抗告状等の作成提出のため文房具・切手の購入を願い出たところ、刑務所当局はこれを認めず、Xの権利...
《解 説》
一、Xの亡夫Aは昭和二四年三月から同四七年五月までセメント工場やトンネル坑内での粉じん作業に従事していた者であるが、昭和四八年肺結核の診断を受け、昭和五五年六月二日付で大分労働基準局長から「じん肺管理区分管理二、合併症肺結核、要治療」の決定を受けた。その後病状が悪化して昭和五七...
《解 説》
1、本件は、交通事故と医療過誤との競合が争われた事例である。
昭和五八年一月一七日、当時六八歳であった原告Xは、原動機付自転車でT字型交差点を直進中、右折しながら右直進路に出ようとした被告Yの自動車に衝突されて左下腿開放骨折等の重傷を負い、約一年余の入院を経て現在は自宅療養中...