最も長い歴史をもつ判例実務誌
商品の形態が、技術的思想に由来する唯一の実施態様の結果として生じたものであって、需要者に訴える商品表示として成立する以上、不正競争防止法1条1項1号による保護を受けることができるとして、従来の技術的形態除外の立場を斥けながらも、本件事案については、商品表示としての表現能力・吸引力に欠け、また表示としての周知性を備えていなかったとして、商品主体混同行為の成立を否定し、結局、廃止請求、損害賠償請求を棄却した原判決を維持した事例
1 不正競争防止法1条1項1、2号は周知表示を使用する特定営業者を保護する趣旨の規定であるから、他人の右表示の使用につき右営業者の許諾がある限り、右許諾を受けた者がなした右規定に該当する行為の違法性は阻却される 2 商号権の権利者がその商号の使用を第三者に許諾した行為につき、黙示の付款(解除条件)が付されていたものと認定された事例
原告の周知商標を商品に付して販売することが不正競争防止法1条1項1号のいわゆる商品主体混同行為に当たるとし、破産手続中であっても破産会社の事業再開が皆無とはいえないとして、破産管財人に対する差止請求が認められた事例
1 とんかつ料理店を営む原告の営業表示「勝烈庵」が、横浜市を中心とする周辺地誠において周知性を有していたとされ、鎌倉市大船所在の被告Aについては、距離的近接、生活圏としての一体性から、その周知性の及ぶ範囲にあり、その営業表示「かつれつ庵」の使用が、営業主体混同行為に当るとして差止請求が認容され、静岡県富士市所在の被告Bについては、くちコミによる方法及びマスメディアによる方法の両者の効果をあわせても、その周知性の及ぶ範囲にはないとされ、その営業表示「かつれつあん」の使用差止請求が棄却された事例 2 「かつれつ庵」という表示は、カツレツ料理を提供する料理店を一般的に意味する普通名称として慣用されるものとはいえない
被告がその代理人店等に配布した、ユーザーに対する説明の際使用する資料として作成した文書が原告製品に関する虚偽の記載を含み、原告の営業上の信用を害する恐れがあるとし、不正競争防止法1条1項6号に基づき、その配布・陳述の禁止、虚偽部分の回収及び謝罪広告の掲載を命じた事例
家屋の器材取付、修理工事などの役務は、不正競争防止法1条1項1号、5号所定の「商品」に該当しないとされ、原告の当該役務提供のちらし広告と一部同一部分のある類似ちらし広告を戸別配達して類似役務を提供した被告らの行為が、同法にも該当せず民法上の不法行為にも当らないとされた事例
回転式立体組合せ玩具である、いわゆるルービック・キューブの商品本体及び容器の形態が商品表示として輸入販売業者である申請人の商品表示として周知性を有するとし、これと形態上の特徴が酷似する被申請人の商品販売行為が混同行為に当たるものとして、販売差止等の仮処分決定が認可された事例
特許法48条の3第1項に定める出願審査請求期間は、期間としては余裕のある長いものであるし、その期間の不遵守について何の規定もない以上、その期間不遵守については、いかなる手続の追完をも認めない趣旨のものであり、民事訴訟法159条の規定の適用ないし類推の余地はないとして、期間経過後の出願審査請求に対する不受理処分取消の請求を訴えの利益がないとして却下した事例
被告が訴外各社から技術協力費を得た対価の根拠である各考案が、原告単独もしくは原告と訴外者との共同の考案開発によるものであるとし、被告の職務発明規定に基づき、右技術協力費の5パーセントが実績補償金に相当するとの認定の範囲内で原告の寄与度に従って支払いが命じられた事例
出願中の特許及び実用新案登録を受ける権利の譲渡契約が、譲受人の債務不履行により解除されたものとして、当該権利の存在確認の請求が認容された事例(欠席判決)
実用新案権の侵害につき、差止請求および実用新案権者に対する実施料相当額、専用実施権者に対する逸失利益の損害賠償請求が認められた事例
意匠権の侵害につき、意匠法41条、特許法105条、民事訴訟法316条を適用して損害賠償額を推定し、差止請求とともに認容した一事例
1 不使用を理由とする取消審判係属中であっても、商標登録の審判が確定しない限り、登録権者は、当該商標権に基づき、侵害者に対する権利請求をすることが許される 2 被告日本狩猟協会が、月刊雑誌の表紙に漢字「狩猟」を行書体風に横書に附して出版販売する行為が、指定商品を26類「狩猟に関する記事を内容とする雑誌」とする、漢字「狩猟」を行書体に縦書にした原告株式会社誠文堂新光社の商標権を侵害するとして、雑誌の定価の4パーセントを使用料相当額とする損害賠償が認容された事例
被告標章の「高麗人参酒」は、普通名称である「高麗人参」を酒精分に漬け込んだものを表わす普通名称として不可分一体となった表示であるからとして、原告登録商標「高麗」(指定商品第28類酒類)の商標権侵害が否定された事例
「PLASKIN」の欧文字を上段に小さく「Royal」の欧文字を下段に大きく2段に併記した被告標章の要部は「Royal」にあり、欧文字「ROYAL」と片仮名文字「ローヤル」を2段に横書にした原告の出願商標に類似し、被告標章が使用される商品の化粧品(化粧水、栄養クリーム)は、原告出願商標の指定商品化粧用染料等と同一店舗で販売されることがあるから類似するとして、差止請求が認容された事例
全国の共済施設に関する資料を取捨選択整理して、利用者の便のために、見出し、配列に工夫をこらして作成した書籍が編集著作物とされたが、著作権譲渡の抗弁事実が認められ、著作者から提起された差止請求、損害賠償請求が棄却された事例