《解 説》
甲田町では、地方公営企業である水道事業をめぐって、一部住民による料金不払い、仮処分及び住民訴訟並びに町からの水道料金請求訴訟など軋轢が生じていた(詳細は判決文を参照されたい)。T町長はこれを解決するため住民と、(1)住民は仮処分及び住民訴訟を取り下げる、(2)町は水道料金請求訴...
《解 説》
一、本件は、登記官の不動産登記簿原簿の閲覧監視義務の懈怠の有無が問題となった事例であり、これを肯定した横浜地判平2・2・14本誌七二一号一九九頁の控訴審判決である。
Yらは、他人名義の土地登記簿を偽造して第三者から金員を騙取することを共謀し、登記簿の閲覧を申請し、他人名義の本...
《解 説》
本件はX女が夫Aと協議離婚し、その際財産分与により取得した土地を約四か月後に他に売却した場合の譲渡所得の計算において、取得費の額が争われた事案である。右財産分与を受けたXは、取得費の額は売却額と同額の三億五二五〇万円であるから、譲渡益が存在しないとして、Y税務署長の更正処分の取...
《解 説》
本件は、借家法上の解約申入につき、正当事由の存否が争われた事例で、本件建物は、東京都港区北青山に存する地上六階建アパートの四階の一区画約四〇平米である。
Xはこれを昭和三五年にYに賃貸し、更新を重ねて現在の賃料は一箇月四万三〇〇〇円余であるが、付近は事務所の需要が極めて高い地...
《解 説》
一、本件は、原告が「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下「廃棄物処理法」という。)一五条一項に基づいてした産業廃棄物の最終処分場の設置届について、栃木県知事が、産業廃棄物処理施設の設置等に関する同県の行政指導要綱が定める付近住民の同意を得ていないことなどを理由として、右届出...
《解 説》
一、本件は、二部上場会社であった株式会社アイデンの倒産に至る過程で起こった見せ金による増資について公正証書原本不実記載罪の成立が認められた事案である。アイデンは、官公庁に照明関係器具を納入していた優良会社であったが、石油ショックによる需要の後退を契機として経営に行き詰まり、その...
《解 説》
東京都総務局は、個人情報保護条例制定の準備作業として、各部局が保有している個人情報の実態調査を行い、警視庁から個人情報のファイル件数、個人登録数のみを記載した「個人情報保護対策の検討について」と題する書面(本件文書)を入手した。都内に住所はないが、勤務先を有するXは、東京都公文...
《解 説》
一、本件は交通事故の被害者が翌日に急性硬膜外血腫で死亡した事案につき、病院の責任が争われた事例である。
A(当時二九才)は昭和六〇年一一月一五日深夜、酔って歩行中に自動車にはねられ、被告Yが運営する病院に搬入された。一度目は軽傷として帰されたが、家族の希望でもう一度受診し、今...
《解 説》
本件は、子供のスイミング教室での事故につき、教室経営者及び加害児の親権者の責任が認められた事例である。
昭和五八年六月、被告Y1が経営するスイミング教室の授業中に、当時五歳の子Aがプールサイド近くで、七歳児Xの水中メガネを引っ張って離すということがあり、そのため右メガネがXの...
《解 説》
一、本件は、夫婦の間で建物所有権に基づく明渡請求が争われた事例である。
原告X(妻)と被告Y(夫)は昭和六三年八月に婚姻の届出をした夫婦である。本件建物(東京都江戸川区所在のマンションの一室)はXが婚姻以前から所有していたもので、婚姻後はXY夫婦及びXの前夫との間の子が居住し...
《解 説》
一、X1とX2の次男Aは、昭和六一年八月当時、Yの設置、管理する船橋豊富高校一年に在籍し、相撲部に入部していたが、同月七日、他の高校との相撲の合同合宿に参加するため、相撲部のB教諭に引率されて、天羽高校に赴いた。そして、Aは、同校において練習に参加し、中学生、高校生、大学生を相...
《解 説》
本件は、集団行動の際、公務執行妨害罪を犯したKを現認した警察官が、約三〇分後に集団行動が散会となり右附近にいたKを緊急逮捕しようとしたところ、Iがこれを妨害したという公務執行妨害・傷害の事案について、逮捕警察官が被疑事実等の理由及び逮捕する旨の告知をしなかったため、右緊急逮捕に...
《解 説》
本件は、昭和五八年に京都市で採択され、話題となった古都税に対する反対運動に関わった不動産会社社長Xに関する週刊誌「アサヒ芸能」の記事内容の真実性、又は真実と信ずるについての相当性の有無が争点となった事案である。
Xが問題とした記事は、(1)見出中にX社長の「サル知恵」などと書...
《解 説》
一、Xは、浦安市の住民であり、Yは、昭和四四年九月、浦安町の町長に就任し、昭和五六年四月一日、同町が市制を施行したことにより浦安市の市長に就任した者である。
権利能力なき社団Aクラブは、ヨットの係留施設とする目的で、昭和五五年五月末ころ、浦安市第二期埋立地高洲地先の川幅四三メ...
《解 説》
本件は、交際費を使った大がかりな政官界工作が発覚したいわゆるKDD事件で昭和五四年一〇月引責辞職した元社長のXが、KDDに対して未払いの退職慰労金一億五〇〇〇万円を請求したケースである。Xの主張は、①取締役と会社の関係は委任であるが、社会通念上有償合意が認められるべきであるから...
《解 説》
Yは昭和五八年中古マンションを購入したが、前の住人が風呂のバランス釜を撤去しており、備付けの湯沸器も老朽化していたため、昭和六三年構造上の共用部分であるマンション外壁(建物全体の壁柱の一つ)に三個の穴(直径六~八センチのもの)を開け配管配線を通してガス湯沸器バランス釜を取り付け...
《解 説》
本件は、男女関係のもつれに起因して、債権者である既婚男性が、債務者である女性に対し、両者の関係を解消することなどを目的として一定額の金員の支払を約する公正証書を作成したが、債務者がその金額に不満を抱き、債権者に対し、右金額を越える金員を要求し、これに応じなかった債権者の自宅、勤...