《解 説》
本件は、判決言渡期日として平成二年九月二七日午後一時一〇分と指定されながら、同月二五日午後一時一〇分に実際の言渡しがされた判決の効力が問題となった事案である。本判決は、言渡期日以外の日に言い渡された判決は、民訴法一五二条、一八八条に違反しており、これは同法三八七条にいう「第一審...
《解 説》
一、Xは、訴外AのYに対する金銭消費貸借契約に基づく債務を担保するため、X所有の不動産に根抵当権設定登記及び所有権移転請求権仮登記をした。他方、YはA所有の不動産について譲渡担保権及び仮登記担保権を実行し、本件債務の一部に充当したため、本件債務の残額は四二億円となったと主張して...
《解 説》
XはYに対し、東京都中央区銀座七丁目に所在するX所有建物の一部について期間約九か月、代償金一週間一二万円とする焼鳥店の経営委託契約を締結し、Yは右建物で自己の計算において焼鳥店を経営し、右建物を占有していた。なお、右契約の起案はXの顧問弁護士がしたものであり、期間が短く決められ...
《解 説》
本件は、不動産の所有権の移転について非課税を規定した地方税法七三条の七第一号の「遺贈」に財産分与が含まれるかどうかが争われた事案である。
亡Aは、生前、その子Xに対し、本件不動産の共有持分全部を死因贈与し、これに基づき、その旨の公正証書が作成された。
Aの死亡後、Y(地方振...
《解 説》
Xはフィリピン人であるが、出稼ぎ目的で昭和五六年八月本邦に入国し、まもなく日本人男性Aと結婚したが、その後Aのもとを飛び出して他の日本人男性Bと同棲するようになり、Bの子を妊娠した。Xは、一旦はフィリピンに帰国したが、Aと離婚し、Bと婚姻するため、昭和五九年二月、三〇日の観光ビ...
《解 説》
本件は、「財団法人天下一家の会理事長U」名義で登録された債権(額面合計八三〇〇万円)の元利の支払いを受託会社Yに対して求めた訴訟である。本訴の原告Xは「財団法人肥後厚生会」(同法人は後に「財団法人天下一家の会」に名称が変更されたものの、右変更登記が職権抹消処分を受けた経緯がある...
《解 説》
一、Y市立B中学校三年生であったAが自殺したことにつき、XらAの家族は、Aは同級生Cらの長期間に亘る金銭強要や暴行その他のいじめを苦にして自殺したものであるところ、B中学校の校長以下の教師らは生徒の安全を保持すべき義務等があるのに、右いじめを看過し放置するなどした過失があるとし...
殺人事件につき、犯行時に側頭葉てんかんによるもうろう状態にあったとして、心神耗弱が認められた事例 (懲役三年、保護観察付執行猶予)
《解 説》
一、本件事案の概要は、次のとおりである。
X(原告)は、Y(被告会社)の従業員であるが、昭和四五年二月から昭和五二年一二月まで約七年間、Yの経営する作業場において、トルエン・ヘキサン等の有機溶剤を含有するゴム糊を使用する作業(ガスメーター用膜の切り離し作業・ガス膜への糊塗り作...
《解 説》
一、Xは、昭和三九年に訴外銀行に雇用され、以来、普通預金係、約定振替係、当座預金係、出納係、外国為替係の各業務を担当してきたが、昭和四八年秋口から肩や右腕の付け根に激痛を感じるようになり、頸肩腕障害と診断されて治療を受け、業務に従事しながら治療を継続してきたが、昭和五四年五月一...
《解 説》
本件は、オウム真理教の信者となったY(母親)が、五人の子供を連れて、X(父親)と同居していた家を出てオウム真理教の本部道場の施設内で生活するようになったが、約半年後右五人の子供は、Xのオウム真理教側との交渉の結果、Y及びオウム真理教幹部の承諾のうえでXのもとに帰されて、Xと同居...
《解 説》
Aは昭和四九年一一月、家屋解体作業中、二階の床板を踏み抜き、約三メートル下のアスファルト舗装道路に頭から転落負傷して、外科医Yの経営する個人病院に入院し、左上腕の骨折手術を受けた。Yは、入院時のX線撮影によりAの頭部に骨折のないことを確認したのみで、頭部には脳内部を含めて異常が...
《解 説》
福島第二原発(福島県双葉郡富岡町及び楢葉町所在)の三号機が昭和六四年一月初旬、再循環ポンプの破損等の事故を起こし、運転を停止するに至ったが、その後修理され、平成二年一一月五日に調整運転、同年一二月二〇日に営業運転を再開したことは周知のとおりである。本件は、同原発を設置するT電力...
《解 説》
一、本判決は、マスコミにおいて大きく報道されたいわゆる岩手靖國訴訟(住民訴訟)の控訴審判決である。
昭和五四年一二月一九日に岩手県議会が議決をもって要望した天皇、内閣総理大臣等の靖國神社公式参拝並びに昭和五六年中に同県が同神社に対してした玉串料及び献燈料の奉納について、第一審...
《解 説》
本件事案の概要は次のとおりである。X社はA社とファクシミリ、複写機に関するリース契約を締結し、同日、右契約に基づき、右機械を引き渡したが、A社がリース料を滞納したため、Xは、リース料等一切の債務についての連帯保証契約を締結していたYに対して債務の履行を求めた。これに対し、Yは、...
《解 説》
本件は、Xらが相続によって取得した土地所有権(持分権)に基づき右土地上に建物を所有して土地を占有しているYに対して、建物収去土地明渡及び賃料相当損害金を求めたケースである。Yは、これに対して、占有正権原の抗弁を主張した。すなわち、本件土地はもとYの父が勤務していたA会社が社宅用...