《解 説》
判旨事項に関する範囲で事案を述べると、反訴原告が、反訴被告に対し、継続契約において一方的に商品供給を停止したとして損害賠償請求を求めたのに対し、反訴被告には、支払い能力に不安がある客観的状況があるので、いわゆる不安の抗弁を根拠に、商品供給を拒むことができると、主張した事案である...
《解 説》
一、事案の概要は以下の通りである。
まず当事者は多数にわたるが、X1は著名な華道家、X2社はその流派の雑誌・書籍の出版販売を目的とする会社で、代表者はX1の親族である。他方、Y1ないしY3は興信所とその所長、同所が発行する信用情報紙「東洋経済通信」の発行人兼編集者、Y4、Y6...
《解 説》
本件は、土地の共有持分合計三分の一を有するXらが同土地上に建物を有するY社に対して賃料相当損害金を請求した事案である。Y社は、同社は昭和四六年一二月、持分三分の一を有していたXら先代A及び持分三分の二を有していたBとの間で賃貸借契約を締結していたとの抗弁を提出した。なお、Y社の...
《解 説》
Xらの子Aは、東京新国際空港の開港反対派を支援するため、昭和五二年五月八日、抗議集会の開かれた千葉県山武郡芝山町の反対派の設けた野戦病院前でスクラムを組んでいたが、機動隊の別動隊が裏手から来たのを見るため振り向いたところ、その直後にその場に昏倒し、右後頭部頭蓋骨陥没骨折、開放性...
《解 説》
一、本件は、いわゆる「ロス疑惑」で殺人罪等に問われている人物Xとスポーツ新聞Y間の、Xの英国滞在中の行動の報道を巡る名誉毀損事件である。
Y紙は昭和六三年一〇月二一日(Xが前妻に対する殺人既遂罪で逮捕された翌日)、Xが家族と共に英国に滞在していた昭和五九年中に、家族を乗せた車...
沼津セクシュアル・ハラスメント訴訟第一審判決
宿泊施設勤務の女性に対する上司のセクシュアル・ハラスメントについての損害賠償として二〇万円が認容された事例
《解 説》
本判決は、昭和三八年に路線認定され、昭和四八年に都市計画決定された一般道道の予定地(現況道路として使用されているわけではない。)を従前地とする換地処分を、土地区画整理法八九条に定める照応の原則に反するものとして取り消した事案である。本件従前地は原告がかつて所有していた約四万六〇...
《解 説》
Xの夫甲は、二年間小学校の校長を勤めた後、小学校校長の身分のまま外務省の委嘱を受けて、創立から二年も経ていないイタリアのミラノ日本人学校の校長として三年間勤務し、その後帰国して再び小学校の校長をしていたが、帰国一〇か月後にクモ膜下出血、脳室穿破により死亡した。Xは、甲はミラノ日...
《解 説》
一、本件訴訟は、A市の住民Xが、A市長であったYが支払を受けた退職手当の一部が条例等の根拠なしに支出されたものである旨主張して、地方自治法二四二条の二第一項四号の規定に基づき、A市に代位してYに対して不当利得返還を求めた住民訴訟である。
西尾市職員の退職手当に関する条例(一般...
《解 説》
一、事案の概要は以下の通りである。
妊婦X2は、昭和五七年二月二三日、出産のため、Yの経営する医院に入院した。Y医師は、午後三時頃から翌朝にかけて、陣痛促進を試みたがなかなか成功せず、翌日朝になって胎児が遅発一過性徐脈を起こしたので、一〇時前頃、帝王切開を受けさせるためにX2...
《解 説》
本件は、新生児、産婦及びその夫が、通常分娩の経過で、人工破水の適用も要約もないのに、医師が産婦の人工破水を施行し、それによって、胎児が低酸素症となったために仮死状態で分娩され、脳性麻痺となったかそうでなくとも分娩の経過で、分娩監視装置を装着していれば胎児仮死を早期に発見でき、脳...
《解 説》
一、本件は、千葉県市川市の住民である甲ら(選定当事者。原告・控訴人・上告人)が、市川市長の地位にある乙(被告・被控訴人・被上告人)に対し、地方自治法(以下「法」という。)二四二条の二第一項四号に基づき、六四万二五〇〇円の損害賠償を請求している住民訴訟である。すなわち、乙は、昭和...
《解 説》
本件は、判決言渡期日として平成二年九月二七日午後一時一〇分と指定されながら、同月二五日午後一時一〇分に実際の言渡しがされた判決の効力が問題となった事案である。本判決は、言渡期日以外の日に言い渡された判決は、民訴法一五二条、一八八条に違反しており、これは同法三八七条にいう「第一審...
《解 説》
一、Xは、訴外AのYに対する金銭消費貸借契約に基づく債務を担保するため、X所有の不動産に根抵当権設定登記及び所有権移転請求権仮登記をした。他方、YはA所有の不動産について譲渡担保権及び仮登記担保権を実行し、本件債務の一部に充当したため、本件債務の残額は四二億円となったと主張して...
《解 説》
XはYに対し、東京都中央区銀座七丁目に所在するX所有建物の一部について期間約九か月、代償金一週間一二万円とする焼鳥店の経営委託契約を締結し、Yは右建物で自己の計算において焼鳥店を経営し、右建物を占有していた。なお、右契約の起案はXの顧問弁護士がしたものであり、期間が短く決められ...
《解 説》
本件は、不動産の所有権の移転について非課税を規定した地方税法七三条の七第一号の「遺贈」に財産分与が含まれるかどうかが争われた事案である。
亡Aは、生前、その子Xに対し、本件不動産の共有持分全部を死因贈与し、これに基づき、その旨の公正証書が作成された。
Aの死亡後、Y(地方振...
《解 説》
Xはフィリピン人であるが、出稼ぎ目的で昭和五六年八月本邦に入国し、まもなく日本人男性Aと結婚したが、その後Aのもとを飛び出して他の日本人男性Bと同棲するようになり、Bの子を妊娠した。Xは、一旦はフィリピンに帰国したが、Aと離婚し、Bと婚姻するため、昭和五九年二月、三〇日の観光ビ...
《解 説》
本件は、「財団法人天下一家の会理事長U」名義で登録された債権(額面合計八三〇〇万円)の元利の支払いを受託会社Yに対して求めた訴訟である。本訴の原告Xは「財団法人肥後厚生会」(同法人は後に「財団法人天下一家の会」に名称が変更されたものの、右変更登記が職権抹消処分を受けた経緯がある...