自己の使用者名義をもって不動産を取得し不動産取得税を納付した者が右不動産を自己名義にしたため更に不動産取得税を賦課された事案につき、同税の二重賦課を理由とする不当利得返還請求が許されないとした事例
父親から自動二輪車を買い与えられた息子(16歳)が友人(16歳)にこれを貸与し、その友人により惹起された事故につき、貸主の父親の責任を肯定し、借主の父親の責任を否定した事例
大韓民国の国籍を有する父母の一方が未成年の子の親権者である場合には、法例30条により、我が民法を適用して、父母の協議又は協議に代る審判によって、親権者の変更をなし得るものと解すべきである
立入禁止の専用軌道敷に立入り線路内を歩行していたため電車にはねられ轢死した場合に免責約款の「重大な過失」にあたるとして生命保険金支払の免責を認めた事例
税理士業務の委任契約及び経営コンサルト契約を内容とする委任類似の混合契約を解約するにつき、民法651条の規定の適用が制約され、相当の事由あることを要するとされた事例
日本人(子)から韓国人(亡父)に対してその死亡後1年を経過して提起された認知の訴につき、たとえ父とされるものが国籍を除いて日本人同様の者であつても、準拠法は国籍による以上韓国民法が適用されるとしたうえ、死後認知の出訴期間を1年に限定する同法864条の規定は日本民法と比較して一概に不利益とはいえないことなどの理由から、右適用の結果も公序に反するとはいえないとして、右訴を却下した事例
建物所有者が同人の家族の一員として居住している者に対し所有権に基づいて建物の明渡を請求するには、明渡請求を正当として肯認するに足りる特段の事情が存することを要する
仮差押債務者に対し債権を有する第三者は右債務者に代位して仮差押解放金額を供託しその執行取消申立てをなしうると解した事例
1 旅行業者は顧客から入手方依頼を受けた航空券を確保した後でなければ顧客から前納金(デポジット)を収受できないとか、収受すれば以後航空券入手についての一切の抗弁権を失うとかの業界の法確信は認められないとした事例
2 右前納金の性質は、顧客側からの一方的解約を防止することと、業者側も他に有利な条件を呈示する顧客を後廻しにしても航空券を入手するよう誠実に努力することを確保するためであって、入手を確約する趣旨ではなく、入手不能のとき損害賠償の責を負う趣旨でもないと認めた事例
会社の資産、経営内容からみて支払能力がないにもかかわらず買掛注文を出した代表取締役につき商法266条ノ3の責任が認められた事例
交通事故による脱臼を看過し、整復の医療処置を講じなかった結果、右肩関節運動障害の後遺症を残したとして、開業医の債務不履行責任を肯定した事例
食品関係香料の製造業者(売主)とその販売業者(買主)間における香料の継続的取引契約を売主が一方的に解消した事案につき、右解消の原因が買主が他社製品に売主のラベルを貼付して販売するという重大な背信行為に基因するものであると認定して、取引関係解消についての違法性を否定した事例
土地賃貸借契約における「地代については1年目毎に協議して増額することを得るものとする」旨の約定は、賃貸人にはまず賃借人と地代につき協議すべき義務があり、右協議を経ることなく増額請求権を行使した場合には、増額の効果を生じない趣旨を合意したものと解するのが相当であるとし協議を経ずしてなされた地代増額請求の意思表示を無効とした事例