《解 説》
本判決の判示事項は、特許出願に係る発明の新規性、進歩性の存否を審理する前提としてされる当該発明の要旨の認定における、特許請求の範囲と発明の詳細な説明の各記載の関係である。右に判決要旨として紹介した理論は、教科書的に説かれてきたところが確認されたにすぎない(吉藤幸朔・特許法概説第...
《解 説》
一、被告会社のマルチまがい商法(以下「本件商法」という。)の仕組みは、以下のとおりである。すなわち、被告会社からダイヤを購入し、販売媒介委託契約を締結するなどした者が、被告会社の販売媒介組織の会員となる。会員はダイヤの販売媒介者として組織され、ダイヤの販売媒介活動に成功した場合...
《解 説》
一、本件は多数の事件が併合され、当事者も多数に上っているが、基本的争点は共通で、訴外T(弁護士。本件でも代理人となっている。)が自己所有の旧建物に接着させて新建物を建築したことに端を発して、新旧建物の所有関係が争われたものである。
第一事件ないし第三事件ではTから新旧建物を買...
《解 説》
一、事案の概要
X男とA女は、昭和六二年三月二九日結婚式を挙げ、同年五月二一日婚姻届をなした夫婦であったが、A女は、結婚後も勤務先の上司であったB男と性交渉を持ち、昭和六三年一月二九日Y両名(二卵性双生児)を出産した。その後、A女は、X男に対し婚姻後もB男と性交渉を持っていた...
《解 説》
原告らは、在日韓国人Aの相続人であり、被告はAの内縁の妻である。原告らは、Aが被告に対して行った遺贈及び生前贈与により原告らの遺留分に不足が生じたから、原告らは被告に対しその返還請求(日本民法の減殺請求に該当する。)を行ったと主張して、被告に対し、右贈与等の対象である不動産及び...
《解 説》
一、本件は、小松基地から離着陸する自衛隊機及び米軍機が発する騒音等により被害を被ったと主張する周辺住民Xら三三〇名が国Yを被告として、右軍用機の離着陸等の差止め、一定時間帯における七〇ホンを超える騒音到達の差止め及び慰謝料等の損害賠償を求めた事案であり、第一次訴訟は昭和五〇年、...
《解 説》
一、Xは、昭和三三年四月、家電販売会社Yに雇用され、昭和六〇年二月から物流担当部長の地位にあったが、昭和六一年四月、飲酒運転により免許停止処分を受けたことや業務上の不始末などを理由に「部長職を一般職に降格する」旨の処分を受けた。
そこで、Xは、右降格処分は、Yの就業規則で定め...
《解 説》
XはY市営地下鉄の回数券を所持していたが、Y市は回数券の様式を変更し、市条例及び同施行規程に基づき、様式変更から六か月後は旧回数券を無効として取り扱った。本訴は、XからYに対し、主位的には旧回数券(一八七三円相当)の払戻しを、予備的には前記条例等が公序良俗に違反し、あるいはYが...
《解 説》
一、本件事案は、次の通りである。
X(原告、控訴人)は、昭和四九年四月二二日、兵庫県衛生研究所に採用され、細菌部に配属されて、試験管の洗浄業務、培地作り、データー整理の業務に従事していたが、昭和五二年一月二四日付で総務部の図書室に配置換えとなり、同所において図書の整理等の業務...
《解 説》
本件は、一般国道の改築工事のために土地を収用された原告が当初建設大臣を被告として損失補償額の増額を求める訴えを提起したが、正しい被告は国であるとして行訴法四〇条、一五条によって被告の変更を求めたものである。本決定は、対外的な費用の負担者であり工事結果の帰属主体である国が正しい被...
《解 説》
一、本件は、医師を相手取った大腿四頭筋短縮症(以下「本症」)の訴訟である。
原告Xは昭和四五年一二月生であるが、昭和四六年一月から同年九月までの間、風邪等で小児科の開業医である被告Yを受診し、左右大腿部に合計四回の筋肉注射を受けた。その後間もなくXの両下肢に本症が発現し、屈曲...
《解 説》
一、Xは、A市に土地を所有しているが、A市が実施した国土調査法に基づく地籍調査の成果のうち、地籍図における右土地の筆界線の表示が誤っているとして、Y(A市長)に対し、右所有地に係る地籍図と地籍簿上の地積について更正の申立てをした。Yが、右申立てを容れない旨の回答をしたところ、X...
《解 説》
本件は、在監者による国家賠償請求訴訟である。XがYに国家賠償法一条の責任が生じる根拠として主張したのは、①Xは別訴の訴訟救助申立が却下されたため即時抗告をすべきときに、作業賞与金で即時抗告状等の作成提出のため文房具・切手の購入を願い出たところ、刑務所当局はこれを認めず、Xの権利...
《解 説》
一、Xの亡夫Aは昭和二四年三月から同四七年五月までセメント工場やトンネル坑内での粉じん作業に従事していた者であるが、昭和四八年肺結核の診断を受け、昭和五五年六月二日付で大分労働基準局長から「じん肺管理区分管理二、合併症肺結核、要治療」の決定を受けた。その後病状が悪化して昭和五七...
《解 説》
1、本件は、交通事故と医療過誤との競合が争われた事例である。
昭和五八年一月一七日、当時六八歳であった原告Xは、原動機付自転車でT字型交差点を直進中、右折しながら右直進路に出ようとした被告Yの自動車に衝突されて左下腿開放骨折等の重傷を負い、約一年余の入院を経て現在は自宅療養中...